夢の途中で目を覚ます。

 嫌な夢だったが、忘れてはいけないものの1つだ。

 ちなみにだが、その店は義母が訴え裁判で惨敗の後、閉店となった。

「夜空…おい、起きろ!」
「んん…!まだ、いいでしょう…?寒い…」

 そういえば、始めて夜空の寝顔を見た気がする。

 いつも早く起きて朝食と弁当を作ってくれるから、起きた時には既に整っている。

 静かにカシャっと写真を撮る。

 どんなに夜空があったとしても、これは俺だけしか撮れない。

 義弟兼彼氏の特権だ。

 ササッと待ち受けにすると、そっとベッドから出て歯を磨き、戻る。

「夜空さーん?起きてー」
「んん…」

 目が半開きで、まだまだ寝ぼけている。

 少し前髪がはねていてボサボサ、コンタクトもメガネもしてないからほとんど俺が見えてないだろう。

 夜空らしくない夜空だ。

「おはようございます、お嬢様?」
「おはよう、朝日…お嬢様はやめて、そう見えるだけの一般人よ。」
「そうだな。でも、俺からしたらお嬢様なんだよ。」
「ちょっと引いたわ…嬉しい反面気持ち悪い。」

 なんとも言えない気持ちになった…

 苦笑いにで流すこと数十秒。

「ふふっ、冗談よ。ありがとう。」

 ペシッとデコピンされると、「朝食にしましょう?」と起き上がった。

 あの事故以来、食べることにNOを突きつけていた夜空。

 俺の成長期のために栄養管理も兼ねて食事を作るようになって、最近やっとしっかり食べられるようになった。

「今日はなんだ?」
「昨日夜つけたフレンチトーストを焼きましょう。カットキャベツとミニトマトを出して…お母さんが送ってくれた紅茶を飲んでみようかしら。」

 一般的な朝食だ、何も変わりない普通の日の朝食。

 それでも胸がいっぱいになった。

 温かい紅茶が美味しい。

 きっとこれも何気ない「思い出」なのだろうと確信した。