テーブルの真ん中に置かれた砂糖をたっぷり入れてかき混ぜると、隣で啓太がギョッとした顔をしていた。

「そんなに入れるの!? 太るよ!?」

 お互いの体型を気にすることは私達にとったら当たり前のこと。しかし秋雄に再会してしまった今、私は美味しい物を有り難く心置きなく頂きたい。

「ダイエットはやめたんだ。頂きます」

 手を合わせると、ジャムをたっぷり塗ったトーストにかぶりつく。そして甘い紅茶で流し込む。
 __美味しい。幸せ。
 そう感じる私は今日も生きている。

「そんなに食べるの?」

 二枚目の食パンを既に確保する私に、驚くのも無理はない。東京での私は少食且つ草食動物のような食事をしていた。

「食欲があるのは健康な証拠だけど、太らないように気をつけないと。怠けたらダメだよ」

 __太らないように。
 やはり自分の体型管理をしている人は他人の体型にも厳しい。
 確かに、私も東京にいる時は太めの子を見ると気になった。そして心の中で怠けていると蔑んでいた。だけど今はその子が幸せならば良いと思っている。痩せている者が勝者でも偉いわけでもない。
 黙々と食べる私に見飽きたのか、啓太も手を合わせると糖の吸収を気にしてサラダから食べ始める。そして少量のジャムを塗ったトーストを無糖の紅茶で流し込む。
 ジムに通い俗にいう細マッチョをキープしている啓太は、糖質と脂質は節制している。そういう人から見たら、今の私はきっと怠けて見えるのだろう。