14. まあるい虹と龍神
仁と天が3歳になった。二人は大人も舌を巻くほど話すし、いつの間にか姿が見えなくなって、
大慌てで探すと、いつの間にか帰って来ていると云う事も何回かあった。
私は一時も目を離すことが出来ず、絶えず心配ばかりしていた。
そんな私の心配を他所に本人達は、
「自分たちの行動は自分たちで責任取れるからそんなに心配しないでね~。」と、生意気なことを言うのである。
颯さんも「この子たちは大丈夫だよ」と言って、何もしてくれない。
心配するこっちの身にもなって欲しい!と怒りが湧く。
でもまあ、颯さんの子供だし何も考えないでそんなことを言う人ではないので、心配な気持ちは抑えて様子見をすることにした。
ある日仁と天が、
「あのね。龍神さんが会いたいって言ってくるんだよ。僕と天と、父様と母様にお話ししたいんだって。」
「まあるい虹の真ん中でそう言うの!」と、私達に言った。
「どこか分かるか?」
「滝があったよ。」
「千ていう数字が見えたよ。」
「そうか。分かった。」颯さんはそれで分かったらしい。
「颯さん、分かったんですか?」
「K高原だ。そこに滝があるんだよ。」
「隣の県のリゾート地ですね。」
「二百年程前に一度会ったことがあるな。それから会っていない。」
「何かあるんでしょうか・・・。子供たちが危険な目に合わないか心配です。」
「あそこの龍神は温厚だから大丈夫だ。取り敢えず行ってみようか。」
「子供たちと一緒に行くなら、夜は行けないですね。」
「明日行こうか。私が乗せていく。」
初めて仁と天を連れて行くので、家族は子供たちを心配して止めようとしたが、子供たちは天使の笑顔で
「おじいちゃま、おばあちゃま、おじちゃま、僕たちは大丈夫だよ。父様母様が守ってくれるから、行かせて?}と言われれば行っちゃダメとは言えなかった。
それでも心配した父は仁と天に「これを持っていきなさい」と言って巾着袋に入れたお守りを渡した。以前私に貸してくれたヘマタイトの不動明王像。
妖鬼を浄化して家に帰って来て速攻で父に返却した国宝。それをまた仁と天に貸し与えた。
「お父さんお願いだから、国宝をそんなに軽く扱わないでよ!」
と私は文句を言った。
「可愛い孫の為なら赦されるよ。これは元々使う為にあるんだ。それが国宝になってるだけだから。」と宣う。
「明日香もこの像に助けられただろう?!」
確かに助けられたのは事実。事実だが、国宝は国宝。
「もう・・・。何かあっても責任持ちませんからね。」
私は諦めてそう言った。
颯さんはオオカミに姿を変え、私と子供たちを背に乗せた。今は夏なので丁度良かった。
周りに結界を張り、姿が見えないようにして私達はK高原に向かった。
仁と天は颯さんの背中に乗せてもらい、大興奮だ。
「父様、スゴイスゴイ!」
「父様、速い!」
「二人とも、興奮して母様を困らせてはダメだぞ?」
「「はーい!」」
いつもの魔物浄化に行く時とは違う緊張感で私は仁と天を見守り、颯さんは先を急ぎつつも落とさないように気を使いながら走る。
私はもう慣れっこだが、子供たちは興奮しっぱなしだ。
そして家を出て僅か30分程でY県のK高原に到着した。
此処は夏のリゾート地として有名な場所。高原は広大で、緑の大地を駆け巡る爽やかな風は気持ち良く、頬を優しく翳めていく。
高原の駅周辺は、リゾート地らしい可愛らしい雑貨店が立ち並び、ペンションやホテルも沢山ある。
デートスポットとしても人気の場所である。
私達の目的地である滝は、駅からも近い場所にあった。
颯さんは滝の直ぐ近くで私達を降ろし、人間の姿に戻った。
滝は幅も落差も20メートル位だろうか。ごつごつとした石や、苔むした巨大な岩と木々に囲まれ、
大きな石や岩に水の流れが変化して、ザーザーという大きな音と、水しぶきが迫力を増している。
颯さんは静かにじぃっと滝を見つめていた。ザアァー。ゴォォー・・。
静かな時が流れる。
すると突然、滝つぼに大きなまん丸の虹が出現したのだ。そして、丸い虹の真ん中に白竜が姿を現した。
仁と天はこの景色をニコニコしながら見つめていた。それと共に、とても三歳の子供とは思えないような風格と、威厳がにじみ出ていたのだった。
仁と天が3歳になった。二人は大人も舌を巻くほど話すし、いつの間にか姿が見えなくなって、
大慌てで探すと、いつの間にか帰って来ていると云う事も何回かあった。
私は一時も目を離すことが出来ず、絶えず心配ばかりしていた。
そんな私の心配を他所に本人達は、
「自分たちの行動は自分たちで責任取れるからそんなに心配しないでね~。」と、生意気なことを言うのである。
颯さんも「この子たちは大丈夫だよ」と言って、何もしてくれない。
心配するこっちの身にもなって欲しい!と怒りが湧く。
でもまあ、颯さんの子供だし何も考えないでそんなことを言う人ではないので、心配な気持ちは抑えて様子見をすることにした。
ある日仁と天が、
「あのね。龍神さんが会いたいって言ってくるんだよ。僕と天と、父様と母様にお話ししたいんだって。」
「まあるい虹の真ん中でそう言うの!」と、私達に言った。
「どこか分かるか?」
「滝があったよ。」
「千ていう数字が見えたよ。」
「そうか。分かった。」颯さんはそれで分かったらしい。
「颯さん、分かったんですか?」
「K高原だ。そこに滝があるんだよ。」
「隣の県のリゾート地ですね。」
「二百年程前に一度会ったことがあるな。それから会っていない。」
「何かあるんでしょうか・・・。子供たちが危険な目に合わないか心配です。」
「あそこの龍神は温厚だから大丈夫だ。取り敢えず行ってみようか。」
「子供たちと一緒に行くなら、夜は行けないですね。」
「明日行こうか。私が乗せていく。」
初めて仁と天を連れて行くので、家族は子供たちを心配して止めようとしたが、子供たちは天使の笑顔で
「おじいちゃま、おばあちゃま、おじちゃま、僕たちは大丈夫だよ。父様母様が守ってくれるから、行かせて?}と言われれば行っちゃダメとは言えなかった。
それでも心配した父は仁と天に「これを持っていきなさい」と言って巾着袋に入れたお守りを渡した。以前私に貸してくれたヘマタイトの不動明王像。
妖鬼を浄化して家に帰って来て速攻で父に返却した国宝。それをまた仁と天に貸し与えた。
「お父さんお願いだから、国宝をそんなに軽く扱わないでよ!」
と私は文句を言った。
「可愛い孫の為なら赦されるよ。これは元々使う為にあるんだ。それが国宝になってるだけだから。」と宣う。
「明日香もこの像に助けられただろう?!」
確かに助けられたのは事実。事実だが、国宝は国宝。
「もう・・・。何かあっても責任持ちませんからね。」
私は諦めてそう言った。
颯さんはオオカミに姿を変え、私と子供たちを背に乗せた。今は夏なので丁度良かった。
周りに結界を張り、姿が見えないようにして私達はK高原に向かった。
仁と天は颯さんの背中に乗せてもらい、大興奮だ。
「父様、スゴイスゴイ!」
「父様、速い!」
「二人とも、興奮して母様を困らせてはダメだぞ?」
「「はーい!」」
いつもの魔物浄化に行く時とは違う緊張感で私は仁と天を見守り、颯さんは先を急ぎつつも落とさないように気を使いながら走る。
私はもう慣れっこだが、子供たちは興奮しっぱなしだ。
そして家を出て僅か30分程でY県のK高原に到着した。
此処は夏のリゾート地として有名な場所。高原は広大で、緑の大地を駆け巡る爽やかな風は気持ち良く、頬を優しく翳めていく。
高原の駅周辺は、リゾート地らしい可愛らしい雑貨店が立ち並び、ペンションやホテルも沢山ある。
デートスポットとしても人気の場所である。
私達の目的地である滝は、駅からも近い場所にあった。
颯さんは滝の直ぐ近くで私達を降ろし、人間の姿に戻った。
滝は幅も落差も20メートル位だろうか。ごつごつとした石や、苔むした巨大な岩と木々に囲まれ、
大きな石や岩に水の流れが変化して、ザーザーという大きな音と、水しぶきが迫力を増している。
颯さんは静かにじぃっと滝を見つめていた。ザアァー。ゴォォー・・。
静かな時が流れる。
すると突然、滝つぼに大きなまん丸の虹が出現したのだ。そして、丸い虹の真ん中に白竜が姿を現した。
仁と天はこの景色をニコニコしながら見つめていた。それと共に、とても三歳の子供とは思えないような風格と、威厳がにじみ出ていたのだった。