無事に合格した私は、高校生活に対して、ワクワクするのと同時に不安を抱いてもいた。

 高校は地元から少し離れていて、通学には一時間以上かかる。同じ中学校から進学する人は、私以外にいなかった。合格者向けに配られた資料には、まだ中学三年生の私ですら知っている大学名が並ぶ、立派な進学実績が載せられていた。

 友達はできるだろうか。

 勉強についていけるだろうか。

 そんな懸念があった。

 だけど、せっかく入学できるのだから、弱気になっていてはダメだと言い聞かせた。

 せめて授業にはついていけるように頑張ろう。クラスメイトに積極的に話しかけてみよう。一度しかない高校生活なのだから、たくさん遊びたい。帰りに友達とカフェに行ったり、カラオケをしたり。

 アルバイトもちょっとやってみたいな。コンビニは色々とやることがあって大変そうだから、ファミレスあたりがいいかも。でも、ファミレスも大変か……。

 そうだ、恋だってしたい。

 話しているうちに仲良くなった男の子と、夏休みに海や花火大会に行ったりなんかして……。

 もしかしたら、彼氏ができちゃうかもしれない。

 そんなふうに、前向きな気持ちで入学したはずだったのに……。

 どうして――。

 どうして、こんなことになってしまったのだろう。

 この一年間は、そんな明るい高校生活からは程遠いものだった。