.
雨宮くんに打ち明けてから数日が経った。
今日も雨が降り続いている。
雨宮くんは、やっぱり雨の日にしか公園に来ないらしい。
試しに曇りの日に公園へ立ち寄ってみたけれど、その日はいつまで経っても来なかった。
その代わり雨の日は、必ず公園に雨宮くんがいて、暗くなるまでずっと一緒に話をしていた。
そんな話をする時間が私にとっては癒しの時間で、雨宮くんといる時間がとっても楽しかった。
学校へ着くと、ビクビクとしながら下駄箱を開ける。
靴がちゃんと入っているだろうか。
何かイタズラをされていないだろうか。
今日は幸いにも何もされていなかった。
今日も校内はザワついている。
特に隣のクラスが騒がしかった。
「ねぇ、知ってる?隣のクラスの雨宮 奏くんが事故で亡くなってたんだって」
教室に着き、カバンを下ろして席に着くと、そんな会話が耳に飛び込んできた。
雨宮奏くんって……
───名前が一緒だ。
私が雨の日に公園で会っている雨宮くんと。
「その話、詳しく聞かせてもらってもいい?」
いても立っても居られなくなった私は、いつも無視されていることを忘れて、その子に声をかけていた。
突然私が話しかけてきたから、クラスメイトは驚いていた。
「交通事故に遭って入院してたらしいんだけど、そのまま……だって」
同じクラスになって一度も話したことがなかった女の子がそう答えてくれた。
「あり、がと……」
信じられない。
名前が同じだけで違うかもしれない。
私が会っていたあの男の子は隣のクラスだった?
雨宮くんはいつも私服だったから、どんな制服を着ているのかは知らない。
同姓同名なだけできっと違うはずだ。
だって私は、雨の日に毎日会っていたんだから。
本当に入院していたのなら会えないはずだから。
「ねぇ、杏子……」
「えっ……」
混乱しているところに話しかけてきたのは、ずっと話していなかった彩乃だった。
一度にいろんなことが起こって頭が整理しきれない。
雨宮くんのことだってわからないままだし、なんで彩乃が私に声を……
「ごめんっ!」
彩乃は頭を下げて謝ってきた。
「全部勘違いだった……ずっと杏子を信じたかったけれど信じられなくて……裏切られた気分だった。でも、違った。今更許してくれないかもしれないけれど、ごめんなさい」
「あの、なんで……」
クラスのみんなが私たちに注目している。
クラスメイトの1人がスマホをこちらに向けて口を開いた。
「動画が回ってきたの」
それはみんなが使っているSNSで、怖くて私はいじめられるようになってから見ていなかった。
その動画が再生される。
そこには私と信田くんが小さく映っていた。
そして、微かに話し声が聞こえる。
「告白したの、圭佑だったんだね」
「彩乃……」
一番辛いのは彩乃のはずなのに。
彩乃は全てを受け入れたようだった。
「私、また杏子と友達に戻りたい」
「……いいの?」
「杏子が許してくれるなら」
「もちろんだよ」
それにしてもその動画……一体誰が。
「ねぇ、もう一回見せてくれる?」
クラスメイトに頼んでもう一度見せてもらう。
一体誰が載せたのだろう。
確認したくてアカウント名を見た。
名前は“雨”と書いてあった。
私の頭の中には1人の人しか思い浮かばない。
その日からピタリといじめは無くなった。
あの動画がみんなに回ったのだろう。
私の誤解は解けたようだった。
本当に助けてくれたの?
ねぇ、雨宮くん。
雨宮くんに打ち明けてから数日が経った。
今日も雨が降り続いている。
雨宮くんは、やっぱり雨の日にしか公園に来ないらしい。
試しに曇りの日に公園へ立ち寄ってみたけれど、その日はいつまで経っても来なかった。
その代わり雨の日は、必ず公園に雨宮くんがいて、暗くなるまでずっと一緒に話をしていた。
そんな話をする時間が私にとっては癒しの時間で、雨宮くんといる時間がとっても楽しかった。
学校へ着くと、ビクビクとしながら下駄箱を開ける。
靴がちゃんと入っているだろうか。
何かイタズラをされていないだろうか。
今日は幸いにも何もされていなかった。
今日も校内はザワついている。
特に隣のクラスが騒がしかった。
「ねぇ、知ってる?隣のクラスの雨宮 奏くんが事故で亡くなってたんだって」
教室に着き、カバンを下ろして席に着くと、そんな会話が耳に飛び込んできた。
雨宮奏くんって……
───名前が一緒だ。
私が雨の日に公園で会っている雨宮くんと。
「その話、詳しく聞かせてもらってもいい?」
いても立っても居られなくなった私は、いつも無視されていることを忘れて、その子に声をかけていた。
突然私が話しかけてきたから、クラスメイトは驚いていた。
「交通事故に遭って入院してたらしいんだけど、そのまま……だって」
同じクラスになって一度も話したことがなかった女の子がそう答えてくれた。
「あり、がと……」
信じられない。
名前が同じだけで違うかもしれない。
私が会っていたあの男の子は隣のクラスだった?
雨宮くんはいつも私服だったから、どんな制服を着ているのかは知らない。
同姓同名なだけできっと違うはずだ。
だって私は、雨の日に毎日会っていたんだから。
本当に入院していたのなら会えないはずだから。
「ねぇ、杏子……」
「えっ……」
混乱しているところに話しかけてきたのは、ずっと話していなかった彩乃だった。
一度にいろんなことが起こって頭が整理しきれない。
雨宮くんのことだってわからないままだし、なんで彩乃が私に声を……
「ごめんっ!」
彩乃は頭を下げて謝ってきた。
「全部勘違いだった……ずっと杏子を信じたかったけれど信じられなくて……裏切られた気分だった。でも、違った。今更許してくれないかもしれないけれど、ごめんなさい」
「あの、なんで……」
クラスのみんなが私たちに注目している。
クラスメイトの1人がスマホをこちらに向けて口を開いた。
「動画が回ってきたの」
それはみんなが使っているSNSで、怖くて私はいじめられるようになってから見ていなかった。
その動画が再生される。
そこには私と信田くんが小さく映っていた。
そして、微かに話し声が聞こえる。
「告白したの、圭佑だったんだね」
「彩乃……」
一番辛いのは彩乃のはずなのに。
彩乃は全てを受け入れたようだった。
「私、また杏子と友達に戻りたい」
「……いいの?」
「杏子が許してくれるなら」
「もちろんだよ」
それにしてもその動画……一体誰が。
「ねぇ、もう一回見せてくれる?」
クラスメイトに頼んでもう一度見せてもらう。
一体誰が載せたのだろう。
確認したくてアカウント名を見た。
名前は“雨”と書いてあった。
私の頭の中には1人の人しか思い浮かばない。
その日からピタリといじめは無くなった。
あの動画がみんなに回ったのだろう。
私の誤解は解けたようだった。
本当に助けてくれたの?
ねぇ、雨宮くん。