体育祭が終わった、次は3年の先輩達が引退する前最後の試合だ。もか先輩たちがぬけたからか2年生の先輩たちはとても元気になった。この前は市大会まで進んだものの私のせいで県大会出場することができなかった。この間、田中先生に試合にでたいかと聞かれたけど、私は断った。これは決して住川先輩に遠慮してるわけではない。先輩、後輩という立場でありながら私は住川先輩をライバルと思ってる。じゃあなんで断ったって?それはね...実はまだ少し自分のことを責めるんだよね。晶や先輩達からは大丈夫と言われていたけど、もしあそこで勝っていたら今回の市大会を飛ばせたんだ。その分先輩たちの負担がなくなっていたのに。それだけじゃない、もしもう一度あの場面に出くわしたら、今度は打つこともできなくて、フリーズしちゃいそう。そういう理由も含めて断った。だから、今回は応援として頑張るぞ!
「ねぇ、紗織ちゃん、本当に断ってよかったの?試合出たいでしょ?」
尊いな晶
「出たくないと言ったら嘘になるけど私が入る隙なんてないよ、先輩たちの絆はとっても厚いからね!まぁ、でもピンチになったら出たいかも。」
そんな、ピンチくるかな??
市大会は先輩たちの活躍のおかげにより、市大会優勝and...県大会出場枠獲得ー!やった〜!やっぱり、3年生たちの厚い絆は私が入る隙もないや、一瞬でも私も出れるかなと期待した私がちょっぴり恥ずかしい。
優勝したけれど先輩たちの雰囲気は暗かった。どうしたんだろう、何かあったのかな?
その予想は的中した。この日の帰りミーティングのため、学校に戻って行った。ミーティングでは、次のレギュラーとポジション、対戦相手の確認を行った。もしかしたらのもしかしたらで出るかもしれないから一応聞いておこう!
「えー、次からのレギュラーメンバーだが変更になる。」
なんで??今のチーム最高なのにな。もしかして暗かったのはケガとかのせいかな??大丈夫かな?誰と誰が代わるのかな?
「えー、メンバーだが、住川から新山に代わる。」
「はぁーーー????」
思わず立ち上がって叫んでしまった。
「なんでですか?私はあのことがトラウマでまだしばらくは出れないって言いましたよね?代えてください。そもそも何で住川先輩を変える必要があるんですか?雰囲気とかも含めて住川先輩の方がいいと思います。」
また、また、なんか言われちゃう。もう、こういうことは懲り懲りなのに。
住川先輩は?どう思ってるの?
あれ!?いない、もしかして代わるのが嫌すぎていなくなったのかな?
みんなから視線が、やっぱり私になることはみんな反対なんだ。いやだ、ここにいたくない。
気がつくと私は体育館から出てひたすらに走って家に着いていた。
「あー、荷物忘れちゃったな。まぁ、明日取りに行けばいいかな。」
どうして私なの?神様これはいくらなんでもひどいよ。
翌日の学校私は休んだ。
先輩たちからはたくさんのメールと電話が来た。でも、やっぱり、私がいるとチームの雰囲気が悪くなるので、私は行がない方がいい。ほんとはみんなと練習したいけど、みんなのためだ。我慢するんだ。そしたらきっと報われる。うん、きっと...
「学校に行かないと暇だなぁ。」
ふと声に出ていた。その声はとてもかれていて元気がない声だった。
暇だし、寝よっかな。
「はっ!今何時だ?よく寝たなー。ん?もう3時かお昼食べてないな、何か食べよう。」
そう言って自分の部屋から出るとチャイムが鳴り響いていた。私が軽いご飯を食べてる5分くらいの間もずっと鳴り続いていた。
「しつこいな。まぁ、そのうち諦めるだろう。部屋で勉強しよ!」
この時、誰がチャイムを鳴らしたのかよく見てなかった私が本当にバカだった。
部屋に戻って勉強して15分くらいが経った時、突然部屋のドアが開いて晶が入ってきた。
「あ、あきらぁ?な、な、な、なんで晶が私の部屋に入ってきてるの?まさか、晶の振りした空き巣?残念だったな、私がいるからお前はもう終わりだ!」
突然のことで考えてる余裕はなかった、ただ空き巣を倒そうとそう考えていただけだ。
「紗織ちゃん、落ち着いて、実はね、紗織ちゃんのお父さんに朝会って朝は学校があるからって紗織ちゃんに会うの断られたんだけど学校が終わったあとはきていいよって言われたの。で、チャイムを鳴らしても多分出ないからって合鍵をもらったの。そんなに気になるなら紗織ちゃんのお父さんに聞いてみて。」
まぁ、この口調的に晶か。
「で、なにしにきたの?」
「戻ってきて練習しにきてって言いにきたんだよ。」
「べつに、私がいっても迷惑かけるだけだよ。」
「そういうと思った。だから、予め先輩たちと作戦練ってきてるの。ということで、学校向かうよ。早くきて。」
は!?晶私の言ってることわかるのかな?全然話が噛み合ってないんだけど。
そんな、考える時間もなく、晶は私の腕を引っ張ってどんどん歩いていく。
「待って、晶私、部屋着だし髪とかも揃えてないし、コンタクトも入れてないんだけど。そんな姿で行きたくないよ。」
「別に、そんなこと考えなくていいじゃん。紗織ちゃんは何にもしなくても可愛いよ♡」
久しぶりに思った。晶ってやっぱ可愛い!
そんなことを考えてるうちに学校、体育館についてしまった。
「あ、晶!紗織連れてきてくれたんだね。」
あ、住川先輩。どうしよう、なにを喋ればいいのかわからない。
「紗織、ごめん!私のせいで辛い思いさせたよね。」
え?なんで、私が私が行けないのに。
「いや、俺の責任でもある。」
田中先生までなに?なんで、私のせいだって言わないの?私のせいなんでしょ。
「なんで、私が行けないならそう言ってください。そっちの方がスッキリします。」
早くこの真っ黒な心を解き放して。
「ごめんね、紗織ちゃん私があの時いなかったから変な勘違いさせちゃったんだよね。それと、田中先生が言うまでに帰っちゃったから、聞いていないと思うけどさ、これは私が田中先生に提案したこと。もちろん、このことは3年全員で話したことだよ。だから、私は恨んでいない。むしろ、感謝してるのあんなに強いチームを作ってくれて。」
どういうこと?
「私は、先輩たちに迷惑をかけた。前の市大会ではサーブミスしたし、でも今回は住川先輩が頑張ったから勝てたんですよ。」
私は迷惑をかけてばかりなのに。
「違うよ、紗織が戦った相手より、今回の方が弱かった。それに、みんな紗織が頑張ったからこんなに気合いを入れてるんだよ、紗織に負けてられないってだから、私は確実に勝てるチームがいいなと思ったの。もちろん試合に出れないのは悲しいけど、私たちはみんなでチームだから応援でも勝てる確率が高い方を選びたいんだ。このチームで勝ちたいの。だから、お願い、私の代わりには頑張って活躍して!」
「なんなんですか、それ。私の早とちりじゃないですか。正直、私は先輩が出てるところが見たい、でも先輩がそこまで私のことを高く見てくれてるなら私は絶対このチームで県大会優勝します!そして全国大会優勝!まぁ、流石に夢見すぎですかね?」
「いいんだよ、そんくらい目標は高くなくちゃうね!」
よかった、私このチームに必要とされてるんだ。嬉しい。
それから、一生懸命練習して県大会優勝という目標が現実になった。
「夢みたいだ。次は全国大会か。」
夢を見ているような気分だった。
「晶、ありがとうね。晶がいなきゃ私、あそこでバレーボールやめてた。ほんと晶には感謝することばかりだよ。よーし、絶対優勝するぞ!」
「うん!紗織ちゃんたちならできる!僕も応援頑張る!」
ありがとう。晶がいたからだって何回考えればいいんだろう。本当に晶すごいな。
全国大会、どこの県からも強豪が出てきた。周りのチームからは私たちが知られなさすぎて、めちゃくちゃ痛い視線を感じる。
バンッ、バンッ、バンッ
痛っ、急に背中を3回叩かれた。後ろを振り向くと晶、涼、美羽がいた。
「3人とも酷いよ。これから試合だって言うのに強く叩きすぎだよ。」
「だってさ、紗織、緊張しすぎだもん。」
「私に言った言葉言ってあげる。紗織、期待してるよ!」
「そうだよ、緊張しすぎ!紗織ちゃんは紗織ちゃんらしくやればいいよ!」
「りょーかい!頑張ります!」
その時、なぜ私は相手を甘く見ていたのだろう。私たちは1セットで10点も取ることもなく負けていった。私が、私が相手チームに煽られて冷静になれなかったからだ。
『お前のパパは、ズルとしてる』と言われたのでムカついてしまった。その結果私が独断行動をしてしまった。また私のせいで負けてしまった。せっかく、全国大会まで来れたのに。
私は試合が終わったら先輩たちと目を合わせるのが気まずかったので、会場の目の前の公園で休んでいた。
そこに涼と美羽が来た。
「あ、ここにいたんだ。紗織、もうすぐミーティング始まるよ!」
「うん、わかった。」
「紗織、切り替えも大事だよ。紗織が本調子でも勝てなかったと思うよ。練習量とか違うし、相手強すぎたからね。」
「そうそう、だからいつまでもクヨクヨしない。」
「あと、私のせいだとか思わない!わかった?」
「うん、みんなにいっぱい言われてるからそれは思ってない。でも、最後なんだって知るとかなしくなる。それに、初めて心から負けたのが悔しく思えたから。」
いいことではあると思う。でもな、やっぱり少しは考えちゃう、私のせいって。
「よかった!」
「うんうん!次は違うチームになるけど、絶対勝とうね!」
「もちろん!」
仲間ってすごい存在だな。
「じゃあミーティングいこ!」
今なら、自信を持って言える!このチームでよかったって。
「うん!」
先輩たちはみんな揃って待っていた。
やばい、遅れちゃったな。
「よし、みんな揃ったな。集合!」
「「はい!」」
みんなで一斉に先生の周りにいく。
「気をつけ礼!よろしくお願いします。」
先生の話が始まった。そうそう、女子はこの掛け声がかっこいいんだよな。
「えー、みなさんお疲れ様でした。みんなそれぞれ思うことがあると思いますが、全国大会まで来れたのはとてもすごいことです。誇っていいです。自慢しまくってください。負けたけど、って思う人いますよね?でも、毎回必ずプラスの考えを持ってください。」
「はい、じゃあ、1番落ち込んでる紗織!今回の感想。自分のプレーどうだった?」
わ、わたしぃ?そんなに顔に出てたかな。まぁ、いいや、で質問は。
「えっと、私は今回先輩たちに遠慮してトスを呼べませんでした。他にもサーブミスが多かったです。先輩たちと最後の試合だったのにとっても悔しいです。本当にごめんなさい。せっかく、住川先輩と、、、」
「暗いわぁー!!」
私の途中で田中先生は被せてきた。
「お前のせいじゃないってみんな思ってる、お前がいたからここまで来れたんだ。もっと明るく考えろ。」
「晶!今、紗織が話したのをプラスで言ってみて。」
「はい!では、私は今回先輩たちに遠慮してトスを多く呼べませんでした。でも、私や他の先輩たちが決まったときはみんなで喜んで嬉しかったし、楽しかったです。先輩たちと最後の試合でとても悔しかったけど、最後に一緒に楽しい試合ができてよかったです。3年の先輩たち、本当にお疲れ様でした!僕たちに安心して任せてください!とかはどうですか?」
すごい、反省してることも伝わってくれば、元気なところも伝わる。さすが、晶だな。
「晶、サイコー!紗織もこれくらい明るくしろよ。」
「はい。」
そのあと先生は先輩からに向けて話を進めた。私はこれからこの先輩たちのようにカッコよくならなきゃならないのか。大変だな。
「よし、話は終わり。解散!ちゃんと休めよ。」
家に帰って、お風呂に入って部屋に戻ると直ぐにベッドに入ってしまった。
朝、気がつくと10時になっていた。今日は学校なのに。やばっ。
急いで立ちあがろうとしても体がゆうことを聞かないで立ち上がれなかった。どうしよう。
ん?何かある。
『紗織、あなた朝起こしに行ったら、体が暑かったから熱測ったのそしたら39度あったわよ。だから先生には休むって連絡しといたわよ。で、今日ママ仕事だから家政婦さん呼んどいたわよ。ママより』
熱?それも39度?どうりで起きれないわけだ。
田中さんがきてるのか、電話しよ。
「田中さん、今起きました。」
わ、ほんとに熱だ。声ガラガラ。
『起きたのね。わかった。熱測るから上いくね。』
それから、1週間熱は下がらなかった。
ママにはそんなに疲れるならバレー部やめろと言われた。でも、自分の好きな方を選ぶ。例え、私がみんなに迷惑をかけても。
次の日、学校に行き、先生に疲れが溜まると寝込むことがあります、と話に行った。先生は誰も迷惑だと思ってないからと話してくれた。だから、私はひたすら練習に励んだ。