「え、したの? 告白……!」

 卒業式のあと、駅に向かって歩きながらある報告をすると、未亜が立ち止まってびっくりしたように目を見開いた。

「いや、そんな過剰反応すんなよ」

 なるべくさらっと伝えて終わらせたい話だったのに。あんまりおおごとにされたら恥ずかしい。

「で、どうだった?」
「どう、って。まあ、予想どおりだけど」

 興味津々って顔でくっついてきて、ニヤリと笑う未亜から、ふいっと顔をそらす。

「ちょっとびっくりしてたけど、普通に笑ってたよ」

 おれの話に、未亜が「そっか」とつぶやく。

 今日は、高校の卒業式だった。東京の大学へ進学を決めているおれは、三月中に地元を離れる。

 地元の大学に行く隼人とも、もう会わなくなるかもしれない。そう思ったから、教室で別れるときに冗談っぽく笑って隼人に言った。

『おれさ、未亜と付き合う前……、ちょっと好きだったかも。お前のこと』

 友達だと思ってたやつからの突然の告白に、隼人は絶対に驚いたと思う。内心、引いてたかもしれない。でも、そんな素振りは少しも見せずに「サンキュー」って笑ってくれた。

 そのまま疎遠になったって仕方ないと思っていたのに、「東京遊びに行ったときはよろしく」とまで言ってくれた隼人は、いいやつだ。