帰り道、みぞれが降ってきた。私は鞄に入れていた折りたたみ傘を出し、傘を広げると和真の頭が濡れないようにしようとした。

「僕が持つよ」

 和真は右手で傘を持ち、鞄も右の肩にかけて、私が傘の中で過ごしやすいように左側の空間を完全にあけてくれた。

 傘に入ると私の肩が和真の腕にぶつかり、初めて和真に触れた。

 急にこれからもずっと一緒にいたいという気持ちが心の奥底から溢れてきて、彼の手を強く握りしめた。

 彼の手はとても暖かかった。
 こっちを見て微笑んだ彼の表情も、暖かかった。

 少し歩いてから振り向き、三年間過ごした校舎を見つめた。

「どうした?」
「ん? 色々楽しくない事もあったけど、良い事も沢山あったから、ここの学校に通えてよかったなって思って。和真に出逢えたしね!」
「だね。僕も同じ気持ち」

 目を合わせて一緒ににっこりした。



 中学生活の中で、卒業まで後一ヶ月を切った時の放課後が一番、幸せでした。