__ピッピッピッ。

 規則正しい電子音を聞きながら、俺は病室のベッドの上で眠る彼女の姿を見つめる。
 枯れ木のように痩せて細くなってしまった手足。板のように薄い身体。全身に刻まれた皺は彼女の生きた歳月を物語っていた。

「……ナツ」

 耳元で囁くと鼻先に触れた柔らかな髪からは夏の匂いがする。
 俺は色褪せた指輪が嵌められた彼女の手に自分の手を重ねる。そしてキラキラと輝く日々を思い出しながらそっと目を閉じた。