「前に俺が生きていた未来を想像して、真由に嫉妬したって言ってたよな? 俺も考えてみたんだ。もし生きていたら俺とナツはどうなっていたかって」
そっと顔を上げると秋雄は悲しそうに微笑んでいた。
「俺達は、過去のあの瞬間だけを見て生きていた。そんな俺達に未来なんかあるはずがない」
昔から理想を追い求める私。常に現実を見ていた秋雄。
__未来がない。
現実的な思考で簡単に切り捨てないで欲しい。もし、秋雄が生きていたら私達の関係にも可能性は生まれ続けていたはずだから。
「実は、婚約者とまだキスもしてない」
突然の暴露に心底驚いた顔をする秋雄。婚約までして何を言ってるんだ。と、思っているのだろうけれど私だって簡単に決めたことではない。
現実を生きる為に。前に進む為に。私は秋雄を忘れようとした。だけど、その存在は常にこの心の真ん中にいた。消え去ることもなく切なくも耀いていた。
「キスもその先のことも、相手には結婚するまでは無理だって言ってる。でも本当は一番好きな人とでなければ嫌だからだよ」
ベンチから立ち上がると泣きそうになるのを堪えるように秋雄の顔を睨みつける。
「いつか相手のことを秋雄よりも好きになる日がくるかもしれない。そう思って月日が流れるのを待ってた。だけど無理だった。十二歳のあの時から私は変わったはずなのに、その気持ちだけは変わることがなかった」
どうせなら、全てなくなってしまえばいいと何度も思った。秋雄に対する想いも。思い出も。記憶も。全て消えてしまえばいいって。そして何度も自分の弱さと愚かさに気付き自己嫌悪に陥った。
そっと顔を上げると秋雄は悲しそうに微笑んでいた。
「俺達は、過去のあの瞬間だけを見て生きていた。そんな俺達に未来なんかあるはずがない」
昔から理想を追い求める私。常に現実を見ていた秋雄。
__未来がない。
現実的な思考で簡単に切り捨てないで欲しい。もし、秋雄が生きていたら私達の関係にも可能性は生まれ続けていたはずだから。
「実は、婚約者とまだキスもしてない」
突然の暴露に心底驚いた顔をする秋雄。婚約までして何を言ってるんだ。と、思っているのだろうけれど私だって簡単に決めたことではない。
現実を生きる為に。前に進む為に。私は秋雄を忘れようとした。だけど、その存在は常にこの心の真ん中にいた。消え去ることもなく切なくも耀いていた。
「キスもその先のことも、相手には結婚するまでは無理だって言ってる。でも本当は一番好きな人とでなければ嫌だからだよ」
ベンチから立ち上がると泣きそうになるのを堪えるように秋雄の顔を睨みつける。
「いつか相手のことを秋雄よりも好きになる日がくるかもしれない。そう思って月日が流れるのを待ってた。だけど無理だった。十二歳のあの時から私は変わったはずなのに、その気持ちだけは変わることがなかった」
どうせなら、全てなくなってしまえばいいと何度も思った。秋雄に対する想いも。思い出も。記憶も。全て消えてしまえばいいって。そして何度も自分の弱さと愚かさに気付き自己嫌悪に陥った。