私−志歩は、地方の中高一貫校の中学部の3年生だ。1週間後卒業式がある。私は卒業したら高等部に上がらず、遠くにある都会の高校に行くことが決まっている。"ある出来事"のせいでクラスのみんなにハブられ一緒に高等部に上がりたくないからだった。そのためみんなと会わないために都会に引っ越しすることも決まっている。
 1週間後、無事に卒業式を迎えられた。私は転入する高校は中高一貫校を選んだ。そのほうが友達を作らずに済むと思ったから。人間関係が苦手な私にとって最高の場所だった。
 入学する前の春休みはなんとなく、引っ越し先にある近くにあるショッピングモールで時間を潰した。この街のショッピングモールは前、住んでた場所の近くにあるショッピングモールよりも広かったため、2日かけてゆっくりとまわった。服屋や、靴屋、書店や映画館など、数えられないほどの店があった。すべてが新鮮で、楽しかった。
 1日目の昼食のとき、同じくらいの年代の女子が近くに座った。この街には中学校が1校しかないからこの子達と同じ中学校に行くんだなって思った。とても関わりやすい子かなって思ったけど中学のときのような出来事はもう体験したくない
 
 小5の頃、私は一人称を「私」にしていた。恥ずかしいから誰にも気づかれたくなかったのだ。
 しかし、ある時、仲の良かった友人にトランスジェンダーのことを話した。「誰にも言わないで」って私は言った。仲の良かったから秘密にしてくれると思っていた。
 次の日から私は友達と話すときだけ一人称を『ボク』にしていた。最初は喋りにくかったけど、だんだんと話していくうちに、慣れてきた。
 6年生の頃に転入生が入ってきた。葵と言っていた。ボクたちのグループに入れて、すぐに仲良くなった。しかし、ボクはまだ信用できず葵がいるときは「私」を一人称にしていた。
 けど、遊んでいくうちに性格的に信用できるようになったので、トランスジェンダーについて話して次会うときから『ボク』に戻した。
 正直怖かった。「葵がボクのことを話すのではないか」「ボクとの距離を離すのではないか」とも考えた。
 しかし、その考えとは裏腹に葵はボクのことを話さなかった。しかも、いつもどうり接してくれた。
(ボクは葵を信じていいんだ。)
志歩はそう思い、今まで隠していた素の自分を見せた。
 そのままボクと葵たちは同じ中高一貫校に入学した。
 しかし、その信用は