「酔っ払って、浮気しちゃったか?」
SNSの投稿を見て固まる俺に、高本が苦笑いで聞いてくる。
「んなわけ……。この投稿の仕方だと、ふたりきりみたいだけど、ゼミのメンバー8人くらいで中田ん家で飲んでたんだよ。カナエちゃんは、終電前には中田に送られて帰ったと思う」
途中から寝てしまって記憶が曖昧だけど、俺が早朝目覚めたときに、既にカナエはいなかった。
俺の話を聞いた高本は、俺の前からスマホを退けながら微妙そうに眉をしかめた。
「それ、ちゃんと菜々ちゃんに事情説明してる?」
「え、ああ……。いや」
言葉を濁すと、高本がますます微妙な顔になる。
「それはまずいかもな。二限の授業の前、菜々ちゃん泣いてたよ」
「え、菜々、今どこ?」
「さあ? 二限始まる前に、友達の女の子ふたりくらいと連れ立って、講義室出てっけど。カフェテリアとか、医務室……? もしかしたら、帰って――」
俺は高本が最後まで話し終わる前に、立ち上がっていた。講義室を飛び出して向かったのは、社会学部の棟から一番近くにあるカフェテリア。菜々は、仲のいい友達と三人でそこにいた。