◇
バイトを終えて帰宅した俺は、ワンルームの部屋のベッドに腰かけると深いため息を吐いた。
ポケットの中には、佐藤菜々が拾ってくれたネックレス。テレビの横の棚には、白い箱に赤のリボンがかかった指輪のケース。
これ、どうするかな……。
菜々に振られて、お役御免となったネックレスと指輪。それらの処分に困っていると、高本からラインが入った。
『洸希、菜々ちゃんと別れたの? 他学部の友達が来週行く合コンメンバーに菜々ちゃんがいるって言ってるけど』
「は?」
ショックと、怒りと、悲しさと。いろんな感情がごちゃ混ぜになった声が出た。
合コンてなんだよ。俺と別れたから、新しい相手を探すのか……?
何かの間違いであってほしい……。でもほんとうは、俺のこと信じきれないなんて言っておいて、菜々だって裏切っていたのかもしれない。
立ち上がると、テレビ横の棚に置いた指輪のケースを力任せにつかむ。それをゴミ箱に投げ込んだあと、ポケットに入れたネックレスを引っ張り出した。そのままゴミ箱に捨ててしまおうとしたとき、なぜか、配達先で出会った女の人の言葉が耳に蘇る。
『持ち主に返してあげてほしい。もしかしたら、後悔してるかもしれないから』
佐藤菜々の言葉を思い出しながら、俺はネックレスをぎゅっと握りしめた。
バイトを終えて帰宅した俺は、ワンルームの部屋のベッドに腰かけると深いため息を吐いた。
ポケットの中には、佐藤菜々が拾ってくれたネックレス。テレビの横の棚には、白い箱に赤のリボンがかかった指輪のケース。
これ、どうするかな……。
菜々に振られて、お役御免となったネックレスと指輪。それらの処分に困っていると、高本からラインが入った。
『洸希、菜々ちゃんと別れたの? 他学部の友達が来週行く合コンメンバーに菜々ちゃんがいるって言ってるけど』
「は?」
ショックと、怒りと、悲しさと。いろんな感情がごちゃ混ぜになった声が出た。
合コンてなんだよ。俺と別れたから、新しい相手を探すのか……?
何かの間違いであってほしい……。でもほんとうは、俺のこと信じきれないなんて言っておいて、菜々だって裏切っていたのかもしれない。
立ち上がると、テレビ横の棚に置いた指輪のケースを力任せにつかむ。それをゴミ箱に投げ込んだあと、ポケットに入れたネックレスを引っ張り出した。そのままゴミ箱に捨ててしまおうとしたとき、なぜか、配達先で出会った女の人の言葉が耳に蘇る。
『持ち主に返してあげてほしい。もしかしたら、後悔してるかもしれないから』
佐藤菜々の言葉を思い出しながら、俺はネックレスをぎゅっと握りしめた。