次の日俺らはある公園に来ていた。

「俺らってここから始まったんだよな。」
「つい最近までここで練習してたのに、なんか懐かしい気がする!」
「分からなくないわ。ここで始まって、ここで終わるのね⋯」

 ここは中2になったばかりの俺らが「Flyer!」を結成した場所だ。

 1人1つピースを出し、指先を繋げる。

 結成も、ステージ前の円陣も、こうやって繋がっていた。

「We are Flyer!世界の空を羽ばたく者!」
「「!!」」
「ふふ、⋯終わりは新しい始まりの合図!」
「どこまでも届け!私たちの夢へその先へ!」
「「「Our stage starts here!」」」
 
 ピースを空に向かって掲げる。

「もう!いきなり台詞変えないでよぉ!びっくりしたじゃん!」
「ふふ、そうね。でも、私はあれ好きよ。『世界の空』、いいワードじゃない。」
「あんがと。そんなこと言ったら、2人だってよく即興で。」
「朝日がやるなら、」
「やらなくちゃって思って!」

 Flyerは「チラシ」とかいう意味があるが、俺らは「羽ばたく者」という意味で使っていた。

 自分の夢ができたから、「Flyer!」は解散する。

 これは悲しいことじゃない、いつか来るべき未来だったのだ。

「寒いからそろそろ帰ろうよ!」
「帰ったらコンソメスープ作ってあげるわ。」
「おぅ!帰っかな。」

 入口でふと振り返ってみた。

『なぁ!3人で歌やらね?!』
『歌って、Skyでやってる人みたいなやつ?』
『あぁ!3人で歌って踊って、皆をあっと驚かすんだ!』

 つい数年前のことが思い出される。

『楽しそう!私やる!』
『夜空は?』
『私は⋯踊ったことないし⋯』
『それは俺もだし、歌もねぇよ。』
『私も私も!お姉ちゃんだけじゃないよ。』

 あの頃はまだ背が夜空や真昼の方が大きくて、俺の声も少し高かった。

『お姉ちゃんはどうしたいの?』
『私⋯もやりたい。やってみたい。』
『そう来なくっちゃね!』

 We are Flyer!心の空を羽ばたく者!

 今から始まるは心が踊る合図!

 どこまでも届け!皆の心のその先へ!

 Our stage starts here!

 ここから私たちのステージが始まる!

 「夢」は始まりと終わりがある。

 それが今日だった。