卒業式の前日、不思議な夢を見た。
髪の毛がサラサラで、色が白くて、ひょろっとした、とにかく笑顔が可愛くて、優しそうな美男子。
――葵が話していた男の子か。
彼だとすぐに分かった。
顔を見れば嫉妬の気持ちがいっぱいになって、嫌な気持ちで溢れると思っていたのに、実際に彼を見た時、葵が言っていた通り、笑顔が可愛いと、まず最初に思ってしまった。
「突然だけど、明日の卒業式、僕も連れて行って!」
夢の中で彼は突然お願い事をしてきた。
「えっ?」
「いい?」
「う、うん」
「ありがとう!」
夢の中の僕は、あまり迷うことなくお願い事を聞き入れていた。
朝、漫画の本が散らばった机の上でころんとしていたシロクマを制服のジャケットのポケットに入れた。
卒業式の日。
僕はとても迷って、迷いすぎたけど、葵に打ち明けることにした。
式が始まるまで少し時間があったから、人が少ない廊下に葵を呼び出した。
まずは先生から聞いた話から始めた。
葵の夢の中に出てくる人は、今の僕達と同じ歳に病気で亡くなってしまった、幽霊だという事。その幽霊に葵が連れていかれてしまうのが嫌で毎日見守っていた事。彼が生きている時に大切にしていたものが教卓の中に貼り付けられていて、葵が夢を見なくなったのは、それを僕が家に持ち帰ったからだと言う事。
そして、僕の夢の中に現れて、今日、卒業式に連れてってとお願いをされた事も全部。
「えっ? 全部知っていたよ! 和真の夢の中に現れたって事以外は」
彼女は言った。何を今更言っているの? って表情をしながら。
「えっ? なんで?」
僕は聞き返した。
「葵! みんなで写真撮ろ!」
「あっ、うん! 和真ごめん! また後で」
えーー??
気になっている状態のまま卒業式が始まった。
髪の毛がサラサラで、色が白くて、ひょろっとした、とにかく笑顔が可愛くて、優しそうな美男子。
――葵が話していた男の子か。
彼だとすぐに分かった。
顔を見れば嫉妬の気持ちがいっぱいになって、嫌な気持ちで溢れると思っていたのに、実際に彼を見た時、葵が言っていた通り、笑顔が可愛いと、まず最初に思ってしまった。
「突然だけど、明日の卒業式、僕も連れて行って!」
夢の中で彼は突然お願い事をしてきた。
「えっ?」
「いい?」
「う、うん」
「ありがとう!」
夢の中の僕は、あまり迷うことなくお願い事を聞き入れていた。
朝、漫画の本が散らばった机の上でころんとしていたシロクマを制服のジャケットのポケットに入れた。
卒業式の日。
僕はとても迷って、迷いすぎたけど、葵に打ち明けることにした。
式が始まるまで少し時間があったから、人が少ない廊下に葵を呼び出した。
まずは先生から聞いた話から始めた。
葵の夢の中に出てくる人は、今の僕達と同じ歳に病気で亡くなってしまった、幽霊だという事。その幽霊に葵が連れていかれてしまうのが嫌で毎日見守っていた事。彼が生きている時に大切にしていたものが教卓の中に貼り付けられていて、葵が夢を見なくなったのは、それを僕が家に持ち帰ったからだと言う事。
そして、僕の夢の中に現れて、今日、卒業式に連れてってとお願いをされた事も全部。
「えっ? 全部知っていたよ! 和真の夢の中に現れたって事以外は」
彼女は言った。何を今更言っているの? って表情をしながら。
「えっ? なんで?」
僕は聞き返した。
「葵! みんなで写真撮ろ!」
「あっ、うん! 和真ごめん! また後で」
えーー??
気になっている状態のまま卒業式が始まった。