わたしが全ての買い物を終えた後の空はとても暗かった。春の夜でもこんなに暗くなるんだな。青空が綺麗だ。と、私が空を目とれていた時、どこかで聞き覚えのある声が聞こえた。
「何、今日紗織と2年生がもめただと。」
あ、パパの声だ。パパ、今日あったこと知ってるんだ。隣にいるのは誰だろう。もしかして晶!?そうだったら昼間のことは確信だな。
盗み聞きというわけではないけど、わたしはパパがいる方に耳をすました。
「はい。わたしがいない間だったのですので、詳しいことは知らないのですが、部長の永瀬から聞いた話では紗織さんは特に悪くないということでした。今後このようなことが起こらないように、また対策を取ります。」
あー。これ顧問の田中先生の声か、ほんとよかった。でも、後ろに人影が。まぁ通り過ぎの人だよね。ここに晶がいたらわたし晶のこと信用できなくなるからな。まぁ、昼間のは勘違いってことで。あー、スッキリした。よし!早く家に帰って今日買った漫画でもよもっかな。
私は家に帰ってリラックスモードで漫画を読んでいた。ガチャ、玄関から音がした。パパが帰ってきたんだ。私は、少し気になったので玄関に走って行ってみた。そこには、いつものパパ?いや少し怒ってるパパがいた。パパは基本怒らないと会社の人とかママは思っている。でも、本当は違うんだ。パパはほんの少しだけ眉毛が上がっていて、唇が少しとんがってるんだ。今日はいつもより眉毛が中によってる。こんなに怒るんなんて、初めてみたかも、何で怒ってるのかな。私が考えているとそこにママが来た。
「2人とも、何してるの?ご飯できたよ。」
「うん?あ、あー。紗織いつからそこに?」
「ついさっきだよ。てかさパパ今日なんかあった?」
「何にもないよ。どうして?」
笑顔で聞いてきたパパうさんくさい笑顔、ママは気づいてるかな?私がずっと無言でいるとパパは不思議そうに私をみてきた。私は正直に言って困った。本当のことを言ってもいいがママの前だし普通にパパにはぐらかされるから言っても意味ないのではという意見か、パパがこんなに怒ってるのは珍しいから聞いた方がいいという意見で迷っていた。まぁでもー
「いや、今日本屋の目の前でさパパ見つけてさ、田中先生と話してたから何してたんだろうかなって思って。」
パパは少し視線を落として無言になった。
やっぱり聞くだよね!てか何も喋らない!?聴いてよかったのかな。でも、昼間の晶のこともあるしね、やっぱり少し納得いかないんだよな。あそこでパパが田中先生と会っていなかったら不思議に思わなかったけど。昼間もめた時には田中先生はいなかった。なら何で知ってるのって話になるよね。そこで考えられる理由はふたつ。ひとつは、晶が田中先生に言った。もうひとつは、部長が言った。だけどさ、晶が言ったらもっと大ごとになってそう。
これで大したことじゃなかったら晶を信じよう!
パパはずっと閉じてた口を開けた。
「あー。少し話をしてただけだ。」
「だから、」
私が言う声にあわせてパパはしゃべってくる。
「そういえば、聞いたぞ。バレー部入るんだってな。もう、大丈夫なのか?」
「うん。大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」
本当は大丈夫なわけがない。でもパパの前だけでは...
「大丈夫ならよかった。これからも頑張ってな。応援行ける時は行くから。」
パパは片手を私の頭に置いて優しく撫でてくれた。なんか久しぶりだな、この感覚、頭からパパの温もりが伝わってくる。やっぱり、パパは何にも隠してない。だって、パパだもん。私に嘘をつけるはずがない!今夜は安心して眠れそうだな。私は気持ちよくベッドに入った。
2人の大人が私に本当の自分をあかしてないこと
も知らずに私は気持ちよくベッドで寝ていた。
放課後私が向かうところはただ一つ本屋だ!と思っていた時の自分に言ってやりたい、今の私は全然幸せじゃないんだって。
なんでまたやり直さないといけないのかな。
ほんと悲しすぎだろ、まぁ、やるって言ったしやらなきゃな。
私はそんな気分を抱えながら教室のドアを開けた。そこには晶がいた。今日もいい笑顔ありがとうございます!この尊さ、可愛すぎる。
「あ、紗織ちゃん!ヤッホー!一緒に部活行こ!先輩達には昨日僕から言っといたよ。」
昨日か、結局あれはなんだったんだろうか、よく考えるとパパには話をすり替えられていいことを言われたから信じただけと思ってきた。
だから、まだ晶が白確定とは言えないのだ。
まぁ、考えてても仕方がない。バレー部頑張るか!
「ああ。ありがとう。行こっか。」
そういい、2人で体育館に向かった。
そこには私と同じクラスの子と晶のクラスの子の2人の女の子がいた。誰だろう。私の表情を見たのか横から晶がこっそり教えてくれた。
「あの2人は新入部員ね。仮入部飛ばしてもう入りたいんだって。昨日、紗織ちゃんが帰った後に来たんだ。」
新入部員か、私と同学年か。
『お前のせいだお前のせいで先輩達は試合に出れないんだ。少しは遠慮しろよ。』
不意に昔のクラスメイト兼元チームメイトの言った言葉を思い出した。
「そ、そうなんだ。」
なんか気まずいな、どんな子だろ。
「あ、私涼!よろしく!こっちが、、、」
「美羽だよ!よろしくね!えっと、」
「紗織だよ!さおりでいいから。」
「「りょーかい!」」
「集合!一年生もこっちにきて。」
晶が昨日言ってきた部長が体育館にきてみんなに向かって叫んだ。
私たち4人も部長の元に向かった。
よく見ると昨日いなかった先輩達がちらほらいた。
「よし、今日から新入部員が4人入る。残念なことに4人だ。今年は少ないな。まぁとりあえず、入ること確定の紗織、美羽、涼、それとマネージャーの晶、前に来て自己紹介して。」
「チッ。」
先輩が私たちの名前を呼ぶと舌打ちが聞こえてきた。
まぁ、そんなことはどうでもいいけどね。
なので、私達4人は前にでて自己紹介をした。
「じゃあ最初に紗織からお願い。」
「はい。櫻ヶ丘中学校出身新山紗織です!ポジションはWS(ウィングスパイカー)です。得意なのはサーブです。よろしくお願いします!」
「次、晶!」
「はい、えっとマネージャーとして入る瀬戸口晶です。紗織ちゃんと同じ、櫻ヶ丘中学校出身です。マネージャーの仕事は意外と上手くこなせます。なので、困ったことがあったらいつでも頼ってください。知ってる方も多いかもしれませんがまた、改めてよろしくお願いします!」
知ってる方?やっぱり、晶知り合いなのかなぁ。最近の晶何にも教えてくれないからな。
「じゃあ次、涼!」
「花宮中学校出身桜葉涼です!ポジションはMB(ミドルブロッカー)です!得意なのはブロックです!よろしくお願いします!」
「次に美羽!」
「ひゃい!あぁ、間違えました。はい!」
「元気な返事ありがとう。」
この場にいるみんなが笑ってしまった。
「改めて、花宮中学校出身岡部美羽です!ポジションはS(セッター)です!得意なのはサーブです!よろしくお願いします!」
花宮中か、たしか、去年県大会まできてたよな。準決勝で敗れたんだっけな?勝ってたら私のチームと決勝であたってたのにな。
まぁ、決勝は私がサボって結局準優勝だったんだけどね。
「私がこの白蘭高校部長の永瀬糸だ。よろしくな。じゃあ3年から、、、」
先輩達はみんな自己紹介をしてくれた。
先輩達は私たちを暖かく認めてくれた。人もいれば睨んでいる人もいる。
とりあえず、入っちゃってたもんは仕方がないから楽しもう!
それからというものの私は気がつけばいつも涼、美羽、晶の4人で行動をしていた。
私と美羽が1組で晶と涼が2組でクラスは別れとしまったが、体育は同じだし、よくみんなでお昼を食べるのが日常になっていった。中学生の時の自分では考えられない、光景だ。こんな気持ちになるなんて初めてだ。こんなふうに笑える仲間がいるなんて私は幸せ者だな。
それからは、私はもか先輩達に悪口を言われても前を向く理由となる2人がいるおかげ練習に励むことができた。
区大会は残念ながら3人ともベンチで試合には出ることができなかった。ちなみに私は8番、涼が12番で美羽が13番。それも15人いるなかのね!だから意外といい番号を取れたんだ!そして私たち白蘭高校はみごとに区大会では優勝をし、市大会に進むことができた。
市大会のために向けた練習1日目、みんなで楽しく練習をして終わりだけじゃなかった。突然3年の住川先輩が手指を骨折してしまった。
大会までの2週間で治るわけがない。だからみんなの今考えてるのはひとつだけ。誰が代わりに出るかだ。住川先輩は、レフトでウィングスパイカーの凄腕だ。監督から発しられた言葉は
「住川の代わりは遠山がやれ。一応いうけどなこれは俺の命令とかではないぞ。住川自身が決めたことだ。」
わたしぃぃぃぃぃ!?本当はやだけど住川先輩だってやなはずだ。なら、頑張んなきゃだよね。
その時、もか先輩達がどんな顔をしてるか浮かれてた私に言ってあげたいな。
こんなんじゃ、終わらないよって顔をね。
私たち白蘭高校は結局決勝で負けて、準優勝で終わってしまった。それは、私が最後サーブミスをしてしまったからだ。
先輩達は気にするなと言ってくれた、もちろん涼と美羽もだ。私も気にするなと言われたけれど、やっぱり気にしちゃう。
「紗織ちゃん!紗織ちゃんのせいじゃないよ。しょうがないことだよ。全然練習できてなかったんだから、紗織ちゃんはやり切ったよ。頑張った!自信を持って!」
なんで、晶が涙流してるの?私はもう大丈夫だからね。
「晶、ごめん!なんか、晶の可愛いところ見ていたら切り替えられそうかも。ありがとね。」
ありがと、晶!
私って晶に助けてもらってばかりだな。晶が私の隣にいてくれてよかった。
「晶、ありがとう!私さ、改めて思ったんだ。晶がいてくれたおかげで中学校では知ることもなかった、色々な気持ちに気づけた。」
私は本当に恵まれてるな。何が中学校は最悪でしただよ。私が自分で抜けて自分のせいにするのが怖くて人のせいにしてるだけじゃん。一番強敵な敵は自分だってことを忘れてたわ。はぁー。なんかこんなんで悩んでた私がバカに思えてきた。とりあえずは今、目の前にあってできることからどんどんやっていこう!
私は晶のおかげで気持ちが切り替えられた。
体育館に入ると今日は3年生が見当たらなかった。近くにいた涼に聞こうとするものの。なぜか、目を逸らされてしまった。なんか、やったかな。目も合わせてくれないなんて相当怒ってるな。でも、本当にどうしたんだろう。3年生もどこにいるかわからないな。せっかく今日からのことで相談したかったのに。あ、私が話したいことはね、ポジションのことと、攻撃のことだよ。晶に励まされてから私も一応考えたんだよ。そしたら、いくつか問題点が出てきちゃったんだ。まあ、これはあとでのお楽しみ。
「なんで、こんなところに原因の紗織ちゃんが来てるの?」
突然、もか先輩は大きな声でみんなに聞こえる声で私に向かって言った。
てか、原因って何?試合に出れる実力を持ってない人にそこまで言われたくないっーの。
「もかー。本当だよね。先輩達も絶対そう思ってるよね。ほんと、優しい先輩達で何にも言ってないから気づいてないよね。」
今度はあやか先輩が大きな声で私に向かって言った。
「それなぁ。自分が悪いって思ってないけどさ、それってただの自画自賛だよね。なんていうか、あれだよね!自分の立場をわきまえろって感じ。あ、なんならわたしたちで教えてあげる?ねぇ、みんなもそう思うよね。」
今度はさやか先輩が大きな声で言った。
次は、ほかの3人の2年生の先輩にも聞いていた。なんて、答えるのかな?大人しそうな顔しててグルだったりして。すると涼が口を開け、言った。
「私もそう思う。正直にいうと、あの試合勝ちが確定してた。なのに、紗織がミスって雰囲気が悪くなった。先輩達のためにしばらく顔合わせない方がいいと思う。」
え・・・・・・・・!?
しばらく頭が追いつかなかった。涼が言っていた言葉が頭に入ってこない。頭が真っ白な私は何も動くことはできなかった。確かに、あの試合の原因は私にある、私もそれをわかって反省してまた今日からやろうと思った。それは涼も知ってるはず、なのに、どうして。
私が固まってる間に先輩達はどんどんコートの準備を始めた。手伝わなきゃ、涼に聞かなきゃと進みたいのにショックが大きすぎて動くこともできなかった。
するとそこに足音が聞こえてきた。
多分、晶と美羽だ。もし、もしも2人も私を裏切っていたらどうなるんだろう。
怖いな。逃げよっかな。私の頭は中学生の頃に戻っていた。
でも、せっかくみんなが教えてくれた楽しさを忘れたくない。もし、本当に私が嫌でも、この感情にまでなれたのは涼達のおかげ。涼が望むことをしよう。涙目になりながらも私は必死にこらえた。
ドアが開いた。やっぱり、晶と美羽だった。
「先輩達、委員会で遅くなるって言ってましたー。先練習しててどそうです。」
美羽の声だ。晶と目があった。あ、涙、ダメだ、もしかしたら晶はパパと繋がってるかもしれないんだし。泣いてるとこ見られたら涼が責められる。
「紗織ちゃん。どうしたの。なんで泣いてるの。何があった。」
あぁ、遅かった。ダメだな、わたし。
「くっ、もか先輩達何かしましたか?」
今度はもか先輩達に向かって叫んだ。でも、誰も答えない。怖いのかなと思ったけど、違った。口が笑ってる。
「涼、何があった?一緒にいたんでしょ。」
美羽が涼に聞いても何も答えない。これは完全に嫌われてる。でも、この2人の驚きぶり本当に何も知らないのかな。よかった。私のこと嫌ってなかったんだ。
「涼ちゃーん、何にもなかったよね。」
涼の代わりにさやか先輩が答えた。
「はい、何にもありませんでした。」
美羽は、涼の意外な言葉に何にも言い返さずに固まっていた。わたしは、私は何をしてるんだろ。少なくとも、美羽と晶は私のことを心配してくれてるのに。なら、私は涼に正面からぶつかろう!
私は涼の目の前に行き、涼と目を合わせいった。
「涼、私はいいよ。気にしないで。私は涼達のおかげで初めてのことがたくさん知れた。だから、私は何も言わない。涼の好きなようにして。怒らないからさ、そんな暗い顔しないで。涼がそんな顔してると私も嫌になる。」
正直に言うと、嫌だ。気にしないことなんてできない。でも、私は涼と出会えてよかった。あんなに楽しく過ごした日々が偽物だったんだとは思えない。だからこそ私は涼の意見を尊重する。これで、よかったかはわからない。でも、わかったことはひとつ私はもか先輩達が嫌いだ。だからー
「もか先輩、あのなんでこんなことをするんですか。涼に何をしたんですか。」
直接対決しかないっしょ。いつもなら、不安になっている気持ちも今の私はなぜか楽しんでいた。
「べつに、何もしてないけど」
2年生のみんなは、笑いまくる。なんで、かな勇気が湧いてくる。思ってること全部言っちゃお。
「先輩、私が何かしたならごめんなさい。多分、前1年なのに試合に出たのがウザかったんですよね。」
「はぁっ。なんなのあんた。私は1年なのにでましたって自慢がしたいな。ふざけるな。うざいんだよお前。」
真っ赤な顔になった先輩は私に向かって歩いてきた。
ゴン
痛っ。先輩は私の肩を押して私は床に倒れてしまった。さっきまで私に対して怒っていた2年生の先輩達でさえやりすぎと言う顔をしている。
「もか、やめな。そんなにすることじゃないよ。」
「そうだよ。これ以上やったら先輩くる。」
「私たちは、そんなにやりたくてやったわけじゃないので、もうやめてください。」
「もかちゃん、私たちの立場も考えて。」
「もか先輩、やめてください。こんなことになるなんて聞いてません。」
涼、やっぱりそんなに嫌いじゃないのかな。
よかった。私はもか先輩に向き直って、強く見つめた。
もか先輩はみんなの声が聞こえてなく、怒りが止まらなくなっている。これ以上はやばい。私が止めようとすると、
「もか先輩、何をしてるんですか。あなたはご自分の立場がわかってるんですか。」
晶がキレてしまった。やばい、晶まだ暴走してしまう。私は晶のもとに走っていった。
「晶、やめて、私は大丈夫。これは、晶が手を出すことじゃない。」
これは私の問題だ。
「でもー。」
「私は晶の助けで助かったことがたくさんある。でもね、頼ってばっかじゃダメなの。それに、これは私の問題。私がやらなきゃ。」
晶は涙目で頷いてくれた。やっぱり可愛い。そんな晶の頭を撫でだ私は先輩の方を向いた。
「なんなのよ。なんで晶もバレーボールも全部私の前から取っていくの。」
「晶はものじゃありません。それに私もバレーボールはやるつもりじゃなかった。」
「は?なんなの、やる気がないんなら試合に出ないでよ。私たちは、努力して努力してやっと試合にでれるとおもったんだよ。でも、それでも先輩達がいて叶わなかった。そんな努力をふみにじられる感じにあんたが来たんだよ。ふざけるな、マジでやめろ。天才はいいよな。努力もなしで勝てて。」
努力がないしで天才?なんなのってなによ。こっちが言いたいわ。
「先輩、「天才とは努力する凡人のことだ」って言葉知ってますか。私はそんな感じです。小学生の頃から毎日毎日努力してたから天才になれたんです。中学の時もそうです。」
そうだ、あの時もそうだ。
「先輩達が試合に出れないのは先輩達の努力がたりないだけじゃないですか。」
みんな、天才と言う。ほんとは、天才なんかじゃない。ほんとの天才はなんにもしなくていいけど、私は努力したんだ。誇ろう。
さっきの言葉で先輩は余計に怒ったしまった。また、手を挙げようとしたところ。
ドアがドンっと開いた。3年の先輩達が来た。もちろん、そこには、顧問の田中先生や、部長の永瀬先輩もいる。
「おい、私は練習をしとけと言ったんだ。お前たち、コートも作らず何をしているんだ。」
太くて大きな声で私達に向かって言った。
みんな、黙ったまま下を向いた。私自身もパパに知られたくないため、黙っていた。
「はぁー。無視か、いい度胸だな。おい、晶、美羽、私は練習しとけと言ったよな。なぜしてないんだ。」
問い詰められた晶と美羽は2人が来てからのことを部長達に話した。もちろん2人は途中から来たので最初のことはわからないからそのあと、最初からいた全員に1人ずつ話を聞いていた。もか先輩は心が落ち着いてないので、保健室のカウンセリングの先生と一緒に話を聞いていた。
その結果2年生の先輩達が悪いことがバレて、今日の部活は中止で、もか先輩は1週間部活停止という処分なった。私は被害者ということで、休んでもいいと言ったけれど、何も悪くなってないのでまた明日からも練習に参加することになった。涼のこともあるしね。
今日の練習もうはないけど、ミューティングはあった。
「みんな、2週間後は体育祭があって各学年準備をしているはずだ。毎年そこでは部活対抗リレーがある。ただ、3年の先輩は出れない。1年、2年合わせての4人でリレーをする。今回揉めてしまったから、多少変えてもいい。明日はそのメンバーを決めるため足のタイムを測るから校庭集合な、じゃあ今日は解散。」
体育祭かぁ。私は他の競技全部出る予定だけど多分これもだそうだな。同じチームの子は気まずくならない人がいいな。涼とはどうだろうな。まぁ、とりあえず高校はじめての体育祭全部の種目にも出るし本気を出して全部勝ちに行こう!
翌日の結果1位紗織、2位さやか、3位あやか、4位涼という結果になった。
休憩時間、私は近くの椅子に腰をおろし、体育祭に向け、リレーチームのことを考えていた。はぁ、今回美羽がいないから少し大変だな。私、大丈夫かな、どうせ出るのなら1位になって、女バレの名をとどろかせたいけど、このチームで上手くやっていけるかが心配でしかないなぁ。はぁ、なんで、私がこんなに一生懸命考えてるんだろ。よく、考えたら私被害者じゃん。私は椅子から立ち上がり走りに行こうとした。でも、力が出ずにまた座り込んでしまった。やっぱり、涼なんかおかしいよな。私、なんかしちゃったかな。ねぇ、教えてよ。この胸がキュッとなるのはどうしたらなおるの。誰か教えて。私の心の中は真っ黒でどうすればいいのか真っ黒い中をさまよっていた。
次の日、田中先生はリレーに出る4人はバレーの練習より体育祭で勝つことを優先しろということで私たち4人は校庭でバトンパスの練習をすることになったのだけど、さやか先輩とあやか先輩は当然のごとくサボり、涼もめずらしく練習をサボっている。
はぁー。1人でなんの練習したらいいかな。田中先生に相談してら先輩たちの誰かが代わりに練習に付き合ってくれるかもしれないけど、そしたら涼まで怒られてしまうな。
それに、田中先生って言えば、パパの件もあるし、相談なんかしたらパパにチクられるかもしれないから簡単に相談できないな。
まただ、胸がキュッとなる。
やっぱりパパのあの時の言葉をほんとうに信じてないんだな。
とりあえずは、1人で練習しよ。体育祭まだ2週間あるもんね。その間に来ると思う!でも、本番はサボらないと思うけど、もし手を抜いたりしたら、私が3人の分まで追いつけるように頑張ろう。
その日から私はただひたすらに1人で走り続けた。先生が見に来たときは、なにかしらで言い訳をして。ほんとはチクってもいいけど、自分1人の力で勝ちたいもんね!
そう考えてるうちに私の気持ちはだんだん楽しくなってきた。
結局体育祭までの2週間、先輩たちと涼は練習に現れたことはなかった。涼は学校もなんどか休んでたしあったとしてもそっけなかったし。
「はぁーーーーー。」
あ、自分でも驚く大きなため息。そうだよね、辛いときは口にださなきゃスッキリしないよね。明日は本番、絶対1位になるために気持ちは楽にしとかなきゃ。
「紗織、大丈夫?」
私が練習(1人だけど)を終えた後、美羽と晶がきた。この2人はおそらく涼と先輩たちがきてないことを知ってる。だから、2人はバレー部の練習が終わると私のところに顔を出して練習を手伝ってくれる。でも、今日は遅かったな。まぁ、明日は部活休みだし、今日は忙しかったんだよね。はぁ、でもほんと2人の顔を見ると安心する。なんか、いつも感じるこの真っ黒な心がピンクに変わるイメージでほんとに安心するんだ。
「私は大丈夫だよ!1人でもこんなにピンピンしてて楽しいよ!明日は本番だからかな?めっちゃ浮かれて練習しちゃったんだ。」
ほんとは違う。楽しいのは確かでも、心の奥で涼に来てほしいという気持ちがある。でも、この2人には本当に私をいつも助けてくれて感謝してるからあんまり心配かけたくないな。
「紗織ちゃん、いいんだよ。泣いても、苦しいとか、悲しいとか自分が思ってることを僕たちに吐き出していいんだよ。」
あぁ、やっぱり晶と美羽には敵わないな。この2週間私が少しでも表情を変えるとすぐに反応して、助けてくれる。私は本当にいい友達を持ったな。この2人のためにも絶対に勝つ!
「ありがと、2人と会えて自信がついた!明日は絶対勝つね!応援よろしく!じゃあバイバイ!」
「「バイバイ!」」
私は家に帰るとすぐ屋上に行き、大きな声で叫びまくった。
「私の何がいけないんだー!」
「私がなにをしたの?教えてくれなきゃわからないよ!」
「親友だと思ってるのは私だけ?」
「また、涼と楽しい話したり一緒に遊びに行きたいよ!」
「勝つ!私は明日絶対1位になるし、このキュッとなる思い、自分自身に勝つ!」
「はぁー。」
少し、スッキリしたな。よし、明日は絶対勝つぞー!
えっと、明日の天気は晴れかぁ。
「体育祭日和でいいねぇ、神様は私の味方をしてくれた。なら、それに応えなきゃね!」
リレー当日!
「今日は、ほんといい天気、これで1位になったらとても気持ちがいいねぇ。楽しみだ、楽しみだ。」
午前中の種目、私は全てクラス代表で見事全て1位を取ることが成功した!そのおかげかはわかわからないけど、私たちのクラス、白組は優勝することができた。
午後の予定はまずはじめに部活対抗リレーがあってそれが終わったら表彰式とお疲れ祭がある。部活対抗リレーで勝つことができたら表彰式で賞状と優勝チームには副賞で1ヶ月間学食が無料になるのと、3月まで部費が1割高くなるので、先生たちや先輩たちはこの時期になると他の部と争いに近いことが起こるらしい。私が3年生になった時もそうなるのかな。
はー、みんなが期待してくれてる頑張ろう!
「紗織ー!」
ん?あ、美羽と晶だ!
「どうしたの?もしかして晶、私たち1組に負けると思ってるの?正解、今年は私がいるんだから1組優勝で間違いない!で、美羽はどうしたの?」
あー、2人の顔をみると部活対抗リレーのこと思い出して緊張しちゃう。あー、腹痛くなってきたかも。
「わたし、かてるかな。」
どうだろうな。はぁ、急に心配になってきた。なんで、昨日までは普通だったのに。
ポトッ、ぽとぽとぽと。
あれ、なんでなんで急に涙が出てくるの。
あんなに自信満々だったのに。まさか、心の奥では勝てないと思ってるのかな。ダメだ、余計なことは考えちゃダメだ。先輩達のためにも頑張ろう!
「紗織。」
ドキッ、いつもちゃん付けの晶のイケボで呼び捨ては胸に悪いな。
「なんで、いつも頼ってくれないの。練習の時だって頼ればよかったじゃん。この前言ったじゃん。僕らに苦しいとか悲しいとか吐き出しって、たった一言「助けて」って言えばいいだけじゃん。なんでできないの。ぼくたちは頼られるの待ってた。だから、毎日部活終わりによってた。なのに、いつもへろへろした作り笑顔で誤魔化してさ、そんなに僕らのことが信用できないの?」
私だってわかってる、近くには美羽と晶がいるって、でも頼れないんもんはしょうがないじゃん。私だって頼りたいよ。でも、、、
「紗織、私もね晶と一緒でずっと待ってた。紗織が私を頼ってくれるのを。いいんだよ、自分が思ったことは気軽に口にして、愚痴でも楽しいことでも話付き合うよ。そのための友達、いや親友なんだよ。」
みうぅぅぅ。グスッ
「人のためじゃない、紗織ちゃんのためにやるんだよ。ぼくたちはいつも自分が納得いくように生きてるんだもん。負けても誰も文句は言わないよ。みんな温かい目で見守ってくれる。」あきらぁぁぁ。グスッ、ひくっひくっ。
「だすげで。」
ありがと、2人のおかげで私のやることがわかった。
「そう、そうだよ。それを待ってた。」
「私たちは紗織の仰せのままに従います!」
「あぁ、ありがどゔ」
「じゃあ、ぼくたちはなにをしたらいい?」
いつまでもクヨクヨしてられない!
「そうだなぁ。えっと、晶にはもか先輩を探し出して欲しい。で、美羽は2つあってね、リレーの順番を変えるって先生に言ってきて。変える順番はさやか、あやか、さおり、りょうの順でって言っといて。それが多分すぐ終わると思うからそれが終わったら保護者席から涼の家族探しといて。で、晶はもか先輩が見つかったら、もか先輩の後ろに隠れてリレー見といてね。で、リレーが終わってもし私たちバレー部が涼の力で優勝したら、涼のところ行くと思うからその時っていうかもか先輩がリレー終わった後すぐ移動したらこっそりついていって。」
で、美羽に聞きたいんだけどさ、涼って家族と仲良し?」
「うん、涼はね、小さい頃にお父さん亡くしてから家族の大黒柱になってるんだ。涼のお母さん仕事、大変だし、弟くんは病気があって医療費が大変なんだって。前聞いたら、今日弟くんがお医者さんと相談して来てるらしいよ。でも、ずっといると大変だから表彰式がある午後だけ来てるらしい。リレーにも多分来てると思う。で、どうして探したほうがいいの?」
そう、過去、中学の時の先輩を思い出すとただターゲットを攻撃をするだけじゃなくて他の人を脅してターゲットを攻撃させてたことがある。ちなみにその時のターゲットは私じゃないけどね。先輩が卒業してからわかったことだから、中学の顧問の人たちは知らない情報だ。まぁ、それは置いといて。
「実はね、先輩中学にもこういう似たことがあったの。その時脅してターゲットを苦しめてたの。だから、多分今回もだと思う。」
「あ、じゃあ紗織ちゃんを攻撃するように脅されてる相手は涼ってこと?」
「そうだと思う。」
「え、じゃあつまり、涼は何か弱みかなんかを握られて脅されてるってこと?」
「多分そうだよ。あの先輩ならやりかねない。」
「問題はなにを脅されてるかか。」
「前の時は彼氏とか恥ずかしい動画をネットに載せるとかだったよ。」
「うーん。涼に家族はいなしい、部活以外では先輩と話してなかったから、恥ずかしい動画撮る機会とかないと思うよ。」
「部活終わったあとは?」
部活の後捕まえてとかないかな?
「涼は私と家近いからそれはなおと思う。」
そっか、美羽と涼は家近いのか。
「じゃああれは?もか先輩たち人の家族とかのこと詳しいから涼の家族とかは?」
家族か、確かにそれならあるかも
「じゃあ弟関係かお父さん関係かな?」
「多分、弟だと思う。涼はとっても弟くんのこと心配してるから。」
涼が苦しんでる内容で脅すとかないわ。
「じゃあ、なおさらだ。涼の家族を呼んでほしいのは、涼の心を変えることだよ。リレーの順番的にさやか先輩、あやか先輩は本気で走らないと思う。多分、涼もかな。でも変えたくてこの順番にしたんだ。だから弟くんの力で涼は元に戻って欲しい。」
そうだ、私は涼とまた仲良くなりたいんだ。
「わかった、紗織の作戦のる。」
「なんとなく、わかったよ。絶対成功させようね!」
「もちろん!終わったら連絡して」
さあ、作戦開始だ。
私は準備万端にして絶対勝たなきゃ。
準備運動をしてる私にさやか先輩、あやか先輩は近づいてきた。
「紗織ちゃーん、どうせ負けるんだしそんなに気合い入れなくて良くない?また、嫌なことおもいだしちゃうよ。」
「今日は適当に走ってね、まぁ、頑張って走ったところで3人分は追い返さないか。」
「「せいぜい頑張ってね。」」
落ち着け、こういう時は冷静に煽るぞ。
「ありがとうございます!心配してくれるなんてほんと優しいんですね。お互い、頑張りましょう!」
「チッ!」
はっはっは、なにも言い返せてないぞ、勝った。試合にも勝負にも勝つぞ!
ピコン
『紗織ちゃん、もか先輩見つけたよ。リレーのこと相当気にしてるみたいだよ。』
晶、ありがとう。
『こっちは田中先生に順番言えたよ!がんばれだって、で、弟くんも見つけた。特等席に今招待してるとこ』
美羽、ありがとう。
よし、準備は整った。次は私の番だ。

「涼、期待してるよ。」
私が思ってることを少しずつ伝えていけばいい。それが今の私にできることだ。
「は、勝つ気でいるの?まぁ、せいぜいアンカー頑張ってね。」
「アンカーは私じゃなくて涼だけどなに言ってるの?」
「は?私、アンカーなんて聞いてないんだけど。勝手になにしてくれたの。」
「言ってないからね、それと練習に参加しなかったのはそっちだよ。作戦としてこれを入れているんだ。」
「はぁー。めんど。」
「涼、そんな態度でいいの?横見てみな。」
「俊、なんだ俊がここに?」
こんなに焦ってる涼、初めてみたかも。
「自分で言ったんでしょ。午後から来てねって。表彰式でバレー部が呼ばれてるところみたいって言われたんでしょ。思い出した?」
正確には私には言ってない。美羽に言って美羽から聞いたことだ。普通ならなんで知ってるのー?みたいなノリになるところだが、焦ってる涼にはそんなことを考える余裕もなさそうだ。やっぱり、弟くんが関わっていたのか。
「なんで、みんな俊にひどいことするの。来ないでって言ったのに。」
ん?これ、完全に誤解されてる系な?
「私は、呼んでないよ。俊くんがきたくてきたんじゃないの。なら、涼は期待に応えなきゃね!」
信じてくれるかな、私のこと。
「ごめん、気が散ってた。私さ、ほんとは紗織と話したかったんだ。私は、やっぱ自分の意思で動くわ。紗織、冷たい態度とってごめんね。そして、こんなにひどいことしたのに、嫌わないでくれてありがとう。私、頑張って優勝して、俊にかっこいい姿見せる!」
よかった、いつもの涼だ。
「よし、お互いほんきを出して頑張ろう!」
「うん!アンカー、として最後まで諦めずにがんばるよ!」
いくぞ!
「いちについてー!よーい、スタート!」
先生の合図に合わせて多くの人がスタートダッシュを迎えた。でも、さやか先輩は出遅れ、ゆっくりマイペースでどんどん先頭と引き離されていく。2番に変わった、あやか先輩もやる気がなくもう少しで私の番だ。
ふぅー、ぱちっ!
思い切りほっぺを叩いて気合いを入れる。あやか先輩がくるまで3、2、1__
GO!
なにも考えずに走り続けた。半周以上遅れてたバレー部はいつの間にか2位までいっていた。視界の横には悔しがってるでも、笑ってるもか先輩がいた。そうだ、この走りで涼を変えるんだ。あ、美羽と晶だ!ニコッ!
思い切りピースをして笑顔で走り続けた。
先頭の陸上部もぬいた。目の前にうつるのはさっきまでとは違っていつもの笑顔に戻っている涼だ。涼が帰ってきた!
「涼、おかえり!」
そう言ってバトンを渡すと涼は、ニッと笑い
「ただいま!」
と言って走り出した。測定した時とは違って涼が本気で楽しんで走っていた。嬉しいな。
涼が頑張って独走してくれた結果、バレー部は優勝することができた。
表彰式
今年の優勝は、1組だ。
私は1組として、そしてバレー部として頑張って活躍したので1学年1人ずつ選ばれる、MVPに選ばれたそういうわけで楽しく体育祭をおわれたのさ。やった、やった!
で、終わるはずもなく、リレーが終わったあと、すぐに表彰式に移ってしまったので、表彰式が終わったあと、もか先輩は涼に話に行くと予想した。涼になぜ、どんなことで脅されていたか聞いたが涼は私たちが危ない目にあわないようにと教えてくれなかった。
なので、私たち3人は表彰式が終わったあと2人をつけることにした。で、今その2人が話してる現場にいる。
「ちょっと、なんでわざと負けなかったの。」
「私は、自分にメリットがあることしかやらないと決めたので。もう、自分に嘘はつかない。」
よし、よく言った、涼。
「はぁ?あんた、なに言ってるの。自分がなにを言ってるかわかる?あんな、クソの味方するの。なら、俊くんはもう、見捨てたってことでいいの。」
クソってなによ、クソって。それより、やっぱり弟くんは関係してたんだ。見捨てるってどういうこと。
「俊のことは見捨ててない。」
「どっちもなんて、無理なの、わかるでしょ。それでも、あなたはクソの味方するってことね。わかった。西條さんに連絡するね。」
西條さんって、たしかそこの大学病院の院長の娘だった気がする。西條医院長といえば、よく、パパがお世話になってて、釣りとかを一緒にいってる人だった気がする。
「待って、私と話させて、納得いかない。あそこの病院はいい人たちばかりだから、俊を見捨てるってことはしないと思う。」
は?俊くんを病院が見捨てる?大学病院にそれはありえないんだけど、しかも、西條医院長だし。
「美羽、晶これおかしいよね?」
「うん、おかしい。」
「西條医院長はそんなことしないもん。」
「だよね、ちょっと私言ってくる。2人先生呼んできて。」
「え、ちょ、ま、んー。わかった。気をつけてね。くれぐれも殴らないこと。」
「あはは、確かに紗織ならやりそう。」
「じゃ、行こう。」
私は涼の方に向かった。
「せんぱーい、今のどういうことですか。」
「ちょ、なんで紗織がここに。」
「ごめんね、どうしても心配で。」
「質問に答えるけど、どうもこうもないよ、普通に私の言うこと聞かなかったから西條さんに頼んで俊くんを見捨てるって話。」
そんなことするわけないじゃん。
「わかった、なら、電話して。私が出る。」
「まぁ、変わんないしいいよ。ただ、金で買わないように見張るから。」
プルル、プルル、プルプルーガチャ。
『もかちゃんどうしたの?』
「あ、西條先輩?私、1年の新山と言います。少し、聞きたいことがあるんですがいいですか。」
『もちろん、いいよ!なにを聞きたいの?』
「実はですね、今もか先輩に聞いたんですけど、涼の弟、俊くん西條先輩のお父様がやっている大学病院にいるんですよね。それで、見捨てると聞いたんですけど、それ、本当ですか?」
『見捨てるってなに。そんなの聞いてないよ。私は、もかちゃんから、涼ちゃんが紗織ちゃんか俊くんで俊くんを選ぶなら、もかちゃんが俊くんの手術費を出すって聞いたんだけど、私、見捨てるなんて言ってないよ。ちょっと、もかちゃんに変わってもらえるかな?』
よかった、やっぱ西條先輩はそういうことしないよね。涼は泣きそうになってた。きっと、西條先輩がいい人だったからだろう。
「今、スピーカーにしてるのでそのまま話して構いませんよ。」
『わかった。で、もかちゃんどういうこと?私助けるためって聞いたんだけど。』
「え、だって、西條さんのお父さんは患者を見捨てるって聞いてだから、今回も見捨ててくれるだろうって思ったの。」
『ひどい、私はお父さんのことそういうふうに言われるの嫌いなの。取り消して、そして俊くんをそういうふうにしようとしたこときちんと涼ちゃんに謝って。』
「うっ。ごめんなさい。もうしないのでどうか親と先生だけには言わないでください。ちゃんと手術代も出すので。」
は?こいつ、本当に反省してるのか。あー、こっちがムカついてくる。
涼は泣き出した。きっと弟くんのことを聞いて安心したんだろう。
「あ、私は、やったことに関しては許しませんけどお金を払ってくれるなら、先生たちには言いませんよ。私も大事にしたくないし。」
ん?ちょっと、涼なに言ってるの?
『待って、涼ちゃん、、、』
ブチッ、西條先輩の声が聞こえたら突然もか先輩は電話を切った。
「涼、本当にそれでいいんだよね?」
「はい。」
「ありがとう。」
こいつ、西條先輩がいると余計なこと喋ると思って切ったんだ。つくづくせこいやつだな。
「ダメだよ、涼。そんなに甘やかしちゃ。」
私がいうしかダメだ。
「でも、大事にしたくないから。」
「そうしたら、逆に大事になるよ。」
「は、クソ紗織なに言ってるの。」
「紗織、どういうこと?」
「涼は知らないから言うね。こいつね、中学の時もこういう脅ししたの。で、また同じことをやったの。わかる?こいつは甘やかしてたらまたやるんだよ。涼はそれでもいいの?この後の被害者見捨てるの?」
「でも、じゃなきゃ手術費が、、、」
「たしかに、そうだね。でもね、それだけじゃないと思うよ。考えてみな、ここまで涼を傷つけたのはだれ?もか先輩でしょ。」
「う、うん。」
「こんなにひどいことをする人なら将来、高校を卒業した後とかに涼に「私あなたの弟の手術費出したよね?私のおかげで助かったんだよ。だからその倍金返しなさいよ。」とか言われるよ。」
「それは、やだ。だったら、甘やかさない。」
「ちょっと、涼なに言ってるの。さっきそれでいいって決まったじゃん。」
「ごめんなさい。私、またこう言う脅しに会いたくないから。それに、今認めてももか先輩はお金出してくれなさそうなので。」
「じゃ、じゃあどうやって手術費出すの?あなたの家のお金じゃ足りないでしょ。」
「それは、私がバレー部やめて働いて稼ぎます。それに、そんなことはもか先輩には関係ありません。」
涼はすごいな。弟のためにこんなに思って。
「もか先輩、安心してください。俊くんの手術費は、私が出すので。」
パパはこのことの事情を話したら協力してくれるはず。
「それは、大丈夫。そうしたら、紗織が大変になる。俊の病気の手術費は他よりも高いんだよ。私は大丈夫だから。」
優しいな、涼は。
「大丈夫だよ。パパがなんとかしてくれる。それに、私のパパは医療費のために高校生が自分の楽しみを失うって知ると私に対してなんでなにもしないんだって怒るんだ。それに、助けたいって思う優しいパパなの」
「はっ、なにがだよ。あんたんとこのパパ嫌われてるくせに。なにが助けるだよ。人に金払ってまで大臣やってるくせにさ。」
む。うるさいな、パパはそんな悪事働いてませんもん。まぁ、言っても無駄だけど。
「え、大臣?なにそれ聞いてないんだけど。」
え?あ、美羽、先生ともか先輩の両親と寮のお母さんとママもいる。
「うん。言ってなかった。ごめんね。」
「親友と思ってたのはわたしだけ。私は紗織のことならなんでも知れてると思ったのに。隠し事なんてひどいよ。」
だって、理由があったんだもん?あれ?なんでだろ、私この間今の美羽みたいなことあったな。あ、涼の時か。結局同じことやっちゃったんだな。私に涼を怒る資格なんてなかったんだ。
「ごめん、私中学の時パパのこと言っただけで、急に仲良くされたり、それでちょっと辛かった時期があったの。もか先輩みたいに、パパを悪く言う人もいるしね。決して2人のことを信用してないわけではないの。ただ、高校入る前にこのことは絶対言わないと決めてたの。私は涼や美羽のこともちろん晶のことも親友だと思ってる。でも、ここで言ったら自分に制限がなくなりそうだったの。だから、黙ってた。本当にごめんなさい。」
ごめん、ごめん、許して。
「私は大丈夫。誰にも言えないことってあるしね。私もそうだった。でも、紗織がいてくれたから今こんなふうに笑えてる。だから、私は紗織が思ったことには反論しない。紗織は世界一尊敬する人だもん!」
りょぉぉぉぉ。やばい、涙が出てくる。ありがとう。こんな私も信じてくれて。
「まぁ、たしかにムカついたけど、私も紗織のこと大好きだから、許す。だから、これからは隠し事しないでほしいな。」
萌ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
心臓が、心臓がもたない。なにこの可愛いの。美羽ぅぅぅぅほんとありがとう。心配してくれてたんだよね。嬉しい。
「すーはーすーはー」
すってー!はいてー!すってー!はいてよし!落ち着いた。
「2人ともありがとう。私も大好き!これからもよろしくね!」
「あの。」
「涼ママどうしたんですか?」
「今の感じをみてると治療費を払ってくださるみたいな話でしたけど、やはり申し訳ないです。気持ちだけ受け取ります。」
「えっと、そんなに嫌なんですか?」
「えぇ、大変嬉しいことですが、やはり払ってまでしてくれることではないと思います。それに、このままではなんだか落ち着かないので。」
「うーん、どうしましょうか。」
「ふふふ、それなら、簡単よ。」
「ママ!じゃあどうしたらいいの?」
「ローンや、後払い、まぁ、悪く言うと借金みたいなものにすればいいのよ。」
「あー、たしかにそれならこの後涼が大人になって少しずつ返していけばいいのか。そしたら、涼ママも申し訳ない気持ちがなくなるのか。」
ママ天才〜!さすが大臣の妻だけある〜!
「それでも、やはり、、、」
「お母さん、今は紗織達の提案に乗ろう。」
「あなた、なにも言ってるの。失礼じゃない。」
「なんで?だって、紗織達がいいって言ってるんだし、今私たちが俊を助けるためにはそれしか解決方法がないよ。私は何としても俊を助けたい。たしかに、申し訳ないけどさ、コツコツコツコツ返していけばいいよ。私はそんな他人に対する失礼よりも俊が元気になって走ってる姿が見たい。」
涼、そうだよね、誰よりも苦しかったのは涼だ。
「わかりました。では、お願いします。」
「はい、それでは親だけでちょっとお話ししたいのですが、お時間大丈夫ですか?」
「はい。」
ママと、涼ママは言ってしまった。さぁ、残るもか先輩はどうするのか、おっと、私たちが話してる最中にあちらも結果が出たようだ。
「晶、どうなったの?」
「なんか、もかちゃんのお母さん紗織パパに助けてもらったことがあるらしくてね、紗織ちゃんちと涼ちゃんちに慰謝料払うってことになったよ。」
「え〜、慰謝料?私んちはいいよ。」
「なにいってるの、そしたら涼ちゃんちが慰謝料もらえないじゃん。」
「なんで?」
「さっきの涼ちゃんのお母さんの性格考えてみなよ。紗織ちゃんちがいらないっていったら、きっともらわないよ。だって、この事件につながる元凶の被害者は、紗織ちゃんだからね。」
「そっか、ならもらう!」
「うん、そうしな。」
「で、もか先輩の処分だけど、1ヶ月停学、でさらに1ヶ月は定時制の方で授業だって、でそのあと反省してたら元に戻すらしい。でも、部活は退部だって。」
「2ヶ月もこないの?厳しいね。」
「じゃあ短くしてもらう?」
「うーん、それはいいかな。そしたらまだ同じこと繰り返しそうだから。」
「だよね。それと、あやか、さやか先輩も多分退部するよ。」
「あー、もか先輩いなくなって気まづいしね。まぁ、やめてくれてこっちは嬉しいんだけどね。」
「まぁ、とりあえず解決してよかったね。これも全て紗織ちゃんが頑張ったおかげだよ。お疲れ様!」
くわぁぁぁ、久しぶりに見た晶の笑顔尊いな。
その後、晶の予想通りさやか先輩達はやめて、2年生がとても元気になった。やっぱり、逆らえないという恐怖で大人しくなってたんだな。今回の一件でより私たち4人は仲良くなったのでした。
体育祭が終わった、次は3年の先輩達が引退する前最後の試合だ。もか先輩たちがぬけたからか2年生の先輩たちはとても元気になった。この前は市大会まで進んだものの私のせいで県大会出場することができなかった。この間、田中先生に試合にでたいかと聞かれたけど、私は断った。これは決して住川先輩に遠慮してるわけではない。先輩、後輩という立場でありながら私は住川先輩をライバルと思ってる。じゃあなんで断ったって?それはね...実はまだ少し自分のことを責めるんだよね。晶や先輩達からは大丈夫と言われていたけど、もしあそこで勝っていたら今回の市大会を飛ばせたんだ。その分先輩たちの負担がなくなっていたのに。それだけじゃない、もしもう一度あの場面に出くわしたら、今度は打つこともできなくて、フリーズしちゃいそう。そういう理由も含めて断った。だから、今回は応援として頑張るぞ!
「ねぇ、紗織ちゃん、本当に断ってよかったの?試合出たいでしょ?」
尊いな晶
「出たくないと言ったら嘘になるけど私が入る隙なんてないよ、先輩たちの絆はとっても厚いからね!まぁ、でもピンチになったら出たいかも。」
そんな、ピンチくるかな??
市大会は先輩たちの活躍のおかげにより、市大会優勝and...県大会出場枠獲得ー!やった〜!やっぱり、3年生たちの厚い絆は私が入る隙もないや、一瞬でも私も出れるかなと期待した私がちょっぴり恥ずかしい。
優勝したけれど先輩たちの雰囲気は暗かった。どうしたんだろう、何かあったのかな?
その予想は的中した。この日の帰りミーティングのため、学校に戻って行った。ミーティングでは、次のレギュラーとポジション、対戦相手の確認を行った。もしかしたらのもしかしたらで出るかもしれないから一応聞いておこう!
「えー、次からのレギュラーメンバーだが変更になる。」
なんで??今のチーム最高なのにな。もしかして暗かったのはケガとかのせいかな??大丈夫かな?誰と誰が代わるのかな?
「えー、メンバーだが、住川から新山に代わる。」
「はぁーーー????」
思わず立ち上がって叫んでしまった。
「なんでですか?私はあのことがトラウマでまだしばらくは出れないって言いましたよね?代えてください。そもそも何で住川先輩を変える必要があるんですか?雰囲気とかも含めて住川先輩の方がいいと思います。」
また、また、なんか言われちゃう。もう、こういうことは懲り懲りなのに。
住川先輩は?どう思ってるの?
あれ!?いない、もしかして代わるのが嫌すぎていなくなったのかな?
みんなから視線が、やっぱり私になることはみんな反対なんだ。いやだ、ここにいたくない。
気がつくと私は体育館から出てひたすらに走って家に着いていた。
「あー、荷物忘れちゃったな。まぁ、明日取りに行けばいいかな。」
どうして私なの?神様これはいくらなんでもひどいよ。
翌日の学校私は休んだ。
先輩たちからはたくさんのメールと電話が来た。でも、やっぱり、私がいるとチームの雰囲気が悪くなるので、私は行がない方がいい。ほんとはみんなと練習したいけど、みんなのためだ。我慢するんだ。そしたらきっと報われる。うん、きっと...
「学校に行かないと暇だなぁ。」
ふと声に出ていた。その声はとてもかれていて元気がない声だった。
暇だし、寝よっかな。
「はっ!今何時だ?よく寝たなー。ん?もう3時かお昼食べてないな、何か食べよう。」
そう言って自分の部屋から出るとチャイムが鳴り響いていた。私が軽いご飯を食べてる5分くらいの間もずっと鳴り続いていた。
「しつこいな。まぁ、そのうち諦めるだろう。部屋で勉強しよ!」
この時、誰がチャイムを鳴らしたのかよく見てなかった私が本当にバカだった。
部屋に戻って勉強して15分くらいが経った時、突然部屋のドアが開いて晶が入ってきた。
「あ、あきらぁ?な、な、な、なんで晶が私の部屋に入ってきてるの?まさか、晶の振りした空き巣?残念だったな、私がいるからお前はもう終わりだ!」
突然のことで考えてる余裕はなかった、ただ空き巣を倒そうとそう考えていただけだ。
「紗織ちゃん、落ち着いて、実はね、紗織ちゃんのお父さんに朝会って朝は学校があるからって紗織ちゃんに会うの断られたんだけど学校が終わったあとはきていいよって言われたの。で、チャイムを鳴らしても多分出ないからって合鍵をもらったの。そんなに気になるなら紗織ちゃんのお父さんに聞いてみて。」
まぁ、この口調的に晶か。
「で、なにしにきたの?」
「戻ってきて練習しにきてって言いにきたんだよ。」
「べつに、私がいっても迷惑かけるだけだよ。」
「そういうと思った。だから、予め先輩たちと作戦練ってきてるの。ということで、学校向かうよ。早くきて。」
は!?晶私の言ってることわかるのかな?全然話が噛み合ってないんだけど。
そんな、考える時間もなく、晶は私の腕を引っ張ってどんどん歩いていく。
「待って、晶私、部屋着だし髪とかも揃えてないし、コンタクトも入れてないんだけど。そんな姿で行きたくないよ。」
「別に、そんなこと考えなくていいじゃん。紗織ちゃんは何にもしなくても可愛いよ♡」
久しぶりに思った。晶ってやっぱ可愛い!
そんなことを考えてるうちに学校、体育館についてしまった。
「あ、晶!紗織連れてきてくれたんだね。」
あ、住川先輩。どうしよう、なにを喋ればいいのかわからない。
「紗織、ごめん!私のせいで辛い思いさせたよね。」
え?なんで、私が私が行けないのに。
「いや、俺の責任でもある。」
田中先生までなに?なんで、私のせいだって言わないの?私のせいなんでしょ。
「なんで、私が行けないならそう言ってください。そっちの方がスッキリします。」
早くこの真っ黒な心を解き放して。
「ごめんね、紗織ちゃん私があの時いなかったから変な勘違いさせちゃったんだよね。それと、田中先生が言うまでに帰っちゃったから、聞いていないと思うけどさ、これは私が田中先生に提案したこと。もちろん、このことは3年全員で話したことだよ。だから、私は恨んでいない。むしろ、感謝してるのあんなに強いチームを作ってくれて。」
どういうこと?
「私は、先輩たちに迷惑をかけた。前の市大会ではサーブミスしたし、でも今回は住川先輩が頑張ったから勝てたんですよ。」
私は迷惑をかけてばかりなのに。
「違うよ、紗織が戦った相手より、今回の方が弱かった。それに、みんな紗織が頑張ったからこんなに気合いを入れてるんだよ、紗織に負けてられないってだから、私は確実に勝てるチームがいいなと思ったの。もちろん試合に出れないのは悲しいけど、私たちはみんなでチームだから応援でも勝てる確率が高い方を選びたいんだ。このチームで勝ちたいの。だから、お願い、私の代わりには頑張って活躍して!」
「なんなんですか、それ。私の早とちりじゃないですか。正直、私は先輩が出てるところが見たい、でも先輩がそこまで私のことを高く見てくれてるなら私は絶対このチームで県大会優勝します!そして全国大会優勝!まぁ、流石に夢見すぎですかね?」
「いいんだよ、そんくらい目標は高くなくちゃうね!」
よかった、私このチームに必要とされてるんだ。嬉しい。
それから、一生懸命練習して県大会優勝という目標が現実になった。
「夢みたいだ。次は全国大会か。」
夢を見ているような気分だった。
「晶、ありがとうね。晶がいなきゃ私、あそこでバレーボールやめてた。ほんと晶には感謝することばかりだよ。よーし、絶対優勝するぞ!」
「うん!紗織ちゃんたちならできる!僕も応援頑張る!」
ありがとう。晶がいたからだって何回考えればいいんだろう。本当に晶すごいな。
全国大会、どこの県からも強豪が出てきた。周りのチームからは私たちが知られなさすぎて、めちゃくちゃ痛い視線を感じる。
バンッ、バンッ、バンッ
痛っ、急に背中を3回叩かれた。後ろを振り向くと晶、涼、美羽がいた。
「3人とも酷いよ。これから試合だって言うのに強く叩きすぎだよ。」
「だってさ、紗織、緊張しすぎだもん。」
「私に言った言葉言ってあげる。紗織、期待してるよ!」
「そうだよ、緊張しすぎ!紗織ちゃんは紗織ちゃんらしくやればいいよ!」
「りょーかい!頑張ります!」
その時、なぜ私は相手を甘く見ていたのだろう。私たちは1セットで10点も取ることもなく負けていった。私が、私が相手チームに煽られて冷静になれなかったからだ。
『お前のパパは、ズルとしてる』と言われたのでムカついてしまった。その結果私が独断行動をしてしまった。また私のせいで負けてしまった。せっかく、全国大会まで来れたのに。
私は試合が終わったら先輩たちと目を合わせるのが気まずかったので、会場の目の前の公園で休んでいた。
そこに涼と美羽が来た。
「あ、ここにいたんだ。紗織、もうすぐミーティング始まるよ!」
「うん、わかった。」
「紗織、切り替えも大事だよ。紗織が本調子でも勝てなかったと思うよ。練習量とか違うし、相手強すぎたからね。」
「そうそう、だからいつまでもクヨクヨしない。」
「あと、私のせいだとか思わない!わかった?」
「うん、みんなにいっぱい言われてるからそれは思ってない。でも、最後なんだって知るとかなしくなる。それに、初めて心から負けたのが悔しく思えたから。」
いいことではあると思う。でもな、やっぱり少しは考えちゃう、私のせいって。
「よかった!」
「うんうん!次は違うチームになるけど、絶対勝とうね!」
「もちろん!」
仲間ってすごい存在だな。
「じゃあミーティングいこ!」
今なら、自信を持って言える!このチームでよかったって。
「うん!」
先輩たちはみんな揃って待っていた。
やばい、遅れちゃったな。
「よし、みんな揃ったな。集合!」
「「はい!」」
みんなで一斉に先生の周りにいく。
「気をつけ礼!よろしくお願いします。」
先生の話が始まった。そうそう、女子はこの掛け声がかっこいいんだよな。
「えー、みなさんお疲れ様でした。みんなそれぞれ思うことがあると思いますが、全国大会まで来れたのはとてもすごいことです。誇っていいです。自慢しまくってください。負けたけど、って思う人いますよね?でも、毎回必ずプラスの考えを持ってください。」
「はい、じゃあ、1番落ち込んでる紗織!今回の感想。自分のプレーどうだった?」
わ、わたしぃ?そんなに顔に出てたかな。まぁ、いいや、で質問は。
「えっと、私は今回先輩たちに遠慮してトスを呼べませんでした。他にもサーブミスが多かったです。先輩たちと最後の試合だったのにとっても悔しいです。本当にごめんなさい。せっかく、住川先輩と、、、」
「暗いわぁー!!」
私の途中で田中先生は被せてきた。
「お前のせいじゃないってみんな思ってる、お前がいたからここまで来れたんだ。もっと明るく考えろ。」
「晶!今、紗織が話したのをプラスで言ってみて。」
「はい!では、私は今回先輩たちに遠慮してトスを多く呼べませんでした。でも、私や他の先輩たちが決まったときはみんなで喜んで嬉しかったし、楽しかったです。先輩たちと最後の試合でとても悔しかったけど、最後に一緒に楽しい試合ができてよかったです。3年の先輩たち、本当にお疲れ様でした!僕たちに安心して任せてください!とかはどうですか?」
すごい、反省してることも伝わってくれば、元気なところも伝わる。さすが、晶だな。
「晶、サイコー!紗織もこれくらい明るくしろよ。」
「はい。」
そのあと先生は先輩からに向けて話を進めた。私はこれからこの先輩たちのようにカッコよくならなきゃならないのか。大変だな。
「よし、話は終わり。解散!ちゃんと休めよ。」
家に帰って、お風呂に入って部屋に戻ると直ぐにベッドに入ってしまった。
朝、気がつくと10時になっていた。今日は学校なのに。やばっ。
急いで立ちあがろうとしても体がゆうことを聞かないで立ち上がれなかった。どうしよう。
ん?何かある。
『紗織、あなた朝起こしに行ったら、体が暑かったから熱測ったのそしたら39度あったわよ。だから先生には休むって連絡しといたわよ。で、今日ママ仕事だから家政婦さん呼んどいたわよ。ママより』
熱?それも39度?どうりで起きれないわけだ。
田中さんがきてるのか、電話しよ。
「田中さん、今起きました。」
わ、ほんとに熱だ。声ガラガラ。
『起きたのね。わかった。熱測るから上いくね。』
それから、1週間熱は下がらなかった。
ママにはそんなに疲れるならバレー部やめろと言われた。でも、自分の好きな方を選ぶ。例え、私がみんなに迷惑をかけても。
次の日、学校に行き、先生に疲れが溜まると寝込むことがあります、と話に行った。先生は誰も迷惑だと思ってないからと話してくれた。だから、私はひたすら練習に励んだ。
そして、2年、3年では全国大会優勝までして、高校を卒業する時、私はバレーチームからスカウトが来た。とっても嬉しいことだ。でも、ここまで私を支えてくれたのは晶だから、晶と一緒にいたいな。晶からは『スカウトなんてすごいよ。絶対入りな』
と言われてしまったからな。どうしよう。晶みたいなマネージャーがいたらいいんだけど。ん?マネージャー?そうだ。晶を私専属のマネージャーにすれば一緒にいられる。よしいこう。
「監督、お願いします。私、晶がいるから頑張れたんです。なので、」
「あぁ、晶くんか、その話はもう聞いてるよ。」
え?
「新山さんだよ。きみのお父さん。」
「本当ですか。わかりました、ありがとうございます!」
「ああ、このチームの一員としてこれから頑張ってくれ!」
「はい!」
そうすると私は一目散に晶の家は走って行った。
「晶!こらからもよろしく。」
晶は恥ずかしそうに言った。
「このあとひま?ちょっと行きたいところがあるんだけど。」
晶からなんて珍しいな。
「いいよ!どこにいくの?」
「ひみつ!さあ、車乗って。」
「わかった。」
着いた先はパパとママが行った結婚式場だった。なんで、ここに。
「ふー。紗織ちゃん僕と結婚してください。お付き合いを飛ばしてしてすみません。でも、やるなら今しかないと思ったから。」
そう言って晶は指輪を出した。私の答えはもちろん決まっている。
「はい!末永くよろしくお願いします!」
その日は考えることもできないくらい嬉し涙を流しまくった。
後日、晶が結婚の挨拶をしに私の家まで来た。
「晶、紗織を傷つけたら許さないからな。」
「そうよ、晶くん別れたりしないでね。」
「ちょっと待って、晶はそんなことしない。」
「はい、そうですよ、そんなことするわけないじゃないですか。ほんと2人とも紗織ちゃんのこと好きですね。」
「まって、なんか3人仲良くない?知り合いだったの?私と幼馴染ってだけでそこまで話したことないよね?」
「あー、そっか、紗織には言ってなかったか。晶のお父さんとお母さんは俺たちと親友なんだ。だから仲がいいんだ。で、中学生ぐらいの時に晶が紗織のこと好きって気づいてプロポーズするなら、高校を卒業して進路が決まってから式場の前でなって言ったら本当にそうした。」
「そ、そうなんだ。」
なんだか、聞いてこっちが照れてくる。
「あとはあれじゃない?紗織の監視」
「監視ってなに?私、監視されてたの?」
「ちがう。紗織が中学のことで悩んでて高校にもかという奴がいたから何かあったら報告するように言っていたんだ。あとは力を隠してねって。」
「そう言うことか。じゃあ田中先生と話してたのも?」
「やっぱり、気づいていたか。そうだよ。」
「納得した!」
「ごめんね、隠してて。」
「いや、いいよ。そこまで心配してくれてたの嬉しいから。」
「あつあつだなぁ〜。」
うるさい!
それから、私は日本代表にまで選ばれた。そして、私と晶で新しい家族を作った。本当にこの未来は晶がいなかったら生まれなかった。本当にありがとう。

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