「吏玖くんて、歌うまいよね。それに比べて隼人はさ、幼稚園のときから声はデカいけどちょっと音痴なの。今日もビミョーにはずれてたよね」
カラオケに行った日のあとは、そう言っておかしそうに笑っていた。
「隼人が今日とってくれた犬のぬいぐるみの顔、よく見たらちょっと吏玖くんに似てる」
ゲーセンに行った日のあとは、クレーンゲームで隼人がとってあげてたぬいぐるみの写真を嬉しそうに送ってきた。
「吏玖くんのおすすめの映画、よかったよ。隼人に選ばせたらいつもホラー一択だもん」
映画館に行った日のあとは、隼人に付き合わされてホラー映画を何本も見せられたときの思い出を苦笑いで語っていた。
四人で出かけたあとに、未亜とこっそり共有する隼人の話は楽しくて。電話越しに未亜と笑い合っていると、いつも満たされた気持ちになった。
はっきりとは聞いたわけではないけど、未亜はたぶん、隼人が好きだ。
そしておれもきっと、恋愛感情になりきれるかどうかもわからないぐらいの淡い気持ちで、隼人のことが好きだった。