王都ボルディアの冒険者ギルドに入るケインと武仁、2人はフォルダンで厄災の芽を討伐した事を伝えるべくギルドの受付に声をかけた。

遅れてクリスティナと全がギルドの扉を開くと、ギルド内奥のテーブル席ににコウヨウとシーテンがいる事に気付いた全。
同時に気付いたシーテンに手を振られそれに答える様に手を上げながらケインと武仁の元へ近寄る。

「ようこそ、ボルディアの冒険者ギルドへ。私は受付係のミムと申します。本日はどうされましたか?」

受付係のミムから要件を尋ねられ「フォルダンで厄災の芽を討伐したので報告したい」と全が話す。
それに続けて「私はカルカーン領主だが、ギルドマスターはいるか?」とクリスティナが聞くとミムは「少々お待ち下さい」と言いギルドマスターを呼びに受付を離れようとしたちょうどその時、受付奥から「おぉ、久しいなクリスティナ」と大柄な男性がぬっと顔を出した。

「やぁ、ニド。ギルドマスターだと言うのに相変わらず討伐証明を査定していたのか。書類整理が追いつかないと職員からも小言を言われるそうじゃないか、ワンドから聞いているぞ」

ボルディアの冒険者ギルドのマスターはニドと言うらしく、曰く魔物の討伐証明の解析や鑑定に夢中になる性分のようだ。

「ワンドのやつ......まぁいい、で、今日はどうしたんだ?」

そうニドが返すとクリスティナが答える。

「あぁ。今しがた国王と謁見をして来たので間も無く正式に周知されるのだが......厄災が近い。厄災の芽が発生し始め、既に2つ討伐している。そして彼らが成人の器だ。ニドには先んじて知らせておいた方が良いと思ってな」

ニドは「なんと......」と呟くと眉をひそめたが「まさか我々の世代で厄災と対峙する事になるとは......伝承は真実だったのかと、思い知らされるな......」と話す。

「あぁ、何せ1000年に1度だからな。おとぎ話のように子どもの頃から読み聞かされているとはいえ、やはり目の当たりにするとな......だが、厄災の芽も聖人の器も現に実在する。全と武仁の力は桁外れだ、厄災への協力も約束してくれている。あとは国一丸となり守備を固め皆で立ち向かえば私達の代でも厄災を鎮める事ができると信じている」

クリスティナが言うと「そうだな」とニドも頷き改めて全と武仁は自己紹介をした上で全がニドに訪ねた。

「厄災に立ち向かうべく繋ぐ者(リンカー)を各地で探しています。探す、と言うと少し違うかもしれませんが......彼らには僕らのスキルにより恩恵を授ける事が可能です。ボルディアでも信頼できる、力のある方を紹介して頂きたいのですが......」

全が言い終わる前にそれを聞いていたシーテンは「僕たちなんていかがでしょう!?」と全に駆け寄る。

「たしかに、永遠の安寧(エターナルピース)がボルディアでは王都お抱えの騎士団を除けば群を抜いて力もあるだろう。Sランク冒険者だ、信頼も言わずもがなだ」

ニドが言い終わる前に今度は武仁が「永遠の安寧(エターナルピース)ってコウヨウとシーテン以外に何人いるんだ?」と割って入るとシーテンが答える。

「僕らは5人のパーティでメンバー全員がSランク冒険者です。コウヨウと僕についてはご存知の通り、コウヨウは武術家、僕が魔術師、そして僧侶のミカエル、弓使いのナユタ、リーダーが戦士のリューズです」

そう聞くと全は「では皆さんが集まったら意思確認をし、鑑定を使用する事へ同意してもらえたら繋ぐ者(リンカー)として恩恵を与えようと思います。断っておきますが、繋ぐ者(リンカー)となれば来る厄災では各領地を死守する為先陣を切って戦う事になります、一旦皆さんで相談して下さい」と話す。

「一応言っとくが俺は第六感っつー感知系スキルを常に発動させてっから、ちょっとでも悪意や敵意のあるヤツはわかるし、恩恵を得て力だけ手にして悪巧み、なんて無理だからなー」

武仁はサラッと言うと、常にスキルを発動している事に全以外は驚いたが「まぁ、規格外の聖人の器様ならそりゃそうだわな」と席についたままコウヨウが言うと一同は納得した。

「他の3人も王都にいると思います。合流次第話をしてみます。もう一度明日お時間をいただけますか?」と言うシーテンに「どうせ王都を散策する予定だし構わねぇよ」と武仁が返す。
クリスティナは「では明日私とケインはその話を見届けた後にカルカーンへ戻ろう」と話した。
話が一区切りしたところでその場は解散、宿を取ろうとクリスティナとケインと共にギルドを後にする。

「そう言えば恩恵スキルはまだ使用していないんだ。クリスティナ、ケイン、宿に着いたら早速使わせてもらってもいいかな?」

そう切り出した全にクリスティナは「もちろんだ、こちらからお願いしたいくらいだよ」と返すとケインも強く首を縦に振った。