次の日の帰り道。
今日も学校は散々だった。
もういつものことだけれど、無視されるし、悪口は言われるし。
心が疲れてしまう。
それなのに、なんという天気だろう。
梅雨に入ったというニュースが流れたばかりなのに、今日は快晴だった。
こんなに晴れるなんて珍しい。
今の私には、ギラギラと照りつける太陽がとても眩しすぎた。
そんな帰り道にふと雨宮くんの言葉を思い出す。
“僕、よくここに来るからまた話そうよ”
確か、雨宮くんはそう言っていた。
特に話すような出来事なんかないけれど、今日も何か話したい気分だった。
閑静な住宅街を歩いてまもなく、公園が見えてきた。
公園の入口で立ち止まる。
晴れているからか、地元の小学生たちがボールを蹴って遊んでいた。
雨宮くんの姿はない。
まだ来ていないのだろうか。
雨宮くんも高校2年生だと言っていたから、授業が長引いてまだ帰ってきていないのかもしれない。
待っていたら来るだろうか。
そう思い、公園に足を踏み入れる。
昨日と同じようにブランコに乗って、地面を蹴飛ばした。
──早く来ないかな。
いじめられるようになってから、人と関わることは避けていた。
人と関わることで傷つくのは自分だってわかっていたから。
それなのに、雨宮くんはなぜか違う。
また話したいと思った。
それは私のことを何も知らない人だったからかもしれない。
知らないからこそ気を張らなくてもいい。
ブランコを漕ぎ始めてからもう1時間は経っただろうか。
雨宮くんは来なかった。
目の前にコロコロとボールが転がってくる。
それを追いかけるように小学生の男の子がこちらへ向かって来た。
ブランコを降りてボールを拾う。
「ごめんなさい!」
ちゃんと謝れるいい子だ。
「ううん、大丈夫。はいどうぞ」
サッカーボールだったから蹴って返そうか迷ったけれど、運動神経が悪いことを思い出してそれはやめた。
もう帰ろうかな。
雨宮くんの嘘つき。
いや、嘘ではない。
よくここに来るからと言っていただけで、毎日来るなんて言ってない。
私のただの勘違い。
横に置いておいたカバンの底の土を落として、家に帰ることにした。
また会えるといいな、雨宮くんに。