二人は霊能力も超能力もある。颯さんが父親で私の父も優秀な霊能力者なので当然である。
最近では時々私の代わりに颯さんと魔物浄化にも行っている。
私の公演活動が忙しいと云う事もあるが、二人に魔物浄化を少しづつ経験して欲しいと思ったからだ。普通の親なら子供を危険に晒すことは避ける。だが、我が家は特殊な家族である。
仁と天が私達の子供として生まれたとき、ある程度道は決まっていた。勿論子供たちが嫌がれば無理強いはしないが、子供たちは受け入れている。しかも、白龍が子供たちの守護に付いているのでめったな事は無い。子供たちが浄化に行くときは精霊の笛を渡し、危険が迫った時は白龍を呼び出すようにしているからだ。 なので実地教育として経験を積むため頑張っている。
そんな訳で、子供たちも少しづつ逞しくなってきている。
子供たちが夏休みに入って間もなく、二人はこんなことを言ってきた。
仁「最近、学校におかしな気配が漂っているんだ。」
天「学校の怪談的なものじゃなくてね。禍々しい感じ。」
仁「学校の怪談的なものだったら無視するけどね。」
「学校の怪談て、トイレの花子さんとか?」と、私は聞いてみた。
天「トイレに花子さんが住んでるんだったら言ってやりたい事はあるけどね。」
「何を?」
天「トイレに住むなんて綺麗じゃないし気持ち悪くない?布団はどこに敷いて寝ているの?ご飯はどこで食べるの?と言ってやりたい。」
仁「男子トイレに出たら、出禁を言い渡さないとダメだよね。女の子だから。」
「ハハハハ!確かに。」
天「まあそれは置いといて。お父さん何か分かる?」
「昔生徒だった子の幽霊だ。30年程前だと思う。」
天「何で今更出るんだろう?何か分からないけど、夏休み中に解決しておいた方が良いよね、仁?」
仁「うん、そうだね。」
「ならば、二人でやってみるか?」
「え、颯さん?」
「「私達だけで動いて良いの?!」」
「いい機会だからお前達でやってごらん。」
「いや、二人だけなんて心配なんだけど。」
「私達の子供だよ。心配しなくても大丈夫だよ。」
仁「お母さんに心配かけることはしないから。」
天「ちゃんと報連相するからやらせて。」
「・・・・。わかった。でも無茶はしないでね。危険だと思ったらお父さんに必ず連絡すること。
これを約束したら二人でやって良いわ。」
「「うん。ありがと。」」
その夜、夫婦二人になった時に颯さんに聞いてみた。
「危険は無いんですか?!」
「無い事は無い。だが、良い機会じゃないかなと思う。二人だけで浄化すれば自信も付くと思うからね。私が二人には分からないように見守るから心配しなくても良いよ。」
「そうですか。なら安心です。でも何で今更出るんでしょうかね?」
「う~ん。それも含めてあの子たちに任せようか。」
夏休みでも学校には先生も生徒も必ず居るので立ち入ることが出来る。ワーワーキャーキャーという声と共にバシャバシャという水の音が遠くで聞こえる。プールで遊んでいる生徒がいるのだろう。
体育館でもバレーボール部やバスケットボール部が練習している音が聞こえてくる。図書室では受験勉強している生徒もいた。
仁と天は調査を開始した。まずは、幽霊が何に憑いているかと云う事を調べる為に校舎や校庭、体育館、校舎裏の物置などを手分けして隈なく見て回ることにした。
仁「天は校舎の中と裏の物置を調べて。俺は体育館と校庭周辺探すから。」
天「了解。何か分かったら”ダイレクト”に連絡してね。」
ダイレクトというのは二人の隠語で、テレパシーの事である。
*
仁は最初に校庭に向かった。校庭では陸上部が炎天下で暑さ避けのテントと氷入りの水をたっぷりと用意し 、頻繁に休憩しながら練習していた。
部員にクラスメイトがいて声をかけられた。仁はサッカー部に所属しているが、今日は練習は無い。
あまり話した事の無いクラスメイトだが、親し気に話しかけてきた。
「あれ、仁じゃん。今日はサッカーの練習は無いだろ?」
「うん。今日は違う用事で来てるんだ。」
「違う用事?なんだそれ?!それにしても暑い~!身体が熔けそうだよ!」
「野暮用。まあ、滅茶苦茶暑いから倒れないようにしろよな。」
「オ~、サンキュー!ってか、野暮用って何?!」と、言い募った。
「宿題の一つに自由研究があるだろ?その研究の素材探しだよ。」
正直面倒臭いが仕方なく返事をした。本当の事は言えないのでそれらしい話で誤魔化す。ある意味素材を探しているから嘘では無い。
「お!今からやってるなんてすごいじゃん!俺なんか休みの最後にやってるよ。で、提出期限に間に合わずにいつも叱られてる。ハハ!!」
「いや、そこは真面目にやれよ・・・。」 そんな会話をしつつも納得したようだった。
そして校庭をぐるっと一周する。この学校の建っている場所は何百年も前は罪人を裁く場所だったと聞いている。なので怪しい気配を感じるが、今回感じた気配とは違う。
校庭の隅にある備品の倉庫にも入ってみた。次に体育館も見て回り備品倉庫も開けてみるが異常は無かった。
(天、こっちは異常無いからそっち手伝うよ。何処に居る?!)
(まだ校舎内だよ。三階から始めたんだけど、まだ二階にいる。)
(今行くよ。) そんな連絡を取り合って、天のいる場所に向かった。
最近では時々私の代わりに颯さんと魔物浄化にも行っている。
私の公演活動が忙しいと云う事もあるが、二人に魔物浄化を少しづつ経験して欲しいと思ったからだ。普通の親なら子供を危険に晒すことは避ける。だが、我が家は特殊な家族である。
仁と天が私達の子供として生まれたとき、ある程度道は決まっていた。勿論子供たちが嫌がれば無理強いはしないが、子供たちは受け入れている。しかも、白龍が子供たちの守護に付いているのでめったな事は無い。子供たちが浄化に行くときは精霊の笛を渡し、危険が迫った時は白龍を呼び出すようにしているからだ。 なので実地教育として経験を積むため頑張っている。
そんな訳で、子供たちも少しづつ逞しくなってきている。
子供たちが夏休みに入って間もなく、二人はこんなことを言ってきた。
仁「最近、学校におかしな気配が漂っているんだ。」
天「学校の怪談的なものじゃなくてね。禍々しい感じ。」
仁「学校の怪談的なものだったら無視するけどね。」
「学校の怪談て、トイレの花子さんとか?」と、私は聞いてみた。
天「トイレに花子さんが住んでるんだったら言ってやりたい事はあるけどね。」
「何を?」
天「トイレに住むなんて綺麗じゃないし気持ち悪くない?布団はどこに敷いて寝ているの?ご飯はどこで食べるの?と言ってやりたい。」
仁「男子トイレに出たら、出禁を言い渡さないとダメだよね。女の子だから。」
「ハハハハ!確かに。」
天「まあそれは置いといて。お父さん何か分かる?」
「昔生徒だった子の幽霊だ。30年程前だと思う。」
天「何で今更出るんだろう?何か分からないけど、夏休み中に解決しておいた方が良いよね、仁?」
仁「うん、そうだね。」
「ならば、二人でやってみるか?」
「え、颯さん?」
「「私達だけで動いて良いの?!」」
「いい機会だからお前達でやってごらん。」
「いや、二人だけなんて心配なんだけど。」
「私達の子供だよ。心配しなくても大丈夫だよ。」
仁「お母さんに心配かけることはしないから。」
天「ちゃんと報連相するからやらせて。」
「・・・・。わかった。でも無茶はしないでね。危険だと思ったらお父さんに必ず連絡すること。
これを約束したら二人でやって良いわ。」
「「うん。ありがと。」」
その夜、夫婦二人になった時に颯さんに聞いてみた。
「危険は無いんですか?!」
「無い事は無い。だが、良い機会じゃないかなと思う。二人だけで浄化すれば自信も付くと思うからね。私が二人には分からないように見守るから心配しなくても良いよ。」
「そうですか。なら安心です。でも何で今更出るんでしょうかね?」
「う~ん。それも含めてあの子たちに任せようか。」
夏休みでも学校には先生も生徒も必ず居るので立ち入ることが出来る。ワーワーキャーキャーという声と共にバシャバシャという水の音が遠くで聞こえる。プールで遊んでいる生徒がいるのだろう。
体育館でもバレーボール部やバスケットボール部が練習している音が聞こえてくる。図書室では受験勉強している生徒もいた。
仁と天は調査を開始した。まずは、幽霊が何に憑いているかと云う事を調べる為に校舎や校庭、体育館、校舎裏の物置などを手分けして隈なく見て回ることにした。
仁「天は校舎の中と裏の物置を調べて。俺は体育館と校庭周辺探すから。」
天「了解。何か分かったら”ダイレクト”に連絡してね。」
ダイレクトというのは二人の隠語で、テレパシーの事である。
*
仁は最初に校庭に向かった。校庭では陸上部が炎天下で暑さ避けのテントと氷入りの水をたっぷりと用意し 、頻繁に休憩しながら練習していた。
部員にクラスメイトがいて声をかけられた。仁はサッカー部に所属しているが、今日は練習は無い。
あまり話した事の無いクラスメイトだが、親し気に話しかけてきた。
「あれ、仁じゃん。今日はサッカーの練習は無いだろ?」
「うん。今日は違う用事で来てるんだ。」
「違う用事?なんだそれ?!それにしても暑い~!身体が熔けそうだよ!」
「野暮用。まあ、滅茶苦茶暑いから倒れないようにしろよな。」
「オ~、サンキュー!ってか、野暮用って何?!」と、言い募った。
「宿題の一つに自由研究があるだろ?その研究の素材探しだよ。」
正直面倒臭いが仕方なく返事をした。本当の事は言えないのでそれらしい話で誤魔化す。ある意味素材を探しているから嘘では無い。
「お!今からやってるなんてすごいじゃん!俺なんか休みの最後にやってるよ。で、提出期限に間に合わずにいつも叱られてる。ハハ!!」
「いや、そこは真面目にやれよ・・・。」 そんな会話をしつつも納得したようだった。
そして校庭をぐるっと一周する。この学校の建っている場所は何百年も前は罪人を裁く場所だったと聞いている。なので怪しい気配を感じるが、今回感じた気配とは違う。
校庭の隅にある備品の倉庫にも入ってみた。次に体育館も見て回り備品倉庫も開けてみるが異常は無かった。
(天、こっちは異常無いからそっち手伝うよ。何処に居る?!)
(まだ校舎内だよ。三階から始めたんだけど、まだ二階にいる。)
(今行くよ。) そんな連絡を取り合って、天のいる場所に向かった。