『それから、義母のアニーシャとアリシアは、ソフィアの能力に気づいていたみたいだね。それに対して、父親は驚いていたみたいだよ。』

『お父様は、驚いていたんですか…。そうです…か。
お父様は、私に無関心でした。本当に、私のことを何も見ていなかったんですね…。』

ハッキリ自覚するとかなりショックです。

それに、関心が無かったのは、私だけじゃないのだとも急に気づきました。

本当に関心があるのなら、お義母様もアリシアも、あのままにはしなかったでしょうから。

それはお義母様も同じですね。

お父様もお母様も、お互いに対しても、私たち娘に対しても、相手の幸せを願って向けるような関心は、持っていなかったんだとその事実を静かに受け入れました。

お義母様は、私を疎ましく思っていましたから、私の能力に気づいていて、無能だと言っていたことには、納得しかできません。
そう思うことが、悲しくはありますが…。

だけど、アリシアには、ショックを覚えました。

アリシアを、信じていたわけでは、残念ながらありません。けど、そこまでだとは思っていませんでしたから。

まだ、成人になる前なのに、アリシアがこのように人を貶めることを覚えてしまったことに、大きなショックを感じます。

親の責任が大きいと思えてなりません。

だから、アリシアには、考えをあらためていき、人生をやり直していける道が与えられて欲しいです。そうじゃないとあんまりです。

私にはどうすることもできなかったと理解はできるけど、それでもやっぱりアリシアには、責任を感じます。でももうこれは、あらためるべきことをあらためて2度と同じような思いをしないようにすることしかできないのですね…。

今まで、受け入れ難くて目を逸らしていた事実を色々、受け入れたら、やるせない悲しみに心がスッポリ覆われてしまったようで、心がズドンとが重くなりました。

笑うことも、話すことも動くことも何もしたくない…、そんな気持ちに支配されて、黙ったままジッとしていると、

ふいに、身体が持ち上がって、横向きに座らされ、顔をジッと覗き込みながら、

『どんな人間であったとしても、家族だったんだ。色々とショックだと思う。

時間は一杯あるから、焦らず、ゆっくり心の整理をつけたらいいよ。側にずっと居るからね。大丈夫だよ。』

そう言って下さいました。優しさが身に沁みました。

そのまま、ランディ様に、身を寄せ、撫でられるまま馬車に揺られていました。ランディ様の体温が心地良く重くなった心を温めて慰めてくれているように感じました。