『他に何かある者はおるか?』
『はい。気になることがございます。』
司祭がそう声をあげた。
『申してみよ。』
『ネックレスのことですが、強い神気がたまっていたのは、わかりましたが、強い神気でも、魔力でもいいのですが…、それが動力としてあるからと言って、元々、持っていない属性の力を使うことは、できないはずだと思うのですが…、
ネックレスの影響が抜けてから、もう一度、魔力判定をしてみないことには、本当のことはわかりませんが、アリシア様にはおそらく光の魔力はないでしょう。
なのになぜ、使えたのでしょう?
それに先程、アリシア様がネックレスを手に入れたのは5歳と仰っていましたが、資料によれば、光の魔力は、11歳に出現したとあります。魔力の発現までの長い時差が気になります。』
『それはじゃな。アリシアが11歳の時、母親が馬車の事故で重傷を負ってな。
アリシアがベッドに横たわる母親の側で元気になるように祈っておった時、義母とアリシアを案じたソフィアが別の場所で、祈って、治したんじゃ。
はじめて大きな神力を使ったから、その後、2日、ソフィアは寝込んだ。
だが、アリシアと義母が揃って、アリシアに光の魔力が発現したと誤解したんじゃ。
ソフィアの祈りの力が発揮されたとき、母親の側で、手を握り祈っていたのは、アリシアだからな。
それで、アリシアは、光の魔力を伸ばす訓練を受けたり、教会のボランティアに参加するようになった。
だけど、アリシアには光の魔力を使う能力はない。持っていない属性の魔力だからな。
だから、当然、ネックレスをしておっても、上手くはいかなかった。
アリシアは、家に帰っては落ち込んでな。
心配したソフィアが、アリシアの光の魔法が上手くいくようにと、祈るようになった。
だから、ペンダントの神力を動元に、アリシアの光の魔法が上手く働くようになった。
要するに、叶えていたのは全てソフィアじゃよ。龍の巫女の力は、物理的な距離は関係なく、効力を発揮する。
ソフィア自身の神力に足りることなら力が発動している感覚すらないスムーズさで願えば叶うから、本人も気づかず叶えていることは、多いのじゃ。』
『なるほどそういうことだったんですね。納得しました。』
『魔力判定の際、魔石などがまぎれていないか?しっかり検査するよう周知せねばならぬな。
それにしても、それだけの力を発揮して、力が完全に解放されていないとは、底知れぬ力を持っておるんだなソフィアは。
国を守る王としては、親の犯した罪は益々、許せぬな。このようなことが2度と起きぬよう対策をしっかりしていこうと思う。』
『他に何かあるものはおるか?』
『あの…ノア国王様。お伺いしたいことがございます。』
『申してみよ。ソフィア。』
『はい。ありがとうございます。ネックレスは、今後、どうなりますか?』
『母親との思い出の品であったな。真偽をハッキリさせたら、速やかに返そう。』
その言葉を聞いて嬉しそうな笑みを溢す。
『ありがとうございます。ノア王様。』
『だが、高い神力のこもった品、誰かに奪われて悪用されることのないように対策はできぬのか?』
『それなら、もう心配あるまい。神力がそれなりについた今のソフィアが奪われないよう願いをかければ、誰も奪うことはできないからな。真偽がついたら、戻って来るように、早速、願っておくと良いぞ。ソフィア。』
『ノア王様、そうしても構いませんか?』
『こちらからも、頼みたいくらいだ。是非、そうしてくれ。』
『はい。』
自分には、なんの力もないと少し前まで、思い込んでいたけれど、ランドールの、紅茶の例え話や、ハルの今の話で、自分が祈ってきたことが、叶っていたことを理解できたソフィアは、いつものように、祈った。
『これで大丈夫だと思います。』
『願いを叶えたい物を触りも持ちもせず、何の言葉も発せず、祈っても、ネックレスが光ったりするような変化も起きぬな。
確かにこれでは、効果があるのかないのか、誰が叶えたかすらも、誰にも、本人にも、わからぬな。』
ノア王がそう言って笑った。
『はい。気になることがございます。』
司祭がそう声をあげた。
『申してみよ。』
『ネックレスのことですが、強い神気がたまっていたのは、わかりましたが、強い神気でも、魔力でもいいのですが…、それが動力としてあるからと言って、元々、持っていない属性の力を使うことは、できないはずだと思うのですが…、
ネックレスの影響が抜けてから、もう一度、魔力判定をしてみないことには、本当のことはわかりませんが、アリシア様にはおそらく光の魔力はないでしょう。
なのになぜ、使えたのでしょう?
それに先程、アリシア様がネックレスを手に入れたのは5歳と仰っていましたが、資料によれば、光の魔力は、11歳に出現したとあります。魔力の発現までの長い時差が気になります。』
『それはじゃな。アリシアが11歳の時、母親が馬車の事故で重傷を負ってな。
アリシアがベッドに横たわる母親の側で元気になるように祈っておった時、義母とアリシアを案じたソフィアが別の場所で、祈って、治したんじゃ。
はじめて大きな神力を使ったから、その後、2日、ソフィアは寝込んだ。
だが、アリシアと義母が揃って、アリシアに光の魔力が発現したと誤解したんじゃ。
ソフィアの祈りの力が発揮されたとき、母親の側で、手を握り祈っていたのは、アリシアだからな。
それで、アリシアは、光の魔力を伸ばす訓練を受けたり、教会のボランティアに参加するようになった。
だけど、アリシアには光の魔力を使う能力はない。持っていない属性の魔力だからな。
だから、当然、ネックレスをしておっても、上手くはいかなかった。
アリシアは、家に帰っては落ち込んでな。
心配したソフィアが、アリシアの光の魔法が上手くいくようにと、祈るようになった。
だから、ペンダントの神力を動元に、アリシアの光の魔法が上手く働くようになった。
要するに、叶えていたのは全てソフィアじゃよ。龍の巫女の力は、物理的な距離は関係なく、効力を発揮する。
ソフィア自身の神力に足りることなら力が発動している感覚すらないスムーズさで願えば叶うから、本人も気づかず叶えていることは、多いのじゃ。』
『なるほどそういうことだったんですね。納得しました。』
『魔力判定の際、魔石などがまぎれていないか?しっかり検査するよう周知せねばならぬな。
それにしても、それだけの力を発揮して、力が完全に解放されていないとは、底知れぬ力を持っておるんだなソフィアは。
国を守る王としては、親の犯した罪は益々、許せぬな。このようなことが2度と起きぬよう対策をしっかりしていこうと思う。』
『他に何かあるものはおるか?』
『あの…ノア国王様。お伺いしたいことがございます。』
『申してみよ。ソフィア。』
『はい。ありがとうございます。ネックレスは、今後、どうなりますか?』
『母親との思い出の品であったな。真偽をハッキリさせたら、速やかに返そう。』
その言葉を聞いて嬉しそうな笑みを溢す。
『ありがとうございます。ノア王様。』
『だが、高い神力のこもった品、誰かに奪われて悪用されることのないように対策はできぬのか?』
『それなら、もう心配あるまい。神力がそれなりについた今のソフィアが奪われないよう願いをかければ、誰も奪うことはできないからな。真偽がついたら、戻って来るように、早速、願っておくと良いぞ。ソフィア。』
『ノア王様、そうしても構いませんか?』
『こちらからも、頼みたいくらいだ。是非、そうしてくれ。』
『はい。』
自分には、なんの力もないと少し前まで、思い込んでいたけれど、ランドールの、紅茶の例え話や、ハルの今の話で、自分が祈ってきたことが、叶っていたことを理解できたソフィアは、いつものように、祈った。
『これで大丈夫だと思います。』
『願いを叶えたい物を触りも持ちもせず、何の言葉も発せず、祈っても、ネックレスが光ったりするような変化も起きぬな。
確かにこれでは、効果があるのかないのか、誰が叶えたかすらも、誰にも、本人にも、わからぬな。』
ノア王がそう言って笑った。