ただ、俺は中学生、相手は高校生。
月1以上に会えなくなってしまった。
会えるって言ってもすれ違うだけっていうのが多くなっていた。
「あっ、りっちゃん⋯!」
「陽翔くん?何よ、久しぶりね!1年くらい会ってなかったかな?こんなにおっきくなって!」
「りっちゃん⋯あの!」
「やば、電車来ちゃう。またね!」
その「またね」が最後だった。
李月は大学進学のためにイギリスに行ってしまったのだ。
俺も次こそ手を取ってもらえるように、オーストリアの名門国立を首席合格の上でそのまま卒業。
日本に戻っても、日本一有名で最大のオーケストラに入団した。
その時まだ李月はイギリスにいたらしい。
ただ、神様は俺を見てなかった。
次に会ったのは、李月の結婚式、俺は既に25になっていた。
「陽翔くん!いつぶりだろう、元気してた?」
「あ、うん。りっ、李月さん。結婚おめでとう。」
「やだぁ、他人みたいじゃない!でも、ありがとう。」
「今、幸せ?」
「!?えぇとっても!」
その時の俺は「李月が幸せなら、その笑顔を遠くで見守るだけ」と思っていた。
だから、俺もある女性と結婚したのだ。
李月が1番なのは変わらないのに。