『さあ、着いたよ。早く中へ入ろう。』
腰に手を当て、私をランディ様の方へ寄せると店に入って行きました。
綺麗な店員の方が直ぐにこちらへやって来ます。
『婚約指輪を見せて。』
…⁇…今、何を言いました?っていうか、ここ何処?…えっ?あれ?…もしかして‼︎
『かしこまりました。こちらへどうぞ。』
促されるまま、ついていくと、店の奥の応接室に通されました。席に座ると、
『少々、お待ち下さいませ。』
と言って店員の方が店の奥へ行ってしまいました。
恐る恐る周りを見渡します。どうやらVIPルームのようです。
予想外の展開に驚きつつも、確かめないとっ‼︎と思い恐る恐る聞いてみます。
『ランディ様、今、婚約指輪と聞こえたのですが…?』
『うん。そう言ったからね。』
それが何?と言わんばかりのお澄まし顔でこちらを見つめます。どういうことなの?なんでこんなに落ち着き払っていらっしゃるの?
より一層、混乱しながら、意を決して聞いてみます。
『どうして婚約指輪と仰ったのですか?』
『ソフィアの婚約指輪を一緒に選ぶからだよ。』
『私のですか‼︎』
『うん。ソフィアのだよ。ソフィアは僕の花嫁でしょ。皆んなにちゃんとわかるようにしないとね。』
とっても可愛く仰るので、ついうっかりキュンとしてしまいました。違う‼︎今は、キュンとしてる場合じゃない‼︎と思い直してさらに聞いてみました。
『どうしてそうなったのですか?』
『イアリングと同じ色の指輪を贈っていいってソフィアが許可してくれたからだよ。』
た、確かにそうです…。ちゃんと意味もわかってお返事しました。お返事しましたが…。
こんなに急に、現実になってやってこられると…戸惑うやら、狼狽えるやら、困惑するやら、ドキドキするやら、心が忙しいです…。
どうしましょう…?
『やっぱり嫌…?』
とっても不安そうな目をして聞いてこられます。シュンとした犬みたいで…、胸が痛みますし、なんだかとても愛しくなります。
『あまりにも幸せ過ぎて…、現実味が感じられなくて…。戸惑っているだけで…、全然、嫌じゃないです。凄く嬉しいです。』
『そう。良かった。』
花が開いたような笑顔になりましたので、蕩けてしまうかと思いました。
笑顔が凄いです‼︎
店の奥から明らかに立場が高そうな紳士が、恭しくトレイのような物を持ってこちらの方に向かって来ます。後ろに同じくトレイを持った女性が付いて来ます。
紳士が私たちの前に座ると、トレイをテーブルの上に置きました。女性の方は、トレイを横に置くと一礼されて下がられました。
ランディ様が紳士の方に、
私を紹介して下さり、
『ソフィア様。お初にお目にかかります。ジュピター宝石店の総支配人をしています。メイソンです。』
と挨拶して下さいました。
私も、名乗りますと、
『本日は、婚約指輪をお探しと伺いました。早速ですが、見本をお持ちしましたので、ご覧下さい。』
そう言って、先程のトレイの中を見せて下さいました。
『はあ〜。』
思わず、溜め息が溢れました。
『ソフィア、気に入るものはあるかい?』
『どれもこれもとっても素敵です。…ですが、宝石が出っ張っているものは、手作業をする私では、傷つけてしまうと思うと気がひけて…、私には勿体ない気がします…。』
『なるほど、そういうことでしたら、いいものがあります。』
そう言って、近くの店員に指示を出すと、
『今、用意しておりますので、お待ち頂く間に、石を見てみませんか?』
そう仰って、先程、女性が持ってきた方のトレイを見せて下さいます。
色とりどりの沢山の宝石が載っていました。
『あっ。』
声が思わず、出てしまいました。
『気になるものがあった?どれ?』
ランディ様に促され、おずおすと指で指しました。
『これが気になったんだね。』
『はい。ランディ様の瞳の色、そっくりでしたから…。』
ランディ様の瞳の色と同じ石を見た瞬間に声が出てしまったなんて、どれだけ好きかを言ってるようなものだと気づいて、無性に恥ずかしくなってきました。
『この石いいね。この色の髪飾りと、同じ色で、もう少し小ぶりのイアリングを見せてくれるかな?』
『かしこまりました。』
『それから…、
ランディ様が、一気に婚約指輪から脱線を始めたので、驚いて、
『あの…。ランディ様、今日は、婚約指輪を選びに来たのではなかったのですか?』
とつい口を出してしまいました。
『うん。そうだよ。だけど、他の物も一通り揃えないとね。』
…一通り揃えるって何?ランディ様は何を言っているのでしょう?…えっ‼︎…宝石ってそんなセットでポンっと買ってしまう物じゃないですよね…?そうなんですか…?違うわよね…?……、ダメだわ。今まで、宝石に縁が無さ過ぎて…、わからないわっ。
『イアリングは、先日、プレゼントして頂きましたよ。』
『あれは、パーティ用。今日の様なお出かけには、不釣り合いでしょ。ソフィアは、魅力的なんだから、ちゃんと僕のだって印をつけておかないと、虫が寄ってきそうで心配だからね。これは凄く重要な買い物だよ。』
そうでしょうか…?
助けを求めるべくメイソン様を見ましたが、
『愛されていらっしゃいますね。確かに、ソフィア様は魅力的ですね。心配なさる気持ち、よくわかります。安心して頂くために、お付けになるといいですよ。』
と素晴らしい笑顔で諭されてしまいました。
宝石店、恐いわ…。
アワアワしているうちに、今度は、婚約指輪の見本がやって来ました。
流れるような手際の良さです。
リクエスト通り、宝石の出っ張りが気にならない、それでいて、婚約指輪らしく華やかさのある色々な工夫を凝らしてあるデザインの指輪を何点も、見せて頂きました。
結婚指輪と重ね付けできる新しい発想の物もありました。
順に見せて貰う中で、指輪のトップがぷっくりとしたドーム型になっていて、小さなダイヤが散りばめられた中に、ダイヤより少し大きめのエメラルドとピンクの宝石がバランスよく配置された華やかで可愛らしい指輪が目にとまり、一目で気に入りました。
『これが気になったみたいだね。』
『ええ。凄く可愛いです。』
『華やかでいて楚々としていてソフィーみたいだね。丁度、僕たちの色が入っているし、僕も気に入ったよ。デザインの細かい部分を少し相談したいな。』
『では、デザイナーを連れて来ますね。』
丁度、店員の方が、2段重なったトレイを持って入ってきました。メイソン様が、デザイナーの方を呼ぶよう指示されるのが聞こえました。
一つ目のトレイには、色々なデザインの髪飾りとイヤリングが何種類も乗っています。
もう一つは、大きさの違うエメラルドが載っていました。
ランディ様は、宝石や貴金属に詳しいようで、メイソン様とやって来たデザイナーの方と、私には、ちょっとわからない専門用語を使って話をされています。
ランディ様がお仕事している時は、こんな感じなのかな?素敵だなぁと、ぼんやり見惚れてしまいました。
『ソフィー、こっちとこっちなら、どっちが好き?』
『こちらがいいです。』
『やっぱりそうだよね。うん。じゃあ、この石でこのデザインでお願いするよ。あと、髪飾りをつけて見ていいかい?』
『ええ。構いませんよ。女性を呼びますね。』
ランディ様のお眼鏡にかなった髪飾りをいくつも、女性店員の方に、つけて頂いて、髪飾りが、決まった頃には、すっかり疲れてしまいました。
腰に手を当て、私をランディ様の方へ寄せると店に入って行きました。
綺麗な店員の方が直ぐにこちらへやって来ます。
『婚約指輪を見せて。』
…⁇…今、何を言いました?っていうか、ここ何処?…えっ?あれ?…もしかして‼︎
『かしこまりました。こちらへどうぞ。』
促されるまま、ついていくと、店の奥の応接室に通されました。席に座ると、
『少々、お待ち下さいませ。』
と言って店員の方が店の奥へ行ってしまいました。
恐る恐る周りを見渡します。どうやらVIPルームのようです。
予想外の展開に驚きつつも、確かめないとっ‼︎と思い恐る恐る聞いてみます。
『ランディ様、今、婚約指輪と聞こえたのですが…?』
『うん。そう言ったからね。』
それが何?と言わんばかりのお澄まし顔でこちらを見つめます。どういうことなの?なんでこんなに落ち着き払っていらっしゃるの?
より一層、混乱しながら、意を決して聞いてみます。
『どうして婚約指輪と仰ったのですか?』
『ソフィアの婚約指輪を一緒に選ぶからだよ。』
『私のですか‼︎』
『うん。ソフィアのだよ。ソフィアは僕の花嫁でしょ。皆んなにちゃんとわかるようにしないとね。』
とっても可愛く仰るので、ついうっかりキュンとしてしまいました。違う‼︎今は、キュンとしてる場合じゃない‼︎と思い直してさらに聞いてみました。
『どうしてそうなったのですか?』
『イアリングと同じ色の指輪を贈っていいってソフィアが許可してくれたからだよ。』
た、確かにそうです…。ちゃんと意味もわかってお返事しました。お返事しましたが…。
こんなに急に、現実になってやってこられると…戸惑うやら、狼狽えるやら、困惑するやら、ドキドキするやら、心が忙しいです…。
どうしましょう…?
『やっぱり嫌…?』
とっても不安そうな目をして聞いてこられます。シュンとした犬みたいで…、胸が痛みますし、なんだかとても愛しくなります。
『あまりにも幸せ過ぎて…、現実味が感じられなくて…。戸惑っているだけで…、全然、嫌じゃないです。凄く嬉しいです。』
『そう。良かった。』
花が開いたような笑顔になりましたので、蕩けてしまうかと思いました。
笑顔が凄いです‼︎
店の奥から明らかに立場が高そうな紳士が、恭しくトレイのような物を持ってこちらの方に向かって来ます。後ろに同じくトレイを持った女性が付いて来ます。
紳士が私たちの前に座ると、トレイをテーブルの上に置きました。女性の方は、トレイを横に置くと一礼されて下がられました。
ランディ様が紳士の方に、
私を紹介して下さり、
『ソフィア様。お初にお目にかかります。ジュピター宝石店の総支配人をしています。メイソンです。』
と挨拶して下さいました。
私も、名乗りますと、
『本日は、婚約指輪をお探しと伺いました。早速ですが、見本をお持ちしましたので、ご覧下さい。』
そう言って、先程のトレイの中を見せて下さいました。
『はあ〜。』
思わず、溜め息が溢れました。
『ソフィア、気に入るものはあるかい?』
『どれもこれもとっても素敵です。…ですが、宝石が出っ張っているものは、手作業をする私では、傷つけてしまうと思うと気がひけて…、私には勿体ない気がします…。』
『なるほど、そういうことでしたら、いいものがあります。』
そう言って、近くの店員に指示を出すと、
『今、用意しておりますので、お待ち頂く間に、石を見てみませんか?』
そう仰って、先程、女性が持ってきた方のトレイを見せて下さいます。
色とりどりの沢山の宝石が載っていました。
『あっ。』
声が思わず、出てしまいました。
『気になるものがあった?どれ?』
ランディ様に促され、おずおすと指で指しました。
『これが気になったんだね。』
『はい。ランディ様の瞳の色、そっくりでしたから…。』
ランディ様の瞳の色と同じ石を見た瞬間に声が出てしまったなんて、どれだけ好きかを言ってるようなものだと気づいて、無性に恥ずかしくなってきました。
『この石いいね。この色の髪飾りと、同じ色で、もう少し小ぶりのイアリングを見せてくれるかな?』
『かしこまりました。』
『それから…、
ランディ様が、一気に婚約指輪から脱線を始めたので、驚いて、
『あの…。ランディ様、今日は、婚約指輪を選びに来たのではなかったのですか?』
とつい口を出してしまいました。
『うん。そうだよ。だけど、他の物も一通り揃えないとね。』
…一通り揃えるって何?ランディ様は何を言っているのでしょう?…えっ‼︎…宝石ってそんなセットでポンっと買ってしまう物じゃないですよね…?そうなんですか…?違うわよね…?……、ダメだわ。今まで、宝石に縁が無さ過ぎて…、わからないわっ。
『イアリングは、先日、プレゼントして頂きましたよ。』
『あれは、パーティ用。今日の様なお出かけには、不釣り合いでしょ。ソフィアは、魅力的なんだから、ちゃんと僕のだって印をつけておかないと、虫が寄ってきそうで心配だからね。これは凄く重要な買い物だよ。』
そうでしょうか…?
助けを求めるべくメイソン様を見ましたが、
『愛されていらっしゃいますね。確かに、ソフィア様は魅力的ですね。心配なさる気持ち、よくわかります。安心して頂くために、お付けになるといいですよ。』
と素晴らしい笑顔で諭されてしまいました。
宝石店、恐いわ…。
アワアワしているうちに、今度は、婚約指輪の見本がやって来ました。
流れるような手際の良さです。
リクエスト通り、宝石の出っ張りが気にならない、それでいて、婚約指輪らしく華やかさのある色々な工夫を凝らしてあるデザインの指輪を何点も、見せて頂きました。
結婚指輪と重ね付けできる新しい発想の物もありました。
順に見せて貰う中で、指輪のトップがぷっくりとしたドーム型になっていて、小さなダイヤが散りばめられた中に、ダイヤより少し大きめのエメラルドとピンクの宝石がバランスよく配置された華やかで可愛らしい指輪が目にとまり、一目で気に入りました。
『これが気になったみたいだね。』
『ええ。凄く可愛いです。』
『華やかでいて楚々としていてソフィーみたいだね。丁度、僕たちの色が入っているし、僕も気に入ったよ。デザインの細かい部分を少し相談したいな。』
『では、デザイナーを連れて来ますね。』
丁度、店員の方が、2段重なったトレイを持って入ってきました。メイソン様が、デザイナーの方を呼ぶよう指示されるのが聞こえました。
一つ目のトレイには、色々なデザインの髪飾りとイヤリングが何種類も乗っています。
もう一つは、大きさの違うエメラルドが載っていました。
ランディ様は、宝石や貴金属に詳しいようで、メイソン様とやって来たデザイナーの方と、私には、ちょっとわからない専門用語を使って話をされています。
ランディ様がお仕事している時は、こんな感じなのかな?素敵だなぁと、ぼんやり見惚れてしまいました。
『ソフィー、こっちとこっちなら、どっちが好き?』
『こちらがいいです。』
『やっぱりそうだよね。うん。じゃあ、この石でこのデザインでお願いするよ。あと、髪飾りをつけて見ていいかい?』
『ええ。構いませんよ。女性を呼びますね。』
ランディ様のお眼鏡にかなった髪飾りをいくつも、女性店員の方に、つけて頂いて、髪飾りが、決まった頃には、すっかり疲れてしまいました。