いいや、さっさと行くぞ!」そう言って歩き始める彼の背中を見ながら思ったことはただ一つだった。
(まぁいいか)そう思った僕は彼の後を追うようにして歩き始めた。
そして歩きながら考えていたことがあったのだが、それは彼女の事であった。
(彼女はどうしているのだろうか……?元気にしているのだろうか?)そんな事を考えているうちにふと我に返った時には目の前に彼女がいたのである。
しかも至近距離だったのでビックリしていると彼女が話しかけてきた。
「あのぉ……どうかしましたか?」と言われ慌てて何でもないと答えると、彼女は微笑んだ後に言った。
「それなら良いのですが……」そう言った彼女の表情はとても可愛かったのだが、それとは裏腹に僕には疑問が生まれていたのだが、その答えは彼女が持っていた物を見て理解したのだ。
というのもその中身というのが僕がよく食べているものだったからで、それを見た瞬間思わず口に出してしまった程だ。
「えっ?これって……」それに対して彼女も頷いて答えてくれる。
「はい!そうですけど何か……?」首を傾げながら聞いてきた彼女に僕は正直に話した。
「いや……だってこれ君のお弁当じゃないの?」という僕の言葉に対し、一瞬呆けた表情をしていたが、直ぐに我に返ると否定してくる彼女なのだが、どう見ても僕の為に作ったとしか思えない程の量の食材や料理がそこにはあって僕は心の中で呟いた。
「(どうしてここまでしてくれるんだろう?)」そう思っていた時、不意に聞こえてきた言葉で現実に戻される事となった僕は彼女の顔を見ると、恥ずかしそうに頬を赤らめている姿を見た途端ドキッとしてしまうのだがすぐに冷静になることが出来たので良かったのだが今度は別の意味で落ち着かなくなっていた為どうしようかと考えていたら彼女に話しかけられた。
「あのっ!良かったら食べてくれませんか?お口に合うかどうか分からないですけど……」そう言われて差し出されたお弁当を受け取るとお礼を言いながら早速食べてみる事にした。
一口食べる度に彼女の優しさを感じながら味わっているとあっという間に無くなってしまい名残惜しさを感じているところにまた声が掛かる。
「美味しかったですか?」と聞かれた瞬間、
「うん!!凄く美味しいよ!!」と元気よく答えると、それを聞いた彼女の顔には笑顔が浮かんでいたのを見て嬉しくなる反面照れ臭くなってしまっていたのだが次の瞬間、彼女はとんでもない事を言い出したのだ。
その言葉を聞いて唖然とするしか無かった僕はただただ見ている事しか出来なかったのは言うまでもなく、その間に彼女は話を進めていくのだが、
「あっ、そうだ♪まだ残っているんで良かったらもっと食べますか?」と言って来たが、正直これ以上食べたら太ると思い断ろうと思っていたのだが、
「遠慮しないでいいですよ♪」と言いながら近づいて来る彼女を見ていたその時だった……
「あ~ん」突然彼女が口を開けたのだ。
「ちょっ!?な、何してるの!?」と聞くと、キョトンとした顔でこう言って来たのだ。
「え?だって食べさせてあげようと思って……」それを聞いた僕は全力で拒否しようとしたのだが結局流されてしまいされるがままになっていたのだが、途中から抵抗しても無駄だという事に気付いたので諦めて従う事にしていた。
「どうですか?私の手作りのお味は?」そう聞かれ僕は素直に答える。
「美味しいです……」それを聞いた彼女は満足そうに微笑んでいたのだが、その顔を見た瞬間、
「(可愛いなぁ)」と思った直後だった。
チュッ♪ キスをされてしまった。
しかも唇同士が触れるようなものではなくしっかりと舌を絡ませるディープキスだったため余計に恥ずかしくなった僕は何とか離れようとしたものの彼女の力が予想以上に強かったらしく全く動けずにいたのだ。
そのまましばらくの間貪られていた僕は解放される頃には完全に力が抜けてしまっていた。
「ふふっ、これで貴方は私から離れられないね♡」と言う彼女を前に何も言えずにただ見ている事しか出来ない僕に彼女は再び顔を近づけてくると、今度は耳元で囁いた。
「……ねぇ、もう一度してもいいよね?」そう言われてしまった僕は拒むことが出来なかった。
「うん……」と返事をすると、
「ありがとう♪じゃあいくよ?」と言った後でまたキスをしてきたのだが、先程とは違い軽く触れるだけのものだったので少し物足りなく感じてしまったのだが、そんな事はお構いなしといった様子で舌を入れてきたのだ。
その瞬間口の中に広がる甘い味がしたかと思えば意識が遠退いていく感覚に陥りながらも、
「ぷはっ」と言って離れる彼女の顔を見ていると、目が合ったので目を逸らす事が出来なくなってしまったがそこでふと気が付くといつの間にか押し倒されていた僕は慌てて抵抗するのだがびくともしない上に段々と近づいてくる彼女の顔から目が離せなくなってしまっている自分がいることに戸惑いつつも覚悟を決めた時、急に目の前が真っ暗になったことで驚いていると、
「あれ?どうされたんですか?」と後ろから声を掛けられたので振り向くとそこにいたのは同じクラスの女子生徒達でどうやら忘れ物を取りに来ていたようだった。
「あぁ、実はこの子がね……」と言うと、何があったのかを説明することになった。
話を聞いた彼女達は、何故か嬉しそうな表情を浮かべていたので不思議に思っていると、女子生徒の一人が教えてくれた。
「この学校で知らないのは貴方だけです」
俺のファンクラブ設立は寝耳に水だった。夢のような話が勝手に進んでいく。出来ないまま話を聞いているとある人物が現れたことにより事態は大きく動いた。
その人物は僕と付き合っていると噂になっている女生徒だったのだが、
「あら、ここにいたのですね?もう帰りますわよ?」と言いながら近寄ってくる彼女の姿を見て嫌な予感を感じた僕が咄嗟に逃げようとするよりも早く捕まえられてしまった後強引に引きずられるようにしてその場を後にすることになった。
「それではご機嫌よう」その言葉を残して去って行った彼女と別れた僕は自宅に戻ると真っ先にお風呂に入り汚れを落とすことにしたのだった……
翌朝目を覚ました俺はいつも通り身支度を済ませてから朝食を取ると家を出た。
それから学校に着くまでの間