明日香は今日採ってきたキノコとアケビで夕飯を作った。
キノコは炊き込みご飯、てんぷら、キノコ汁にし、アケビの皮はキノコや玉ねぎと共に炒めて味噌味仕立、ワタは種を取ってゼリーにした。かなり豪華な食卓になって、家族全員が美味しいと言ってくれたので私はほっと一息ついた。
夕飯の食卓を皆で囲み乍ら、それぞれ今日の出来事を報告し合った。勿論颯さんも先ほどの禍々しい気配について報告した。颯さんはかなり緊張していた。こんなに緊張している颯さんは初めて見た。
「実は俺も、嫌な気配がしたんだ。」と兄が言う。
「僕たちも、お昼頃学校で禍々しい感じがしたんだ。」と、我が子たちと、結芽と兄の子供たちも口々に言った。
「一瞬の気配は魔神や魔王の系統だったが何者なのかわからなかった。何が目的かも分からない。だが、物凄い殺気と邪気を感じたんだ。何が目的か分からない以上はこちらとしても警戒は強くしないといけないな。」
そんな会話をしていると、夕食前から何事か考え込んでいた父が口を開いた。
「実はな、今朝不動様から神託が下りたんだ。”颯に危険が迫っている。注意せよ”とな。私は吃驚して颯にどんな危険が迫っているのかを問うてみたが、不動様は答えては下さらなかった。だが、”家族で難局を乗り越えろ”とだけ教えて下さった。」
「そうですか・・・。」と言って、颯さんは何事か考えているようだった。私は颯さんが心配になり、
「颯さん、何か心当たりは無いんですか?!」
「私を亡き者にしようと考えている輩は多いはずだ。なにしろ七百年間魔物浄化していれば、私の存在は知れ渡っているからな。新たな魔物が私を狙っているのかもしれない。それとも、私という存在を良く思っていない何者かが狙っているのかもしれない。それとも、浄化し切れずに空間の歪に落ちてしまった魔物がいるかもしれない。そうなれば私の事を憎み、恨んでいる魔物がいるかもしれない・・。それとも、私が見逃している何かかもしれない。考えれば考える程、どうにも見当がつかないんだ。」
颯さんの言葉を聞いた私は少し考えてから、探偵気取りになり、ひとつづ絞り込むことにした。
「颯さん消去法で行きましょう。新たな魔物が現れれば、颯さんは必ず気付きますよね?!そして、危険が大きいと判断すれば必ず浄化に行っています。今そんな気配は無いですよね?」
「その新たな魔物が先ほど感じた気配なら早く浄化しないといけないね。」
「そうですよね…。」確かにそうだ。じゃ、次行こう。
「以前白龍様に颯さんというあやかしの存在を良く思っていない眷属神がいると聞き、実際に魔物に化身した眷属神に何度も排除されそうになったという話も聞いていました。でも大日様が眷属神を指導してくださると約束し、白龍様が私達を守護すると申し出て下さった。そのお陰で今は何も問題が無いですよね?」
「ああ。だが絶対手を出してこないという保証はない。」
「そうですよね…。」
「その二つの可能性に加えて、浄化し切れずに空間の歪に落ちてしまった魔物がいて、颯さんを狙っている可能性があることが追加されたと云う事ですね。そのほかにも見逃している事もあるかもしれないと。消去法のつもりが減りませんでした…。」
あちゃ~。どうやら私は探偵に全然向いてないと自覚した。そんな私に颯さんは穏やかな眼を向け、
「うん、明日香が私の為に考えてくれることは本当に嬉しいよ。ありがとう。」そう言って微笑んでくれた。私は嬉しくて「颯さんは私の大切な人です。絶対失いたくない。だから乗り越えましょうね!」
危うく二人の世界に入りそうになった私達に向かって家族がため息を吐きつつ、「私達だって家族なんだから颯の為に一緒に考えたい。」と両親から突っ込まれ、仁と天も「そうだそうだ!僕たちだってお父さんの味方だよ。」「俺達だって居るぞ!」と、兄夫婦と子供達も言ってくれた。
そんな家族に颯さんは目を細め、「私は本当に恵まれている。」と呟いた。
キノコは炊き込みご飯、てんぷら、キノコ汁にし、アケビの皮はキノコや玉ねぎと共に炒めて味噌味仕立、ワタは種を取ってゼリーにした。かなり豪華な食卓になって、家族全員が美味しいと言ってくれたので私はほっと一息ついた。
夕飯の食卓を皆で囲み乍ら、それぞれ今日の出来事を報告し合った。勿論颯さんも先ほどの禍々しい気配について報告した。颯さんはかなり緊張していた。こんなに緊張している颯さんは初めて見た。
「実は俺も、嫌な気配がしたんだ。」と兄が言う。
「僕たちも、お昼頃学校で禍々しい感じがしたんだ。」と、我が子たちと、結芽と兄の子供たちも口々に言った。
「一瞬の気配は魔神や魔王の系統だったが何者なのかわからなかった。何が目的かも分からない。だが、物凄い殺気と邪気を感じたんだ。何が目的か分からない以上はこちらとしても警戒は強くしないといけないな。」
そんな会話をしていると、夕食前から何事か考え込んでいた父が口を開いた。
「実はな、今朝不動様から神託が下りたんだ。”颯に危険が迫っている。注意せよ”とな。私は吃驚して颯にどんな危険が迫っているのかを問うてみたが、不動様は答えては下さらなかった。だが、”家族で難局を乗り越えろ”とだけ教えて下さった。」
「そうですか・・・。」と言って、颯さんは何事か考えているようだった。私は颯さんが心配になり、
「颯さん、何か心当たりは無いんですか?!」
「私を亡き者にしようと考えている輩は多いはずだ。なにしろ七百年間魔物浄化していれば、私の存在は知れ渡っているからな。新たな魔物が私を狙っているのかもしれない。それとも、私という存在を良く思っていない何者かが狙っているのかもしれない。それとも、浄化し切れずに空間の歪に落ちてしまった魔物がいるかもしれない。そうなれば私の事を憎み、恨んでいる魔物がいるかもしれない・・。それとも、私が見逃している何かかもしれない。考えれば考える程、どうにも見当がつかないんだ。」
颯さんの言葉を聞いた私は少し考えてから、探偵気取りになり、ひとつづ絞り込むことにした。
「颯さん消去法で行きましょう。新たな魔物が現れれば、颯さんは必ず気付きますよね?!そして、危険が大きいと判断すれば必ず浄化に行っています。今そんな気配は無いですよね?」
「その新たな魔物が先ほど感じた気配なら早く浄化しないといけないね。」
「そうですよね…。」確かにそうだ。じゃ、次行こう。
「以前白龍様に颯さんというあやかしの存在を良く思っていない眷属神がいると聞き、実際に魔物に化身した眷属神に何度も排除されそうになったという話も聞いていました。でも大日様が眷属神を指導してくださると約束し、白龍様が私達を守護すると申し出て下さった。そのお陰で今は何も問題が無いですよね?」
「ああ。だが絶対手を出してこないという保証はない。」
「そうですよね…。」
「その二つの可能性に加えて、浄化し切れずに空間の歪に落ちてしまった魔物がいて、颯さんを狙っている可能性があることが追加されたと云う事ですね。そのほかにも見逃している事もあるかもしれないと。消去法のつもりが減りませんでした…。」
あちゃ~。どうやら私は探偵に全然向いてないと自覚した。そんな私に颯さんは穏やかな眼を向け、
「うん、明日香が私の為に考えてくれることは本当に嬉しいよ。ありがとう。」そう言って微笑んでくれた。私は嬉しくて「颯さんは私の大切な人です。絶対失いたくない。だから乗り越えましょうね!」
危うく二人の世界に入りそうになった私達に向かって家族がため息を吐きつつ、「私達だって家族なんだから颯の為に一緒に考えたい。」と両親から突っ込まれ、仁と天も「そうだそうだ!僕たちだってお父さんの味方だよ。」「俺達だって居るぞ!」と、兄夫婦と子供達も言ってくれた。
そんな家族に颯さんは目を細め、「私は本当に恵まれている。」と呟いた。