翌日の結果1位紗織、2位さやか、3位あやか、4位涼という結果になった。
休憩時間、私は近くの椅子に腰をおろし、体育祭に向け、リレーチームのことを考えていた。はぁ、今回美羽がいないから少し大変だな。私、大丈夫かな、どうせ出るのなら1位になって、女バレの名をとどろかせたいけど、このチームで上手くやっていけるかが心配でしかないなぁ。はぁ、なんで、私がこんなに一生懸命考えてるんだろ。よく、考えたら私被害者じゃん。私は椅子から立ち上がり走りに行こうとした。でも、力が出ずにまた座り込んでしまった。やっぱり、涼なんかおかしいよな。私、なんかしちゃったかな。ねぇ、教えてよ。この胸がキュッとなるのはどうしたらなおるの。誰か教えて。私の心の中は真っ黒でどうすればいいのか真っ黒い中をさまよっていた。
次の日、田中先生はリレーに出る4人はバレーの練習より体育祭で勝つことを優先しろということで私たち4人は校庭でバトンパスの練習をすることになったのだけど、さやか先輩とあやか先輩は当然のごとくサボり、涼もめずらしく練習をサボっている。
はぁー。1人でなんの練習したらいいかな。田中先生に相談してら先輩たちの誰かが代わりに練習に付き合ってくれるかもしれないけど、そしたら涼まで怒られてしまうな。
それに、田中先生って言えば、パパの件もあるし、相談なんかしたらパパにチクられるかもしれないから簡単に相談できないな。
まただ、胸がキュッとなる。
やっぱりパパのあの時の言葉をほんとうに信じてないんだな。
とりあえずは、1人で練習しよ。体育祭まだ2週間あるもんね。その間に来ると思う!でも、本番はサボらないと思うけど、もし手を抜いたりしたら、私が3人の分まで追いつけるように頑張ろう。
その日から私はただひたすらに1人で走り続けた。先生が見に来たときは、なにかしらで言い訳をして。ほんとはチクってもいいけど、自分1人の力で勝ちたいもんね!
そう考えてるうちに私の気持ちはだんだん楽しくなってきた。
結局体育祭までの2週間、先輩たちと涼は練習に現れたことはなかった。涼は学校もなんどか休んでたしあったとしてもそっけなかったし。
「はぁーーーーー。」
あ、自分でも驚く大きなため息。そうだよね、辛いときは口にださなきゃスッキリしないよね。明日は本番、絶対1位になるために気持ちは楽にしとかなきゃ。
「紗織、大丈夫?」
私が練習(1人だけど)を終えた後、美羽と晶がきた。この2人はおそらく涼と先輩たちがきてないことを知ってる。だから、2人はバレー部の練習が終わると私のところに顔を出して練習を手伝ってくれる。でも、今日は遅かったな。まぁ、明日は部活休みだし、今日は忙しかったんだよね。はぁ、でもほんと2人の顔を見ると安心する。なんか、いつも感じるこの真っ黒な心がピンクに変わるイメージでほんとに安心するんだ。
「私は大丈夫だよ!1人でもこんなにピンピンしてて楽しいよ!明日は本番だからかな?めっちゃ浮かれて練習しちゃったんだ。」
ほんとは違う。楽しいのは確かでも、心の奥で涼に来てほしいという気持ちがある。でも、この2人には本当に私をいつも助けてくれて感謝してるからあんまり心配かけたくないな。
「紗織ちゃん、いいんだよ。泣いても、苦しいとか、悲しいとか自分が思ってることを僕たちに吐き出していいんだよ。」
あぁ、やっぱり晶と美羽には敵わないな。この2週間私が少しでも表情を変えるとすぐに反応して、助けてくれる。私は本当にいい友達を持ったな。この2人のためにも絶対に勝つ!
「ありがと、2人と会えて自信がついた!明日は絶対勝つね!応援よろしく!じゃあバイバイ!」
「「バイバイ!」」
私は家に帰るとすぐ屋上に行き、大きな声で叫びまくった。
「私の何がいけないんだー!」
「私がなにをしたの?教えてくれなきゃわからないよ!」
「親友だと思ってるのは私だけ?」
「また、涼と楽しい話したり一緒に遊びに行きたいよ!」
「勝つ!私は明日絶対1位になるし、このキュッとなる思い、自分自身に勝つ!」
「はぁー。」
少し、スッキリしたな。よし、明日は絶対勝つぞー!
えっと、明日の天気は晴れかぁ。
「体育祭日和でいいねぇ、神様は私の味方をしてくれた。なら、それに応えなきゃね!」
リレー当日!
「今日は、ほんといい天気、これで1位になったらとても気持ちがいいねぇ。楽しみだ、楽しみだ。」
午前中の種目、私は全てクラス代表で見事全て1位を取ることが成功した!そのおかげかはわかわからないけど、私たちのクラス、白組は優勝することができた。
午後の予定はまずはじめに部活対抗リレーがあってそれが終わったら表彰式とお疲れ祭がある。部活対抗リレーで勝つことができたら表彰式で賞状と優勝チームには副賞で1ヶ月間学食が無料になるのと、3月まで部費が1割高くなるので、先生たちや先輩たちはこの時期になると他の部と争いに近いことが起こるらしい。私が3年生になった時もそうなるのかな。
はー、みんなが期待してくれてる頑張ろう!
「紗織ー!」
ん?あ、美羽と晶だ!
「どうしたの?もしかして晶、私たち1組に負けると思ってるの?正解、今年は私がいるんだから1組優勝で間違いない!で、美羽はどうしたの?」
あー、2人の顔をみると部活対抗リレーのこと思い出して緊張しちゃう。あー、腹痛くなってきたかも。
「わたし、かてるかな。」
どうだろうな。はぁ、急に心配になってきた。なんで、昨日までは普通だったのに。
ポトッ、ぽとぽとぽと。
あれ、なんでなんで急に涙が出てくるの。
あんなに自信満々だったのに。まさか、心の奥では勝てないと思ってるのかな。ダメだ、余計なことは考えちゃダメだ。先輩達のためにも頑張ろう!
「紗織。」
ドキッ、いつもちゃん付けの晶のイケボで呼び捨ては胸に悪いな。
「なんで、いつも頼ってくれないの。練習の時だって頼ればよかったじゃん。この前言ったじゃん。僕らに苦しいとか悲しいとか吐き出しって、たった一言「助けて」って言えばいいだけじゃん。なんでできないの。ぼくたちは頼られるの待ってた。だから、毎日部活終わりによってた。なのに、いつもへろへろした作り笑顔で誤魔化してさ、そんなに僕らのことが信用できないの?」
私だってわかってる、近くには美羽と晶がいるって、でも頼れないんもんはしょうがないじゃん。私だって頼りたいよ。でも、、、
「紗織、私もね晶と一緒でずっと待ってた。紗織が私を頼ってくれるのを。いいんだよ、自分が思ったことは気軽に口にして、愚痴でも楽しいことでも話付き合うよ。そのための友達、いや親友なんだよ。」
みうぅぅぅ。グスッ
「人のためじゃない、紗織ちゃんのためにやるんだよ。ぼくたちはいつも自分が納得いくように生きてるんだもん。負けても誰も文句は言わないよ。みんな温かい目で見守ってくれる。」あきらぁぁぁ。グスッ、ひくっひくっ。
「だすげで。」
ありがと、2人のおかげで私のやることがわかった。
「そう、そうだよ。それを待ってた。」
「私たちは紗織の仰せのままに従います!」
「あぁ、ありがどゔ」
「じゃあ、ぼくたちはなにをしたらいい?」
いつまでもクヨクヨしてられない!
「そうだなぁ。えっと、晶にはもか先輩を探し出して欲しい。で、美羽は2つあってね、リレーの順番を変えるって先生に言ってきて。変える順番はさやか、あやか、さおり、りょうの順でって言っといて。それが多分すぐ終わると思うからそれが終わったら保護者席から涼の家族探しといて。で、晶はもか先輩が見つかったら、もか先輩の後ろに隠れてリレー見といてね。で、リレーが終わってもし私たちバレー部が涼の力で優勝したら、涼のところ行くと思うからその時っていうかもか先輩がリレー終わった後すぐ移動したらこっそりついていって。」
で、美羽に聞きたいんだけどさ、涼って家族と仲良し?」
「うん、涼はね、小さい頃にお父さん亡くしてから家族の大黒柱になってるんだ。涼のお母さん仕事、大変だし、弟くんは病気があって医療費が大変なんだって。前聞いたら、今日弟くんがお医者さんと相談して来てるらしいよ。でも、ずっといると大変だから表彰式がある午後だけ来てるらしい。リレーにも多分来てると思う。で、どうして探したほうがいいの?」
そう、過去、中学の時の先輩を思い出すとただターゲットを攻撃をするだけじゃなくて他の人を脅してターゲットを攻撃させてたことがある。ちなみにその時のターゲットは私じゃないけどね。先輩が卒業してからわかったことだから、中学の顧問の人たちは知らない情報だ。まぁ、それは置いといて。
「実はね、先輩中学にもこういう似たことがあったの。その時脅してターゲットを苦しめてたの。だから、多分今回もだと思う。」
「あ、じゃあ紗織ちゃんを攻撃するように脅されてる相手は涼ってこと?」
「そうだと思う。」
「え、じゃあつまり、涼は何か弱みかなんかを握られて脅されてるってこと?」
「多分そうだよ。あの先輩ならやりかねない。」
「問題はなにを脅されてるかか。」
「前の時は彼氏とか恥ずかしい動画をネットに載せるとかだったよ。」
「うーん。涼に家族はいなしい、部活以外では先輩と話してなかったから、恥ずかしい動画撮る機会とかないと思うよ。」
「部活終わったあとは?」
部活の後捕まえてとかないかな?
「涼は私と家近いからそれはなおと思う。」
そっか、美羽と涼は家近いのか。
「じゃああれは?もか先輩たち人の家族とかのこと詳しいから涼の家族とかは?」
家族か、確かにそれならあるかも
「じゃあ弟関係かお父さん関係かな?」
「多分、弟だと思う。涼はとっても弟くんのこと心配してるから。」
涼が苦しんでる内容で脅すとかないわ。
「じゃあ、なおさらだ。涼の家族を呼んでほしいのは、涼の心を変えることだよ。リレーの順番的にさやか先輩、あやか先輩は本気で走らないと思う。多分、涼もかな。でも変えたくてこの順番にしたんだ。だから弟くんの力で涼は元に戻って欲しい。」
そうだ、私は涼とまた仲良くなりたいんだ。
「わかった、紗織の作戦のる。」
「なんとなく、わかったよ。絶対成功させようね!」
「もちろん!終わったら連絡して」
さあ、作戦開始だ。
私は準備万端にして絶対勝たなきゃ。
準備運動をしてる私にさやか先輩、あやか先輩は近づいてきた。
「紗織ちゃーん、どうせ負けるんだしそんなに気合い入れなくて良くない?また、嫌なことおもいだしちゃうよ。」
「今日は適当に走ってね、まぁ、頑張って走ったところで3人分は追い返さないか。」
「「せいぜい頑張ってね。」」
落ち着け、こういう時は冷静に煽るぞ。
「ありがとうございます!心配してくれるなんてほんと優しいんですね。お互い、頑張りましょう!」
「チッ!」
はっはっは、なにも言い返せてないぞ、勝った。試合にも勝負にも勝つぞ!
ピコン
『紗織ちゃん、もか先輩見つけたよ。リレーのこと相当気にしてるみたいだよ。』
晶、ありがとう。
『こっちは田中先生に順番言えたよ!がんばれだって、で、弟くんも見つけた。特等席に今招待してるとこ』
美羽、ありがとう。
よし、準備は整った。次は私の番だ。
「涼、期待してるよ。」
私が思ってることを少しずつ伝えていけばいい。それが今の私にできることだ。
「は、勝つ気でいるの?まぁ、せいぜいアンカー頑張ってね。」
「アンカーは私じゃなくて涼だけどなに言ってるの?」
「は?私、アンカーなんて聞いてないんだけど。勝手になにしてくれたの。」
「言ってないからね、それと練習に参加しなかったのはそっちだよ。作戦としてこれを入れているんだ。」
「はぁー。めんど。」
「涼、そんな態度でいいの?横見てみな。」
「俊、なんだ俊がここに?」
こんなに焦ってる涼、初めてみたかも。
「自分で言ったんでしょ。午後から来てねって。表彰式でバレー部が呼ばれてるところみたいって言われたんでしょ。思い出した?」
正確には私には言ってない。美羽に言って美羽から聞いたことだ。普通ならなんで知ってるのー?みたいなノリになるところだが、焦ってる涼にはそんなことを考える余裕もなさそうだ。やっぱり、弟くんが関わっていたのか。
「なんで、みんな俊にひどいことするの。来ないでって言ったのに。」
ん?これ、完全に誤解されてる系な?
「私は、呼んでないよ。俊くんがきたくてきたんじゃないの。なら、涼は期待に応えなきゃね!」
信じてくれるかな、私のこと。
「ごめん、気が散ってた。私さ、ほんとは紗織と話したかったんだ。私は、やっぱ自分の意思で動くわ。紗織、冷たい態度とってごめんね。そして、こんなにひどいことしたのに、嫌わないでくれてありがとう。私、頑張って優勝して、俊にかっこいい姿見せる!」
よかった、いつもの涼だ。
「よし、お互いほんきを出して頑張ろう!」
「うん!アンカー、として最後まで諦めずにがんばるよ!」
いくぞ!
「いちについてー!よーい、スタート!」
先生の合図に合わせて多くの人がスタートダッシュを迎えた。でも、さやか先輩は出遅れ、ゆっくりマイペースでどんどん先頭と引き離されていく。2番に変わった、あやか先輩もやる気がなくもう少しで私の番だ。
ふぅー、ぱちっ!
思い切りほっぺを叩いて気合いを入れる。あやか先輩がくるまで3、2、1__
GO!
なにも考えずに走り続けた。半周以上遅れてたバレー部はいつの間にか2位までいっていた。視界の横には悔しがってるでも、笑ってるもか先輩がいた。そうだ、この走りで涼を変えるんだ。あ、美羽と晶だ!ニコッ!
思い切りピースをして笑顔で走り続けた。
先頭の陸上部もぬいた。目の前にうつるのはさっきまでとは違っていつもの笑顔に戻っている涼だ。涼が帰ってきた!
「涼、おかえり!」
そう言ってバトンを渡すと涼は、ニッと笑い
「ただいま!」
と言って走り出した。測定した時とは違って涼が本気で楽しんで走っていた。嬉しいな。
涼が頑張って独走してくれた結果、バレー部は優勝することができた。
表彰式
今年の優勝は、1組だ。
私は1組として、そしてバレー部として頑張って活躍したので1学年1人ずつ選ばれる、MVPに選ばれたそういうわけで楽しく体育祭をおわれたのさ。やった、やった!
で、終わるはずもなく、リレーが終わったあと、すぐに表彰式に移ってしまったので、表彰式が終わったあと、もか先輩は涼に話に行くと予想した。涼になぜ、どんなことで脅されていたか聞いたが涼は私たちが危ない目にあわないようにと教えてくれなかった。
なので、私たち3人は表彰式が終わったあと2人をつけることにした。で、今その2人が話してる現場にいる。
「ちょっと、なんでわざと負けなかったの。」
「私は、自分にメリットがあることしかやらないと決めたので。もう、自分に嘘はつかない。」
よし、よく言った、涼。
「はぁ?あんた、なに言ってるの。自分がなにを言ってるかわかる?あんな、クソの味方するの。なら、俊くんはもう、見捨てたってことでいいの。」
クソってなによ、クソって。それより、やっぱり弟くんは関係してたんだ。見捨てるってどういうこと。
「俊のことは見捨ててない。」
「どっちもなんて、無理なの、わかるでしょ。それでも、あなたはクソの味方するってことね。わかった。西條さんに連絡するね。」
西條さんって、たしかそこの大学病院の院長の娘だった気がする。西條医院長といえば、よく、パパがお世話になってて、釣りとかを一緒にいってる人だった気がする。
「待って、私と話させて、納得いかない。あそこの病院はいい人たちばかりだから、俊を見捨てるってことはしないと思う。」
は?俊くんを病院が見捨てる?大学病院にそれはありえないんだけど、しかも、西條医院長だし。
「美羽、晶これおかしいよね?」
「うん、おかしい。」
「西條医院長はそんなことしないもん。」
「だよね、ちょっと私言ってくる。2人先生呼んできて。」
「え、ちょ、ま、んー。わかった。気をつけてね。くれぐれも殴らないこと。」
「あはは、確かに紗織ならやりそう。」
「じゃ、行こう。」
私は涼の方に向かった。
「せんぱーい、今のどういうことですか。」
「ちょ、なんで紗織がここに。」
「ごめんね、どうしても心配で。」
「質問に答えるけど、どうもこうもないよ、普通に私の言うこと聞かなかったから西條さんに頼んで俊くんを見捨てるって話。」
そんなことするわけないじゃん。
「わかった、なら、電話して。私が出る。」
「まぁ、変わんないしいいよ。ただ、金で買わないように見張るから。」
プルル、プルル、プルプルーガチャ。
『もかちゃんどうしたの?』
「あ、西條先輩?私、1年の新山と言います。少し、聞きたいことがあるんですがいいですか。」
『もちろん、いいよ!なにを聞きたいの?』
「実はですね、今もか先輩に聞いたんですけど、涼の弟、俊くん西條先輩のお父様がやっている大学病院にいるんですよね。それで、見捨てると聞いたんですけど、それ、本当ですか?」
『見捨てるってなに。そんなの聞いてないよ。私は、もかちゃんから、涼ちゃんが紗織ちゃんか俊くんで俊くんを選ぶなら、もかちゃんが俊くんの手術費を出すって聞いたんだけど、私、見捨てるなんて言ってないよ。ちょっと、もかちゃんに変わってもらえるかな?』
よかった、やっぱ西條先輩はそういうことしないよね。涼は泣きそうになってた。きっと、西條先輩がいい人だったからだろう。
「今、スピーカーにしてるのでそのまま話して構いませんよ。」
『わかった。で、もかちゃんどういうこと?私助けるためって聞いたんだけど。』
「え、だって、西條さんのお父さんは患者を見捨てるって聞いてだから、今回も見捨ててくれるだろうって思ったの。」
『ひどい、私はお父さんのことそういうふうに言われるの嫌いなの。取り消して、そして俊くんをそういうふうにしようとしたこときちんと涼ちゃんに謝って。』
「うっ。ごめんなさい。もうしないのでどうか親と先生だけには言わないでください。ちゃんと手術代も出すので。」
は?こいつ、本当に反省してるのか。あー、こっちがムカついてくる。
涼は泣き出した。きっと弟くんのことを聞いて安心したんだろう。
「あ、私は、やったことに関しては許しませんけどお金を払ってくれるなら、先生たちには言いませんよ。私も大事にしたくないし。」
ん?ちょっと、涼なに言ってるの?
『待って、涼ちゃん、、、』
ブチッ、西條先輩の声が聞こえたら突然もか先輩は電話を切った。
「涼、本当にそれでいいんだよね?」
「はい。」
「ありがとう。」
こいつ、西條先輩がいると余計なこと喋ると思って切ったんだ。つくづくせこいやつだな。
「ダメだよ、涼。そんなに甘やかしちゃ。」
私がいうしかダメだ。
「でも、大事にしたくないから。」
「そうしたら、逆に大事になるよ。」
「は、クソ紗織なに言ってるの。」
「紗織、どういうこと?」
「涼は知らないから言うね。こいつね、中学の時もこういう脅ししたの。で、また同じことをやったの。わかる?こいつは甘やかしてたらまたやるんだよ。涼はそれでもいいの?この後の被害者見捨てるの?」
「でも、じゃなきゃ手術費が、、、」
「たしかに、そうだね。でもね、それだけじゃないと思うよ。考えてみな、ここまで涼を傷つけたのはだれ?もか先輩でしょ。」
「う、うん。」
「こんなにひどいことをする人なら将来、高校を卒業した後とかに涼に「私あなたの弟の手術費出したよね?私のおかげで助かったんだよ。だからその倍金返しなさいよ。」とか言われるよ。」
「それは、やだ。だったら、甘やかさない。」
「ちょっと、涼なに言ってるの。さっきそれでいいって決まったじゃん。」
「ごめんなさい。私、またこう言う脅しに会いたくないから。それに、今認めてももか先輩はお金出してくれなさそうなので。」
「じゃ、じゃあどうやって手術費出すの?あなたの家のお金じゃ足りないでしょ。」
「それは、私がバレー部やめて働いて稼ぎます。それに、そんなことはもか先輩には関係ありません。」
涼はすごいな。弟のためにこんなに思って。
「もか先輩、安心してください。俊くんの手術費は、私が出すので。」
パパはこのことの事情を話したら協力してくれるはず。
「それは、大丈夫。そうしたら、紗織が大変になる。俊の病気の手術費は他よりも高いんだよ。私は大丈夫だから。」
優しいな、涼は。
「大丈夫だよ。パパがなんとかしてくれる。それに、私のパパは医療費のために高校生が自分の楽しみを失うって知ると私に対してなんでなにもしないんだって怒るんだ。それに、助けたいって思う優しいパパなの」
「はっ、なにがだよ。あんたんとこのパパ嫌われてるくせに。なにが助けるだよ。人に金払ってまで大臣やってるくせにさ。」
む。うるさいな、パパはそんな悪事働いてませんもん。まぁ、言っても無駄だけど。
「え、大臣?なにそれ聞いてないんだけど。」
え?あ、美羽、先生ともか先輩の両親と寮のお母さんとママもいる。
「うん。言ってなかった。ごめんね。」
「親友と思ってたのはわたしだけ。私は紗織のことならなんでも知れてると思ったのに。隠し事なんてひどいよ。」
だって、理由があったんだもん?あれ?なんでだろ、私この間今の美羽みたいなことあったな。あ、涼の時か。結局同じことやっちゃったんだな。私に涼を怒る資格なんてなかったんだ。
「ごめん、私中学の時パパのこと言っただけで、急に仲良くされたり、それでちょっと辛かった時期があったの。もか先輩みたいに、パパを悪く言う人もいるしね。決して2人のことを信用してないわけではないの。ただ、高校入る前にこのことは絶対言わないと決めてたの。私は涼や美羽のこともちろん晶のことも親友だと思ってる。でも、ここで言ったら自分に制限がなくなりそうだったの。だから、黙ってた。本当にごめんなさい。」
ごめん、ごめん、許して。
「私は大丈夫。誰にも言えないことってあるしね。私もそうだった。でも、紗織がいてくれたから今こんなふうに笑えてる。だから、私は紗織が思ったことには反論しない。紗織は世界一尊敬する人だもん!」
りょぉぉぉぉ。やばい、涙が出てくる。ありがとう。こんな私も信じてくれて。
「まぁ、たしかにムカついたけど、私も紗織のこと大好きだから、許す。だから、これからは隠し事しないでほしいな。」
萌ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
心臓が、心臓がもたない。なにこの可愛いの。美羽ぅぅぅぅほんとありがとう。心配してくれてたんだよね。嬉しい。
「すーはーすーはー」
すってー!はいてー!すってー!はいてよし!落ち着いた。
「2人ともありがとう。私も大好き!これからもよろしくね!」
「あの。」
「涼ママどうしたんですか?」
「今の感じをみてると治療費を払ってくださるみたいな話でしたけど、やはり申し訳ないです。気持ちだけ受け取ります。」
「えっと、そんなに嫌なんですか?」
「えぇ、大変嬉しいことですが、やはり払ってまでしてくれることではないと思います。それに、このままではなんだか落ち着かないので。」
「うーん、どうしましょうか。」
「ふふふ、それなら、簡単よ。」
「ママ!じゃあどうしたらいいの?」
「ローンや、後払い、まぁ、悪く言うと借金みたいなものにすればいいのよ。」
「あー、たしかにそれならこの後涼が大人になって少しずつ返していけばいいのか。そしたら、涼ママも申し訳ない気持ちがなくなるのか。」
ママ天才〜!さすが大臣の妻だけある〜!
「それでも、やはり、、、」
「お母さん、今は紗織達の提案に乗ろう。」
「あなた、なにも言ってるの。失礼じゃない。」
「なんで?だって、紗織達がいいって言ってるんだし、今私たちが俊を助けるためにはそれしか解決方法がないよ。私は何としても俊を助けたい。たしかに、申し訳ないけどさ、コツコツコツコツ返していけばいいよ。私はそんな他人に対する失礼よりも俊が元気になって走ってる姿が見たい。」
涼、そうだよね、誰よりも苦しかったのは涼だ。
「わかりました。では、お願いします。」
「はい、それでは親だけでちょっとお話ししたいのですが、お時間大丈夫ですか?」
「はい。」
ママと、涼ママは言ってしまった。さぁ、残るもか先輩はどうするのか、おっと、私たちが話してる最中にあちらも結果が出たようだ。
「晶、どうなったの?」
「なんか、もかちゃんのお母さん紗織パパに助けてもらったことがあるらしくてね、紗織ちゃんちと涼ちゃんちに慰謝料払うってことになったよ。」
「え〜、慰謝料?私んちはいいよ。」
「なにいってるの、そしたら涼ちゃんちが慰謝料もらえないじゃん。」
「なんで?」
「さっきの涼ちゃんのお母さんの性格考えてみなよ。紗織ちゃんちがいらないっていったら、きっともらわないよ。だって、この事件につながる元凶の被害者は、紗織ちゃんだからね。」
「そっか、ならもらう!」
「うん、そうしな。」
「で、もか先輩の処分だけど、1ヶ月停学、でさらに1ヶ月は定時制の方で授業だって、でそのあと反省してたら元に戻すらしい。でも、部活は退部だって。」
「2ヶ月もこないの?厳しいね。」
「じゃあ短くしてもらう?」
「うーん、それはいいかな。そしたらまだ同じこと繰り返しそうだから。」
「だよね。それと、あやか、さやか先輩も多分退部するよ。」
「あー、もか先輩いなくなって気まづいしね。まぁ、やめてくれてこっちは嬉しいんだけどね。」
「まぁ、とりあえず解決してよかったね。これも全て紗織ちゃんが頑張ったおかげだよ。お疲れ様!」
くわぁぁぁ、久しぶりに見た晶の笑顔尊いな。
その後、晶の予想通りさやか先輩達はやめて、2年生がとても元気になった。やっぱり、逆らえないという恐怖で大人しくなってたんだな。今回の一件でより私たち4人は仲良くなったのでした。
休憩時間、私は近くの椅子に腰をおろし、体育祭に向け、リレーチームのことを考えていた。はぁ、今回美羽がいないから少し大変だな。私、大丈夫かな、どうせ出るのなら1位になって、女バレの名をとどろかせたいけど、このチームで上手くやっていけるかが心配でしかないなぁ。はぁ、なんで、私がこんなに一生懸命考えてるんだろ。よく、考えたら私被害者じゃん。私は椅子から立ち上がり走りに行こうとした。でも、力が出ずにまた座り込んでしまった。やっぱり、涼なんかおかしいよな。私、なんかしちゃったかな。ねぇ、教えてよ。この胸がキュッとなるのはどうしたらなおるの。誰か教えて。私の心の中は真っ黒でどうすればいいのか真っ黒い中をさまよっていた。
次の日、田中先生はリレーに出る4人はバレーの練習より体育祭で勝つことを優先しろということで私たち4人は校庭でバトンパスの練習をすることになったのだけど、さやか先輩とあやか先輩は当然のごとくサボり、涼もめずらしく練習をサボっている。
はぁー。1人でなんの練習したらいいかな。田中先生に相談してら先輩たちの誰かが代わりに練習に付き合ってくれるかもしれないけど、そしたら涼まで怒られてしまうな。
それに、田中先生って言えば、パパの件もあるし、相談なんかしたらパパにチクられるかもしれないから簡単に相談できないな。
まただ、胸がキュッとなる。
やっぱりパパのあの時の言葉をほんとうに信じてないんだな。
とりあえずは、1人で練習しよ。体育祭まだ2週間あるもんね。その間に来ると思う!でも、本番はサボらないと思うけど、もし手を抜いたりしたら、私が3人の分まで追いつけるように頑張ろう。
その日から私はただひたすらに1人で走り続けた。先生が見に来たときは、なにかしらで言い訳をして。ほんとはチクってもいいけど、自分1人の力で勝ちたいもんね!
そう考えてるうちに私の気持ちはだんだん楽しくなってきた。
結局体育祭までの2週間、先輩たちと涼は練習に現れたことはなかった。涼は学校もなんどか休んでたしあったとしてもそっけなかったし。
「はぁーーーーー。」
あ、自分でも驚く大きなため息。そうだよね、辛いときは口にださなきゃスッキリしないよね。明日は本番、絶対1位になるために気持ちは楽にしとかなきゃ。
「紗織、大丈夫?」
私が練習(1人だけど)を終えた後、美羽と晶がきた。この2人はおそらく涼と先輩たちがきてないことを知ってる。だから、2人はバレー部の練習が終わると私のところに顔を出して練習を手伝ってくれる。でも、今日は遅かったな。まぁ、明日は部活休みだし、今日は忙しかったんだよね。はぁ、でもほんと2人の顔を見ると安心する。なんか、いつも感じるこの真っ黒な心がピンクに変わるイメージでほんとに安心するんだ。
「私は大丈夫だよ!1人でもこんなにピンピンしてて楽しいよ!明日は本番だからかな?めっちゃ浮かれて練習しちゃったんだ。」
ほんとは違う。楽しいのは確かでも、心の奥で涼に来てほしいという気持ちがある。でも、この2人には本当に私をいつも助けてくれて感謝してるからあんまり心配かけたくないな。
「紗織ちゃん、いいんだよ。泣いても、苦しいとか、悲しいとか自分が思ってることを僕たちに吐き出していいんだよ。」
あぁ、やっぱり晶と美羽には敵わないな。この2週間私が少しでも表情を変えるとすぐに反応して、助けてくれる。私は本当にいい友達を持ったな。この2人のためにも絶対に勝つ!
「ありがと、2人と会えて自信がついた!明日は絶対勝つね!応援よろしく!じゃあバイバイ!」
「「バイバイ!」」
私は家に帰るとすぐ屋上に行き、大きな声で叫びまくった。
「私の何がいけないんだー!」
「私がなにをしたの?教えてくれなきゃわからないよ!」
「親友だと思ってるのは私だけ?」
「また、涼と楽しい話したり一緒に遊びに行きたいよ!」
「勝つ!私は明日絶対1位になるし、このキュッとなる思い、自分自身に勝つ!」
「はぁー。」
少し、スッキリしたな。よし、明日は絶対勝つぞー!
えっと、明日の天気は晴れかぁ。
「体育祭日和でいいねぇ、神様は私の味方をしてくれた。なら、それに応えなきゃね!」
リレー当日!
「今日は、ほんといい天気、これで1位になったらとても気持ちがいいねぇ。楽しみだ、楽しみだ。」
午前中の種目、私は全てクラス代表で見事全て1位を取ることが成功した!そのおかげかはわかわからないけど、私たちのクラス、白組は優勝することができた。
午後の予定はまずはじめに部活対抗リレーがあってそれが終わったら表彰式とお疲れ祭がある。部活対抗リレーで勝つことができたら表彰式で賞状と優勝チームには副賞で1ヶ月間学食が無料になるのと、3月まで部費が1割高くなるので、先生たちや先輩たちはこの時期になると他の部と争いに近いことが起こるらしい。私が3年生になった時もそうなるのかな。
はー、みんなが期待してくれてる頑張ろう!
「紗織ー!」
ん?あ、美羽と晶だ!
「どうしたの?もしかして晶、私たち1組に負けると思ってるの?正解、今年は私がいるんだから1組優勝で間違いない!で、美羽はどうしたの?」
あー、2人の顔をみると部活対抗リレーのこと思い出して緊張しちゃう。あー、腹痛くなってきたかも。
「わたし、かてるかな。」
どうだろうな。はぁ、急に心配になってきた。なんで、昨日までは普通だったのに。
ポトッ、ぽとぽとぽと。
あれ、なんでなんで急に涙が出てくるの。
あんなに自信満々だったのに。まさか、心の奥では勝てないと思ってるのかな。ダメだ、余計なことは考えちゃダメだ。先輩達のためにも頑張ろう!
「紗織。」
ドキッ、いつもちゃん付けの晶のイケボで呼び捨ては胸に悪いな。
「なんで、いつも頼ってくれないの。練習の時だって頼ればよかったじゃん。この前言ったじゃん。僕らに苦しいとか悲しいとか吐き出しって、たった一言「助けて」って言えばいいだけじゃん。なんでできないの。ぼくたちは頼られるの待ってた。だから、毎日部活終わりによってた。なのに、いつもへろへろした作り笑顔で誤魔化してさ、そんなに僕らのことが信用できないの?」
私だってわかってる、近くには美羽と晶がいるって、でも頼れないんもんはしょうがないじゃん。私だって頼りたいよ。でも、、、
「紗織、私もね晶と一緒でずっと待ってた。紗織が私を頼ってくれるのを。いいんだよ、自分が思ったことは気軽に口にして、愚痴でも楽しいことでも話付き合うよ。そのための友達、いや親友なんだよ。」
みうぅぅぅ。グスッ
「人のためじゃない、紗織ちゃんのためにやるんだよ。ぼくたちはいつも自分が納得いくように生きてるんだもん。負けても誰も文句は言わないよ。みんな温かい目で見守ってくれる。」あきらぁぁぁ。グスッ、ひくっひくっ。
「だすげで。」
ありがと、2人のおかげで私のやることがわかった。
「そう、そうだよ。それを待ってた。」
「私たちは紗織の仰せのままに従います!」
「あぁ、ありがどゔ」
「じゃあ、ぼくたちはなにをしたらいい?」
いつまでもクヨクヨしてられない!
「そうだなぁ。えっと、晶にはもか先輩を探し出して欲しい。で、美羽は2つあってね、リレーの順番を変えるって先生に言ってきて。変える順番はさやか、あやか、さおり、りょうの順でって言っといて。それが多分すぐ終わると思うからそれが終わったら保護者席から涼の家族探しといて。で、晶はもか先輩が見つかったら、もか先輩の後ろに隠れてリレー見といてね。で、リレーが終わってもし私たちバレー部が涼の力で優勝したら、涼のところ行くと思うからその時っていうかもか先輩がリレー終わった後すぐ移動したらこっそりついていって。」
で、美羽に聞きたいんだけどさ、涼って家族と仲良し?」
「うん、涼はね、小さい頃にお父さん亡くしてから家族の大黒柱になってるんだ。涼のお母さん仕事、大変だし、弟くんは病気があって医療費が大変なんだって。前聞いたら、今日弟くんがお医者さんと相談して来てるらしいよ。でも、ずっといると大変だから表彰式がある午後だけ来てるらしい。リレーにも多分来てると思う。で、どうして探したほうがいいの?」
そう、過去、中学の時の先輩を思い出すとただターゲットを攻撃をするだけじゃなくて他の人を脅してターゲットを攻撃させてたことがある。ちなみにその時のターゲットは私じゃないけどね。先輩が卒業してからわかったことだから、中学の顧問の人たちは知らない情報だ。まぁ、それは置いといて。
「実はね、先輩中学にもこういう似たことがあったの。その時脅してターゲットを苦しめてたの。だから、多分今回もだと思う。」
「あ、じゃあ紗織ちゃんを攻撃するように脅されてる相手は涼ってこと?」
「そうだと思う。」
「え、じゃあつまり、涼は何か弱みかなんかを握られて脅されてるってこと?」
「多分そうだよ。あの先輩ならやりかねない。」
「問題はなにを脅されてるかか。」
「前の時は彼氏とか恥ずかしい動画をネットに載せるとかだったよ。」
「うーん。涼に家族はいなしい、部活以外では先輩と話してなかったから、恥ずかしい動画撮る機会とかないと思うよ。」
「部活終わったあとは?」
部活の後捕まえてとかないかな?
「涼は私と家近いからそれはなおと思う。」
そっか、美羽と涼は家近いのか。
「じゃああれは?もか先輩たち人の家族とかのこと詳しいから涼の家族とかは?」
家族か、確かにそれならあるかも
「じゃあ弟関係かお父さん関係かな?」
「多分、弟だと思う。涼はとっても弟くんのこと心配してるから。」
涼が苦しんでる内容で脅すとかないわ。
「じゃあ、なおさらだ。涼の家族を呼んでほしいのは、涼の心を変えることだよ。リレーの順番的にさやか先輩、あやか先輩は本気で走らないと思う。多分、涼もかな。でも変えたくてこの順番にしたんだ。だから弟くんの力で涼は元に戻って欲しい。」
そうだ、私は涼とまた仲良くなりたいんだ。
「わかった、紗織の作戦のる。」
「なんとなく、わかったよ。絶対成功させようね!」
「もちろん!終わったら連絡して」
さあ、作戦開始だ。
私は準備万端にして絶対勝たなきゃ。
準備運動をしてる私にさやか先輩、あやか先輩は近づいてきた。
「紗織ちゃーん、どうせ負けるんだしそんなに気合い入れなくて良くない?また、嫌なことおもいだしちゃうよ。」
「今日は適当に走ってね、まぁ、頑張って走ったところで3人分は追い返さないか。」
「「せいぜい頑張ってね。」」
落ち着け、こういう時は冷静に煽るぞ。
「ありがとうございます!心配してくれるなんてほんと優しいんですね。お互い、頑張りましょう!」
「チッ!」
はっはっは、なにも言い返せてないぞ、勝った。試合にも勝負にも勝つぞ!
ピコン
『紗織ちゃん、もか先輩見つけたよ。リレーのこと相当気にしてるみたいだよ。』
晶、ありがとう。
『こっちは田中先生に順番言えたよ!がんばれだって、で、弟くんも見つけた。特等席に今招待してるとこ』
美羽、ありがとう。
よし、準備は整った。次は私の番だ。
「涼、期待してるよ。」
私が思ってることを少しずつ伝えていけばいい。それが今の私にできることだ。
「は、勝つ気でいるの?まぁ、せいぜいアンカー頑張ってね。」
「アンカーは私じゃなくて涼だけどなに言ってるの?」
「は?私、アンカーなんて聞いてないんだけど。勝手になにしてくれたの。」
「言ってないからね、それと練習に参加しなかったのはそっちだよ。作戦としてこれを入れているんだ。」
「はぁー。めんど。」
「涼、そんな態度でいいの?横見てみな。」
「俊、なんだ俊がここに?」
こんなに焦ってる涼、初めてみたかも。
「自分で言ったんでしょ。午後から来てねって。表彰式でバレー部が呼ばれてるところみたいって言われたんでしょ。思い出した?」
正確には私には言ってない。美羽に言って美羽から聞いたことだ。普通ならなんで知ってるのー?みたいなノリになるところだが、焦ってる涼にはそんなことを考える余裕もなさそうだ。やっぱり、弟くんが関わっていたのか。
「なんで、みんな俊にひどいことするの。来ないでって言ったのに。」
ん?これ、完全に誤解されてる系な?
「私は、呼んでないよ。俊くんがきたくてきたんじゃないの。なら、涼は期待に応えなきゃね!」
信じてくれるかな、私のこと。
「ごめん、気が散ってた。私さ、ほんとは紗織と話したかったんだ。私は、やっぱ自分の意思で動くわ。紗織、冷たい態度とってごめんね。そして、こんなにひどいことしたのに、嫌わないでくれてありがとう。私、頑張って優勝して、俊にかっこいい姿見せる!」
よかった、いつもの涼だ。
「よし、お互いほんきを出して頑張ろう!」
「うん!アンカー、として最後まで諦めずにがんばるよ!」
いくぞ!
「いちについてー!よーい、スタート!」
先生の合図に合わせて多くの人がスタートダッシュを迎えた。でも、さやか先輩は出遅れ、ゆっくりマイペースでどんどん先頭と引き離されていく。2番に変わった、あやか先輩もやる気がなくもう少しで私の番だ。
ふぅー、ぱちっ!
思い切りほっぺを叩いて気合いを入れる。あやか先輩がくるまで3、2、1__
GO!
なにも考えずに走り続けた。半周以上遅れてたバレー部はいつの間にか2位までいっていた。視界の横には悔しがってるでも、笑ってるもか先輩がいた。そうだ、この走りで涼を変えるんだ。あ、美羽と晶だ!ニコッ!
思い切りピースをして笑顔で走り続けた。
先頭の陸上部もぬいた。目の前にうつるのはさっきまでとは違っていつもの笑顔に戻っている涼だ。涼が帰ってきた!
「涼、おかえり!」
そう言ってバトンを渡すと涼は、ニッと笑い
「ただいま!」
と言って走り出した。測定した時とは違って涼が本気で楽しんで走っていた。嬉しいな。
涼が頑張って独走してくれた結果、バレー部は優勝することができた。
表彰式
今年の優勝は、1組だ。
私は1組として、そしてバレー部として頑張って活躍したので1学年1人ずつ選ばれる、MVPに選ばれたそういうわけで楽しく体育祭をおわれたのさ。やった、やった!
で、終わるはずもなく、リレーが終わったあと、すぐに表彰式に移ってしまったので、表彰式が終わったあと、もか先輩は涼に話に行くと予想した。涼になぜ、どんなことで脅されていたか聞いたが涼は私たちが危ない目にあわないようにと教えてくれなかった。
なので、私たち3人は表彰式が終わったあと2人をつけることにした。で、今その2人が話してる現場にいる。
「ちょっと、なんでわざと負けなかったの。」
「私は、自分にメリットがあることしかやらないと決めたので。もう、自分に嘘はつかない。」
よし、よく言った、涼。
「はぁ?あんた、なに言ってるの。自分がなにを言ってるかわかる?あんな、クソの味方するの。なら、俊くんはもう、見捨てたってことでいいの。」
クソってなによ、クソって。それより、やっぱり弟くんは関係してたんだ。見捨てるってどういうこと。
「俊のことは見捨ててない。」
「どっちもなんて、無理なの、わかるでしょ。それでも、あなたはクソの味方するってことね。わかった。西條さんに連絡するね。」
西條さんって、たしかそこの大学病院の院長の娘だった気がする。西條医院長といえば、よく、パパがお世話になってて、釣りとかを一緒にいってる人だった気がする。
「待って、私と話させて、納得いかない。あそこの病院はいい人たちばかりだから、俊を見捨てるってことはしないと思う。」
は?俊くんを病院が見捨てる?大学病院にそれはありえないんだけど、しかも、西條医院長だし。
「美羽、晶これおかしいよね?」
「うん、おかしい。」
「西條医院長はそんなことしないもん。」
「だよね、ちょっと私言ってくる。2人先生呼んできて。」
「え、ちょ、ま、んー。わかった。気をつけてね。くれぐれも殴らないこと。」
「あはは、確かに紗織ならやりそう。」
「じゃ、行こう。」
私は涼の方に向かった。
「せんぱーい、今のどういうことですか。」
「ちょ、なんで紗織がここに。」
「ごめんね、どうしても心配で。」
「質問に答えるけど、どうもこうもないよ、普通に私の言うこと聞かなかったから西條さんに頼んで俊くんを見捨てるって話。」
そんなことするわけないじゃん。
「わかった、なら、電話して。私が出る。」
「まぁ、変わんないしいいよ。ただ、金で買わないように見張るから。」
プルル、プルル、プルプルーガチャ。
『もかちゃんどうしたの?』
「あ、西條先輩?私、1年の新山と言います。少し、聞きたいことがあるんですがいいですか。」
『もちろん、いいよ!なにを聞きたいの?』
「実はですね、今もか先輩に聞いたんですけど、涼の弟、俊くん西條先輩のお父様がやっている大学病院にいるんですよね。それで、見捨てると聞いたんですけど、それ、本当ですか?」
『見捨てるってなに。そんなの聞いてないよ。私は、もかちゃんから、涼ちゃんが紗織ちゃんか俊くんで俊くんを選ぶなら、もかちゃんが俊くんの手術費を出すって聞いたんだけど、私、見捨てるなんて言ってないよ。ちょっと、もかちゃんに変わってもらえるかな?』
よかった、やっぱ西條先輩はそういうことしないよね。涼は泣きそうになってた。きっと、西條先輩がいい人だったからだろう。
「今、スピーカーにしてるのでそのまま話して構いませんよ。」
『わかった。で、もかちゃんどういうこと?私助けるためって聞いたんだけど。』
「え、だって、西條さんのお父さんは患者を見捨てるって聞いてだから、今回も見捨ててくれるだろうって思ったの。」
『ひどい、私はお父さんのことそういうふうに言われるの嫌いなの。取り消して、そして俊くんをそういうふうにしようとしたこときちんと涼ちゃんに謝って。』
「うっ。ごめんなさい。もうしないのでどうか親と先生だけには言わないでください。ちゃんと手術代も出すので。」
は?こいつ、本当に反省してるのか。あー、こっちがムカついてくる。
涼は泣き出した。きっと弟くんのことを聞いて安心したんだろう。
「あ、私は、やったことに関しては許しませんけどお金を払ってくれるなら、先生たちには言いませんよ。私も大事にしたくないし。」
ん?ちょっと、涼なに言ってるの?
『待って、涼ちゃん、、、』
ブチッ、西條先輩の声が聞こえたら突然もか先輩は電話を切った。
「涼、本当にそれでいいんだよね?」
「はい。」
「ありがとう。」
こいつ、西條先輩がいると余計なこと喋ると思って切ったんだ。つくづくせこいやつだな。
「ダメだよ、涼。そんなに甘やかしちゃ。」
私がいうしかダメだ。
「でも、大事にしたくないから。」
「そうしたら、逆に大事になるよ。」
「は、クソ紗織なに言ってるの。」
「紗織、どういうこと?」
「涼は知らないから言うね。こいつね、中学の時もこういう脅ししたの。で、また同じことをやったの。わかる?こいつは甘やかしてたらまたやるんだよ。涼はそれでもいいの?この後の被害者見捨てるの?」
「でも、じゃなきゃ手術費が、、、」
「たしかに、そうだね。でもね、それだけじゃないと思うよ。考えてみな、ここまで涼を傷つけたのはだれ?もか先輩でしょ。」
「う、うん。」
「こんなにひどいことをする人なら将来、高校を卒業した後とかに涼に「私あなたの弟の手術費出したよね?私のおかげで助かったんだよ。だからその倍金返しなさいよ。」とか言われるよ。」
「それは、やだ。だったら、甘やかさない。」
「ちょっと、涼なに言ってるの。さっきそれでいいって決まったじゃん。」
「ごめんなさい。私、またこう言う脅しに会いたくないから。それに、今認めてももか先輩はお金出してくれなさそうなので。」
「じゃ、じゃあどうやって手術費出すの?あなたの家のお金じゃ足りないでしょ。」
「それは、私がバレー部やめて働いて稼ぎます。それに、そんなことはもか先輩には関係ありません。」
涼はすごいな。弟のためにこんなに思って。
「もか先輩、安心してください。俊くんの手術費は、私が出すので。」
パパはこのことの事情を話したら協力してくれるはず。
「それは、大丈夫。そうしたら、紗織が大変になる。俊の病気の手術費は他よりも高いんだよ。私は大丈夫だから。」
優しいな、涼は。
「大丈夫だよ。パパがなんとかしてくれる。それに、私のパパは医療費のために高校生が自分の楽しみを失うって知ると私に対してなんでなにもしないんだって怒るんだ。それに、助けたいって思う優しいパパなの」
「はっ、なにがだよ。あんたんとこのパパ嫌われてるくせに。なにが助けるだよ。人に金払ってまで大臣やってるくせにさ。」
む。うるさいな、パパはそんな悪事働いてませんもん。まぁ、言っても無駄だけど。
「え、大臣?なにそれ聞いてないんだけど。」
え?あ、美羽、先生ともか先輩の両親と寮のお母さんとママもいる。
「うん。言ってなかった。ごめんね。」
「親友と思ってたのはわたしだけ。私は紗織のことならなんでも知れてると思ったのに。隠し事なんてひどいよ。」
だって、理由があったんだもん?あれ?なんでだろ、私この間今の美羽みたいなことあったな。あ、涼の時か。結局同じことやっちゃったんだな。私に涼を怒る資格なんてなかったんだ。
「ごめん、私中学の時パパのこと言っただけで、急に仲良くされたり、それでちょっと辛かった時期があったの。もか先輩みたいに、パパを悪く言う人もいるしね。決して2人のことを信用してないわけではないの。ただ、高校入る前にこのことは絶対言わないと決めてたの。私は涼や美羽のこともちろん晶のことも親友だと思ってる。でも、ここで言ったら自分に制限がなくなりそうだったの。だから、黙ってた。本当にごめんなさい。」
ごめん、ごめん、許して。
「私は大丈夫。誰にも言えないことってあるしね。私もそうだった。でも、紗織がいてくれたから今こんなふうに笑えてる。だから、私は紗織が思ったことには反論しない。紗織は世界一尊敬する人だもん!」
りょぉぉぉぉ。やばい、涙が出てくる。ありがとう。こんな私も信じてくれて。
「まぁ、たしかにムカついたけど、私も紗織のこと大好きだから、許す。だから、これからは隠し事しないでほしいな。」
萌ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
心臓が、心臓がもたない。なにこの可愛いの。美羽ぅぅぅぅほんとありがとう。心配してくれてたんだよね。嬉しい。
「すーはーすーはー」
すってー!はいてー!すってー!はいてよし!落ち着いた。
「2人ともありがとう。私も大好き!これからもよろしくね!」
「あの。」
「涼ママどうしたんですか?」
「今の感じをみてると治療費を払ってくださるみたいな話でしたけど、やはり申し訳ないです。気持ちだけ受け取ります。」
「えっと、そんなに嫌なんですか?」
「えぇ、大変嬉しいことですが、やはり払ってまでしてくれることではないと思います。それに、このままではなんだか落ち着かないので。」
「うーん、どうしましょうか。」
「ふふふ、それなら、簡単よ。」
「ママ!じゃあどうしたらいいの?」
「ローンや、後払い、まぁ、悪く言うと借金みたいなものにすればいいのよ。」
「あー、たしかにそれならこの後涼が大人になって少しずつ返していけばいいのか。そしたら、涼ママも申し訳ない気持ちがなくなるのか。」
ママ天才〜!さすが大臣の妻だけある〜!
「それでも、やはり、、、」
「お母さん、今は紗織達の提案に乗ろう。」
「あなた、なにも言ってるの。失礼じゃない。」
「なんで?だって、紗織達がいいって言ってるんだし、今私たちが俊を助けるためにはそれしか解決方法がないよ。私は何としても俊を助けたい。たしかに、申し訳ないけどさ、コツコツコツコツ返していけばいいよ。私はそんな他人に対する失礼よりも俊が元気になって走ってる姿が見たい。」
涼、そうだよね、誰よりも苦しかったのは涼だ。
「わかりました。では、お願いします。」
「はい、それでは親だけでちょっとお話ししたいのですが、お時間大丈夫ですか?」
「はい。」
ママと、涼ママは言ってしまった。さぁ、残るもか先輩はどうするのか、おっと、私たちが話してる最中にあちらも結果が出たようだ。
「晶、どうなったの?」
「なんか、もかちゃんのお母さん紗織パパに助けてもらったことがあるらしくてね、紗織ちゃんちと涼ちゃんちに慰謝料払うってことになったよ。」
「え〜、慰謝料?私んちはいいよ。」
「なにいってるの、そしたら涼ちゃんちが慰謝料もらえないじゃん。」
「なんで?」
「さっきの涼ちゃんのお母さんの性格考えてみなよ。紗織ちゃんちがいらないっていったら、きっともらわないよ。だって、この事件につながる元凶の被害者は、紗織ちゃんだからね。」
「そっか、ならもらう!」
「うん、そうしな。」
「で、もか先輩の処分だけど、1ヶ月停学、でさらに1ヶ月は定時制の方で授業だって、でそのあと反省してたら元に戻すらしい。でも、部活は退部だって。」
「2ヶ月もこないの?厳しいね。」
「じゃあ短くしてもらう?」
「うーん、それはいいかな。そしたらまだ同じこと繰り返しそうだから。」
「だよね。それと、あやか、さやか先輩も多分退部するよ。」
「あー、もか先輩いなくなって気まづいしね。まぁ、やめてくれてこっちは嬉しいんだけどね。」
「まぁ、とりあえず解決してよかったね。これも全て紗織ちゃんが頑張ったおかげだよ。お疲れ様!」
くわぁぁぁ、久しぶりに見た晶の笑顔尊いな。
その後、晶の予想通りさやか先輩達はやめて、2年生がとても元気になった。やっぱり、逆らえないという恐怖で大人しくなってたんだな。今回の一件でより私たち4人は仲良くなったのでした。