♢♢♢♢♢
アリシアと両親が、会場に入ると、国王、王妃、宰相のほか、間違いがないように審査役として、司祭1人、龍巫女1人、聖女3人と、見届け役として無作為で選ばれた貴族10人が、見守る中、厳かに、聖女認定式が始まった。
式が始まると、
『これまでにないほど、強い光の魔力を持っていると噂に聞き、アリシアに会える日を楽しみにしておった。』
とノア王から言葉が掛けられた。
アリシアが、祭壇に置かれた水晶に向かって歩いていくと、1mほど手間から、水晶が光り、
その瞬間、
『オオッ。』
という声が上がった。
(ふふふっ。まだ、手をかざしてもいないのに、こんな遠くから光ったわ。
これで強い光の魔力があることを正式に認められるわ。ランドール様の花嫁に選ばれる日も、きっと直ぐ来るわね。)
次の瞬間、
『待て‼︎』
王より声がかかった。
アリシアが立ち止まり不安気な顔を見せる。
アリシアの胸から、水晶に向かって、光の筋が見える。
『アリシア、胸に何をつけている。つけているものを出してみせよ。』
『えっ‼︎お気に入りのネックレスだけど…。特に何も怪しいものじゃ…。』
『いいからとって見せよ。』
アリシアが言われるままに、ネックレスを外すと、司祭が受け取って確認する。
『これは‼︎…龍の鱗でコーティングしてある魔石ですね。』
そう言うと、王の元に持って行き手渡す。
ネックレスが無くなると、胸から、水晶まで伸びていた光の筋も、水晶の光も消えた。
その様子を見て王が、司祭に、ネックレスを水晶にかざすように言う。
言われた通り、ネックレスを持って、水晶に近づくと、先ほどのようにネックレスから光の筋が延びると同時に、水晶が光った。
『もう良い。司祭よ。下がれ。』
『アリシアよ。このまま、水晶に触れて見よ。』
今、起きていることに動揺しつつも、自分には、光の魔力が確かにあるから大丈夫だといい聞かせ、水晶の前まで歩いて立ち止まり、
大きく息を吐いてから、水晶に手をかざす。
水晶がアリシアのもつ、光と水の魔力の色、透明と水色の淡い光を放つ。
先程の強烈な光とはいかないが、確かに2属性の反応を示したことで安堵する。
『こちらに参れ。』
『はい。』
王の前に行き、礼をする。
『顔をあげよ。』
顔をあげると、王の質問が始まった。
『このネックレスは誰のものだ?』
『…私、私のものです。子どもの頃、お姉様から貰いました。』
『子どもの頃とは、何年前だ?』
『5才の時です。11年前です。』
『先程、お気に入りと言っていたが、それからずっとこのネックレスをつけているのか?』
『…はい、そうです。』
『司祭、どう思う?』
『この魔石には魔力は感じません。龍の鱗でコーティングしてあるので、ひょっとすれば神力があるのではと思われます。私には、神力は感じ取れませんので…、龍巫女のアンナ様に確認して頂いても宜しいでしょうか?』
『そうしてくれ。』
司祭から、アンナにネックレスが手渡される。
『これは、凄いですね。
凄く強い神力がたまっています。
アリシア様からも、今は同じ神力を感じますが、同時に、魔力も感じます。
同じ人間が、魔力と神力、両方を放つことは考えられませんから、水晶が透明に光ったのはこれが原因だと思います。
それに、私の加護龍、颯がこの龍の鱗は龍王の物だと申しております。』
『龍王の鱗だと‼︎』
『はい。』
『王様、申したいことがございます。』
『よいぞ。話してみよ。司祭。』
『光の魔力の色は出ましたが、ネックレスをつけていた時の光と、外してからの光の強さの違いの大きさから、ネックレスを長年つけていた影響だと考えられます。
ネックレスの影響が消えてから、もう一度、魔力判定をやり直した方が宜しいかと思います。』
『そうだな。もう一度、魔力判定をやり直そう。アリシアよ。姉の名はなんと申す?』
『ソ…、ソフィアです。』
『司祭。ソフィアの魔力判定の記録は?』
『魔力なしということで、12歳と16歳の2回とも判定を受けておりません。』
『そうか…。ソフィアに、一刻も早く話を聞きたい。ソフィアの両親よ。ソフィアは今、何処にいる?』
『えっと、それは…。王宮の控え室に…。』
『一緒に王宮まで来てなぜ控え室に…?』
『それは…、その…
『進言させて頂きたく思います。』
後方から、騎士が声をあげた。
『申してみよ。』
『はい。私、控え室より、こちらまで、アリシア様とご両親をお連れしました。
その際、控室に残られたのは、侍女服を着たソフィアという女性だけです。』
騎士の言葉に、その場にいる者が一様に、怪訝な顔をした。
『こちらに一緒に来られようとされましたので、聖女認定式は家族以外は立ち会えないとお断りしたところ、奥様も、アリシア様も、ソフィアと名を呼ばれましたが、侍女ではないとはおっしゃらず…、その…様子がおかしかったのです。』
『様子がおかしいとは、どういうことか?ハッキリ申してみよ。』
『アリシア様と奥様が、まるでソフィアという侍女をさげずんでいるようでした。』
王の眉間に皺が寄る。
『ソフィアとアリシアの両親よ。控室に残った侍女の服を着たソフィアという女性は、侍女なのか?娘なのか?どちらだ?』
『……娘でございます。』
『別室にて、ソフィアの魔力判定を2度とも受けさせなかった件と、娘に侍女服を着せて王宮に連れて来た件をガパトーニ夫妻、其々、個別に聴取し、全ての事情がつまびらかになるまで、3人を王宮に留めておけ。
ソフィアをすぐこちらに連れて来るように。龍王と関わりがあるものやもしれん。丁重に扱え。
今日の聖女認定式は、中止とする。
立会人の貴族らは、もう下がって構わぬ。』
皆に聞こえるように、そう言い終えると、今度は、宰相にだけ聞こえる声で、指示を囁く。
王の命を受け、其々が迅速に動き出した。
アリシアと両親が、会場に入ると、国王、王妃、宰相のほか、間違いがないように審査役として、司祭1人、龍巫女1人、聖女3人と、見届け役として無作為で選ばれた貴族10人が、見守る中、厳かに、聖女認定式が始まった。
式が始まると、
『これまでにないほど、強い光の魔力を持っていると噂に聞き、アリシアに会える日を楽しみにしておった。』
とノア王から言葉が掛けられた。
アリシアが、祭壇に置かれた水晶に向かって歩いていくと、1mほど手間から、水晶が光り、
その瞬間、
『オオッ。』
という声が上がった。
(ふふふっ。まだ、手をかざしてもいないのに、こんな遠くから光ったわ。
これで強い光の魔力があることを正式に認められるわ。ランドール様の花嫁に選ばれる日も、きっと直ぐ来るわね。)
次の瞬間、
『待て‼︎』
王より声がかかった。
アリシアが立ち止まり不安気な顔を見せる。
アリシアの胸から、水晶に向かって、光の筋が見える。
『アリシア、胸に何をつけている。つけているものを出してみせよ。』
『えっ‼︎お気に入りのネックレスだけど…。特に何も怪しいものじゃ…。』
『いいからとって見せよ。』
アリシアが言われるままに、ネックレスを外すと、司祭が受け取って確認する。
『これは‼︎…龍の鱗でコーティングしてある魔石ですね。』
そう言うと、王の元に持って行き手渡す。
ネックレスが無くなると、胸から、水晶まで伸びていた光の筋も、水晶の光も消えた。
その様子を見て王が、司祭に、ネックレスを水晶にかざすように言う。
言われた通り、ネックレスを持って、水晶に近づくと、先ほどのようにネックレスから光の筋が延びると同時に、水晶が光った。
『もう良い。司祭よ。下がれ。』
『アリシアよ。このまま、水晶に触れて見よ。』
今、起きていることに動揺しつつも、自分には、光の魔力が確かにあるから大丈夫だといい聞かせ、水晶の前まで歩いて立ち止まり、
大きく息を吐いてから、水晶に手をかざす。
水晶がアリシアのもつ、光と水の魔力の色、透明と水色の淡い光を放つ。
先程の強烈な光とはいかないが、確かに2属性の反応を示したことで安堵する。
『こちらに参れ。』
『はい。』
王の前に行き、礼をする。
『顔をあげよ。』
顔をあげると、王の質問が始まった。
『このネックレスは誰のものだ?』
『…私、私のものです。子どもの頃、お姉様から貰いました。』
『子どもの頃とは、何年前だ?』
『5才の時です。11年前です。』
『先程、お気に入りと言っていたが、それからずっとこのネックレスをつけているのか?』
『…はい、そうです。』
『司祭、どう思う?』
『この魔石には魔力は感じません。龍の鱗でコーティングしてあるので、ひょっとすれば神力があるのではと思われます。私には、神力は感じ取れませんので…、龍巫女のアンナ様に確認して頂いても宜しいでしょうか?』
『そうしてくれ。』
司祭から、アンナにネックレスが手渡される。
『これは、凄いですね。
凄く強い神力がたまっています。
アリシア様からも、今は同じ神力を感じますが、同時に、魔力も感じます。
同じ人間が、魔力と神力、両方を放つことは考えられませんから、水晶が透明に光ったのはこれが原因だと思います。
それに、私の加護龍、颯がこの龍の鱗は龍王の物だと申しております。』
『龍王の鱗だと‼︎』
『はい。』
『王様、申したいことがございます。』
『よいぞ。話してみよ。司祭。』
『光の魔力の色は出ましたが、ネックレスをつけていた時の光と、外してからの光の強さの違いの大きさから、ネックレスを長年つけていた影響だと考えられます。
ネックレスの影響が消えてから、もう一度、魔力判定をやり直した方が宜しいかと思います。』
『そうだな。もう一度、魔力判定をやり直そう。アリシアよ。姉の名はなんと申す?』
『ソ…、ソフィアです。』
『司祭。ソフィアの魔力判定の記録は?』
『魔力なしということで、12歳と16歳の2回とも判定を受けておりません。』
『そうか…。ソフィアに、一刻も早く話を聞きたい。ソフィアの両親よ。ソフィアは今、何処にいる?』
『えっと、それは…。王宮の控え室に…。』
『一緒に王宮まで来てなぜ控え室に…?』
『それは…、その…
『進言させて頂きたく思います。』
後方から、騎士が声をあげた。
『申してみよ。』
『はい。私、控え室より、こちらまで、アリシア様とご両親をお連れしました。
その際、控室に残られたのは、侍女服を着たソフィアという女性だけです。』
騎士の言葉に、その場にいる者が一様に、怪訝な顔をした。
『こちらに一緒に来られようとされましたので、聖女認定式は家族以外は立ち会えないとお断りしたところ、奥様も、アリシア様も、ソフィアと名を呼ばれましたが、侍女ではないとはおっしゃらず…、その…様子がおかしかったのです。』
『様子がおかしいとは、どういうことか?ハッキリ申してみよ。』
『アリシア様と奥様が、まるでソフィアという侍女をさげずんでいるようでした。』
王の眉間に皺が寄る。
『ソフィアとアリシアの両親よ。控室に残った侍女の服を着たソフィアという女性は、侍女なのか?娘なのか?どちらだ?』
『……娘でございます。』
『別室にて、ソフィアの魔力判定を2度とも受けさせなかった件と、娘に侍女服を着せて王宮に連れて来た件をガパトーニ夫妻、其々、個別に聴取し、全ての事情がつまびらかになるまで、3人を王宮に留めておけ。
ソフィアをすぐこちらに連れて来るように。龍王と関わりがあるものやもしれん。丁重に扱え。
今日の聖女認定式は、中止とする。
立会人の貴族らは、もう下がって構わぬ。』
皆に聞こえるように、そう言い終えると、今度は、宰相にだけ聞こえる声で、指示を囁く。
王の命を受け、其々が迅速に動き出した。