また女子高生になる夢を見ていた。電子音が僕の目を覚ます。スマホを叩いてアラームを止めて起き上がれば、部屋は日差しで暖かくなっている。
 
 冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して直飲みする。今日の夢も、僕は女子高生になってる夢だった。僕の過去の話でもなんでもない。ただ、知らない高校に通って知らない友達と雑談しているそんな夢だ。
 
 一気に飲み干しながらテレビをつければ、トレンドの音楽のランキングがやっている。僕の好きな曲が掛かり、つい踊ってしまう。猫耳ポーズが可愛いと評判になっている曲だった。

 投稿はしないが、踊ってる動画を見て真似てしまう。幼い気がして、友人には打ち明けられないけど。

 いつも通りの時間にアラームを掛けてしまったけど、今日は三限からの授業だった。最近よく見る女子高生の夢が頭から離れない。リッちゃんと友達に呼ばれるその子は、明るく振る舞う女の子だった。いつのまにか恋のような感情が胸に湧き上がっている。

「別に女の子になりたいわけじゃないんだけどな」

 深層心理が夢に現れると言うが、そういうわけでもない気がしてる。リッちゃんは友達もたくさん居て、クラスの中心になるような女の子。でも、人一倍努力家で人に言えない謎も胸に秘めている。

 それを覗き見してるような罪悪感が、ちりちりと胸の中で火を上げていた。まぁ、夢だけどな。

 もう一眠りするか、何かするか悩むところだが。勝手に漏れ出たあくびに釣られてソファに横になる。もう一度リッちゃんの夢を見れればいいな、と思って。