俺は2ヶ月前から独りで暮らしていた家を出る。家を出るのはいつぶりだろうか。政府のドローンで食糧は配給されていたため、多分3ヶ月近く家から出ていなかっただろう。

「うっ...」
 家から一歩出た途端、眩しい光に包まれたように感じた。当然そんなわけもなく、太陽の光を久々に浴びただけなのだが。
 そして、更に驚いたことがあった。全然歩けなくなっている。これが自然ともいえるが、引きこもっていると体力は落ちるのだった。こんな状態では自転車なんて乗れたものではなく、電車も列車砲に改装されており運行はないため、仕方なく徒歩30分かけて学校に向かった。

 体力不足に苛まれながら学校に着いた頃には、もう俺は疲れ果てていた。学校には俺の他、家での孤独を拒んだ幾人かの生徒が寝泊まりしているようで、意外にも外見には廃校感は少なかった。これは大掃除からを覚悟していた俺にとって少しばかり嬉しい知らせであった。

 学校に東門から入った俺は、とりあえず自分の通っていた教室を目指した。東門から入ると左右逆L字状に鉄コン建の新校舎があるが、その奥にある旧校舎に俺の通っていた2C教室はある。尚、コの字になっているわけではなく、縦棒の延長線上に旧校舎が存在する。

 2C教室に向かう最中に迷ったりはしたものの、なんとか20分かけて教室に到着した。そこでスマホを取り出して充電を始めたところで気づく。

  「そういや、誰も呼んでなかった」

 俺はつい口に出して言ってしまったが、作戦の最初にして重大な欠陥はそれだった。