私はその光景を見ながら終わったのだろうか?!と思って颯さんに声をかけた。
「颯さん。下に降りてもいいですか?!」
「ああ。だがもう少しやることが有る。明日香も手伝ってほしい。」
「はい。何をすればいいですか?!」
「もう一度精霊の笛を吹いて欲しい。天界の周波数でこの地を浄め、少し細工もして邪気が溜まらないようにする。」
天界の周波数?!高周波数ってことだよね。精霊の力を借りれば出せるかも・・・。
確か、4096Hzだったと記憶する。そして精霊の笛にお願いした。
(この地が永遠に浄められますようにお願いします。)
そう願い、ヒーリングミュージックを奏でた。その音色は神社全体にいきわたるようにキラキラした
金粉が舞い、そのまま神社全体に吸い込まれていった。
颯さんはそれを見守り、そして次に神社の四隅にある柱に向かう。
この神社は四本の柱によって結界が強化され、神社を守る聖なる柱として堂々と立っている。
颯さんは柱に手を触れて、小さい声で真言を三回唱えながら柱をそっとなで上げていた。
そして四本の柱すべて同じことをした。
「柱に何をしたのですか?!」
「上空に結界の穴を開けたから、負の感情が溜まらないように柱を伝って上に流し、そこから出すようにした。神社の中から外には出せるが外から中には入ってこられないようにもした。」
つまり、逆ネズミ捕り器みたいな感じという事か。
「この神社は柱によって結界が強く張られ、神域が何百年も守られてきた。だが、それが現代では逆効果になっている。」
「逆効果とはどんな風に?!」
「強い結界に阻まれて負の感情が外に出られずに溜まり続け、こういう状況になった。古代ではこんな事は無かったんだよ。」
「現代になってからこんなことになってしまったんですか?!」
「そうだね。現代というか、現代にごく近い近代と言った方がいいかな。神への関心が無くなってきたと言えるのかな。」
「関心ですか・・。」
「そう。神に対する作法やどう云う風に敬うかとか、先人から次代へと伝えて受け継いでいかないと駄目なんだけど、時代と共に段々それが無くなってしまったからね。」と、颯さんは少しだけ寂しそうに話した。
「神社という場所はね、本来は神に感謝を捧げるための場所なんだよ。感謝を捧げると言っても難しい事じゃなく ”見守って頂き有難うございます” という感謝の気持ちと言葉を捧げるだけ。その言葉だけで神は喜び、その人が願うことが有れば手助けする。だが、その言葉を捧げない人が圧倒的で、願い事だけ言う。」
「言われてみれば私もそうでした。」
寺の娘だが、神社に参拝することはある。大昔は神仏習合だったし両親も私も全然気にしない。
私が子供の頃、両親から作法を教わる前に参拝した時は無知で、颯さんが言った通り願い事だけした記憶がある。
「鳥居から中は神の家だから、入る時はお辞儀をする。敷地を歩くときは端を歩く。拝殿では二拝二拍手一拝をして自分の素性を述べ、感謝の言葉を先に言ってから願い事を言う。これが正しい参拝方法なんだよ。」
「はい。昔両親に教えてもらいました。改めて颯さんに教えて頂けて、再確認出来て良かったです。」
「それは良かった。さすが父上と母上だね。」そう言って微笑み、私は本当に嬉しくなってしまった。
それから私達は念の為に南の社にも向かった。南の社は北の社ほどではなかったが、やはり魔物はいた。こちらも北の社と同じ浄化をして帰宅したら、もうすぐ夜明けという時間になっていた。
子供たちは、私達が浄化で家を空けるときは兄と一緒に寝ている。
そっと兄の部屋を覗くと、兄は夜明け前なのにもう起きていた。修行中は朝4時に起きていたらしいので、その癖が抜けないらしい。
天使の寝顔ですやすや眠っている仁と天は、可愛い事この上ない。
「お兄ちゃん、いつも有難う。仁と天は良い子でいた?」
「何も困っていないよ。良い子過ぎて気味が悪いくらいだ。俺の育児が良いらしい。」と言ってどや顔で笑った。
「やっぱりお兄ちゃんにお願いして本当に良かった。これからも宜しくね。」と感謝した。
だが、これが仁と天の考えた”叔父さん好き好き大作戦”で、この作戦が順調で何よりだ。と思ったり、騙しているようで気が引ける、という気持ちがせめぎ合って複雑な心境なのは内緒である。
まあ、本人が幸せそうだから良いか、と無理やり納得して迷える心にそっと蓋をした。
私達は寝室へ戻り、つかの間の穏やかな時間を過ごした。
「颯さんお疲れさまでした。」
「お疲れさま。今回は明日香に8割以上助けられたね。明日香の助けは最早欠かせなくなってしまった。危険な事はこれからもあるかもしれないが、私が必ず守る。これからも宜しく頼む。」
「そう言ってもらえて私は幸せです。私は颯さんの力になれることが一番の望みなんです。」
そう言うと、颯さんはこれ以上無いくらいの極上の笑顔を見せ、私をギュッと抱きしめた。
「明日香が妻で良かった。私は幸せ者だ。」その言葉に私の涙腺は崩壊寸前だった。
私は颯さんと共にこれからも歩んでいくと、改めて思ったのだった。
「颯さん。下に降りてもいいですか?!」
「ああ。だがもう少しやることが有る。明日香も手伝ってほしい。」
「はい。何をすればいいですか?!」
「もう一度精霊の笛を吹いて欲しい。天界の周波数でこの地を浄め、少し細工もして邪気が溜まらないようにする。」
天界の周波数?!高周波数ってことだよね。精霊の力を借りれば出せるかも・・・。
確か、4096Hzだったと記憶する。そして精霊の笛にお願いした。
(この地が永遠に浄められますようにお願いします。)
そう願い、ヒーリングミュージックを奏でた。その音色は神社全体にいきわたるようにキラキラした
金粉が舞い、そのまま神社全体に吸い込まれていった。
颯さんはそれを見守り、そして次に神社の四隅にある柱に向かう。
この神社は四本の柱によって結界が強化され、神社を守る聖なる柱として堂々と立っている。
颯さんは柱に手を触れて、小さい声で真言を三回唱えながら柱をそっとなで上げていた。
そして四本の柱すべて同じことをした。
「柱に何をしたのですか?!」
「上空に結界の穴を開けたから、負の感情が溜まらないように柱を伝って上に流し、そこから出すようにした。神社の中から外には出せるが外から中には入ってこられないようにもした。」
つまり、逆ネズミ捕り器みたいな感じという事か。
「この神社は柱によって結界が強く張られ、神域が何百年も守られてきた。だが、それが現代では逆効果になっている。」
「逆効果とはどんな風に?!」
「強い結界に阻まれて負の感情が外に出られずに溜まり続け、こういう状況になった。古代ではこんな事は無かったんだよ。」
「現代になってからこんなことになってしまったんですか?!」
「そうだね。現代というか、現代にごく近い近代と言った方がいいかな。神への関心が無くなってきたと言えるのかな。」
「関心ですか・・。」
「そう。神に対する作法やどう云う風に敬うかとか、先人から次代へと伝えて受け継いでいかないと駄目なんだけど、時代と共に段々それが無くなってしまったからね。」と、颯さんは少しだけ寂しそうに話した。
「神社という場所はね、本来は神に感謝を捧げるための場所なんだよ。感謝を捧げると言っても難しい事じゃなく ”見守って頂き有難うございます” という感謝の気持ちと言葉を捧げるだけ。その言葉だけで神は喜び、その人が願うことが有れば手助けする。だが、その言葉を捧げない人が圧倒的で、願い事だけ言う。」
「言われてみれば私もそうでした。」
寺の娘だが、神社に参拝することはある。大昔は神仏習合だったし両親も私も全然気にしない。
私が子供の頃、両親から作法を教わる前に参拝した時は無知で、颯さんが言った通り願い事だけした記憶がある。
「鳥居から中は神の家だから、入る時はお辞儀をする。敷地を歩くときは端を歩く。拝殿では二拝二拍手一拝をして自分の素性を述べ、感謝の言葉を先に言ってから願い事を言う。これが正しい参拝方法なんだよ。」
「はい。昔両親に教えてもらいました。改めて颯さんに教えて頂けて、再確認出来て良かったです。」
「それは良かった。さすが父上と母上だね。」そう言って微笑み、私は本当に嬉しくなってしまった。
それから私達は念の為に南の社にも向かった。南の社は北の社ほどではなかったが、やはり魔物はいた。こちらも北の社と同じ浄化をして帰宅したら、もうすぐ夜明けという時間になっていた。
子供たちは、私達が浄化で家を空けるときは兄と一緒に寝ている。
そっと兄の部屋を覗くと、兄は夜明け前なのにもう起きていた。修行中は朝4時に起きていたらしいので、その癖が抜けないらしい。
天使の寝顔ですやすや眠っている仁と天は、可愛い事この上ない。
「お兄ちゃん、いつも有難う。仁と天は良い子でいた?」
「何も困っていないよ。良い子過ぎて気味が悪いくらいだ。俺の育児が良いらしい。」と言ってどや顔で笑った。
「やっぱりお兄ちゃんにお願いして本当に良かった。これからも宜しくね。」と感謝した。
だが、これが仁と天の考えた”叔父さん好き好き大作戦”で、この作戦が順調で何よりだ。と思ったり、騙しているようで気が引ける、という気持ちがせめぎ合って複雑な心境なのは内緒である。
まあ、本人が幸せそうだから良いか、と無理やり納得して迷える心にそっと蓋をした。
私達は寝室へ戻り、つかの間の穏やかな時間を過ごした。
「颯さんお疲れさまでした。」
「お疲れさま。今回は明日香に8割以上助けられたね。明日香の助けは最早欠かせなくなってしまった。危険な事はこれからもあるかもしれないが、私が必ず守る。これからも宜しく頼む。」
「そう言ってもらえて私は幸せです。私は颯さんの力になれることが一番の望みなんです。」
そう言うと、颯さんはこれ以上無いくらいの極上の笑顔を見せ、私をギュッと抱きしめた。
「明日香が妻で良かった。私は幸せ者だ。」その言葉に私の涙腺は崩壊寸前だった。
私は颯さんと共にこれからも歩んでいくと、改めて思ったのだった。