「みんな気をつけてね」

 片付けを済ませると私達三人はおばさんに見送られ玄関を出る。そして、真由を迎えに来た佐藤の車に乗せてもらう。後部座席にはマオちゃんがいて、一緒に県歌を熱唱するぶーちゃんは恐らく精神年齢が同じぐらいなのだろう。

「年末は、みんなで鍋でもやろーぜ。またな」と、早くも冬の約束を取り付けるとぶーちゃんは先に車から降りていく。

「そうだね。じゃあ、またね」

 窓から顔を出し手を振っているとすぐに我が農園の前に車が停まる。ぶーちゃんと私の家は目と鼻の先だ。

「佐藤。送ってくれてありがとう」

「おう」

「真由も一緒におやき作ってくれてありがとう。また、家に遊びに行ってもいい?」

「もう! 勿論に決まってるじゃない! それより、まずは連絡を返しなさいよ!」

「そうだよ。いつでも待ってるからな」と、私の背中を叩く真由と一緒に佐藤が微笑む。

「うん。ありがとう」

 みんなの言葉を支えに私は生きていこう。そんな風に思うのは、この土地からみんなから離れるのが心細いから。鎧を脱いだらこんなにも弱い自分がいて情けなくなってくる。

「とりあえずは年末の鍋ね」

「うん。楽しみにしてる」

 真由の言葉に頷きながら手を振ると、ゆっくりと走り去っていく車を私はいつまでも見送っていた。