「雨宮くんに、会いたかった」
「あぁ……ごめんね」
ここ数日、公園に来てくれなかったことを謝っているのだろうか。
「僕、雨の日にしか来られないんだ」
雨宮くんは雨空を見上げてそう言った。
「そうなんだ。それなら早く言ってよ」
「うん、ごめん」
雨宮くんは優しく微笑んだ。
その優しさにまた泣きそうになる。
「杏子をそんな顔にしちゃってるのは僕のせい?」
心配そうに聞いてくる。
「ううん、違う」
雨宮くんじゃない。
これは私の問題だ。
「僕には、話せない?」
「……私、」
そっか。私、誰かにずっと話を聞いてもらいたかったんだ。
そう思うと、ストンと気持ちが落ち着いた。
ずっと雨宮くんに話を聞いて欲しくて、その姿を探していた。
だから、今日会うことができて、ホッとした。
「あのね、私……学校でいじめられてるの」
親にも言ったことはない。
そう打ち明けるのは、雨宮くんが初めてだった。
「無視されたり、悪口言われたり、物隠されたり……今日の傘だってそう」
悔しさで涙が溢れそうになり、視界が歪む。
話すこともできなければ、謝ることもできない。
やめてと言いたいのに、怖くて何も言えない。
先生にだって相談できない。
先生に言ったとバレたらもっといじめが酷くなりそうで怖い。
「私は告白されただけなの。大切な友達の彼氏に。大切な友達の彼氏だったから、私はその告白を断った。それなのに次の日学校に行ったら……私が友達の彼氏を奪ったことになってた」
私は友達のためを思って行動したはずだったのに。
いつの間にか、友達を……彩乃を裏切ったことになっていた。
「辛かったね、杏子。よく今まで耐えて頑張ってたね」
雨宮くんは優しく背中をさすってくれた。
話しただけで何も解決してはいないけれど、心はすごく軽くなっていた。
「聞いてくれてありがとう」
「ううん。僕に話してくれてありがとう。少なくとも杏子のことを信じてる人はいるよ。僕は、杏子を信じてる」
「……っ、ありがと、雨宮くん」
「泣いていいよ。僕が慰めてあげる。それに、今なら全部雨のせいにできるから」
「……ふぇっ」
泣いていいと言われて初めて、私は涙を流すことができた。
ずっと、辛かった。
ずっと、誰かに助けて欲しかった。
どれくらい私は泣いていたのだろうか。
雨のせいでわからないけれど、少しだけ辺りは暗くなり始めていた。
「落ち着いた?」
「うん、ありがとう。ハンカチ、ぐしょぐしょ……」
「いいよ、僕そんなに使ってないし」
「今度洗って返すね」
「そんなの、全然いいのに」
雨宮くんはまた優しく笑った。
そんな笑顔に私は助けられている。
「そろそろ帰る時間かな?」
「うん、そうだね。今日は本当にありがとう」
「うん。僕はずっと杏子の味方だから。いつでも助けてあげる。あ、そうだ。この傘使って?僕もうひとつ持ってるから」
「いいの?」
「うん、どうぞ」
「ありがとう、雨宮くん」
雨宮くんの言葉はとても心強かった。
雨宮くんが居れば、なんでも頑張れそうな気がした。
「あぁ……ごめんね」
ここ数日、公園に来てくれなかったことを謝っているのだろうか。
「僕、雨の日にしか来られないんだ」
雨宮くんは雨空を見上げてそう言った。
「そうなんだ。それなら早く言ってよ」
「うん、ごめん」
雨宮くんは優しく微笑んだ。
その優しさにまた泣きそうになる。
「杏子をそんな顔にしちゃってるのは僕のせい?」
心配そうに聞いてくる。
「ううん、違う」
雨宮くんじゃない。
これは私の問題だ。
「僕には、話せない?」
「……私、」
そっか。私、誰かにずっと話を聞いてもらいたかったんだ。
そう思うと、ストンと気持ちが落ち着いた。
ずっと雨宮くんに話を聞いて欲しくて、その姿を探していた。
だから、今日会うことができて、ホッとした。
「あのね、私……学校でいじめられてるの」
親にも言ったことはない。
そう打ち明けるのは、雨宮くんが初めてだった。
「無視されたり、悪口言われたり、物隠されたり……今日の傘だってそう」
悔しさで涙が溢れそうになり、視界が歪む。
話すこともできなければ、謝ることもできない。
やめてと言いたいのに、怖くて何も言えない。
先生にだって相談できない。
先生に言ったとバレたらもっといじめが酷くなりそうで怖い。
「私は告白されただけなの。大切な友達の彼氏に。大切な友達の彼氏だったから、私はその告白を断った。それなのに次の日学校に行ったら……私が友達の彼氏を奪ったことになってた」
私は友達のためを思って行動したはずだったのに。
いつの間にか、友達を……彩乃を裏切ったことになっていた。
「辛かったね、杏子。よく今まで耐えて頑張ってたね」
雨宮くんは優しく背中をさすってくれた。
話しただけで何も解決してはいないけれど、心はすごく軽くなっていた。
「聞いてくれてありがとう」
「ううん。僕に話してくれてありがとう。少なくとも杏子のことを信じてる人はいるよ。僕は、杏子を信じてる」
「……っ、ありがと、雨宮くん」
「泣いていいよ。僕が慰めてあげる。それに、今なら全部雨のせいにできるから」
「……ふぇっ」
泣いていいと言われて初めて、私は涙を流すことができた。
ずっと、辛かった。
ずっと、誰かに助けて欲しかった。
どれくらい私は泣いていたのだろうか。
雨のせいでわからないけれど、少しだけ辺りは暗くなり始めていた。
「落ち着いた?」
「うん、ありがとう。ハンカチ、ぐしょぐしょ……」
「いいよ、僕そんなに使ってないし」
「今度洗って返すね」
「そんなの、全然いいのに」
雨宮くんはまた優しく笑った。
そんな笑顔に私は助けられている。
「そろそろ帰る時間かな?」
「うん、そうだね。今日は本当にありがとう」
「うん。僕はずっと杏子の味方だから。いつでも助けてあげる。あ、そうだ。この傘使って?僕もうひとつ持ってるから」
「いいの?」
「うん、どうぞ」
「ありがとう、雨宮くん」
雨宮くんの言葉はとても心強かった。
雨宮くんが居れば、なんでも頑張れそうな気がした。