『アリシアの魔力判定のやり直しをした結果、水晶の光は、水色だけだったそうだよ。』

『アリシアは、水の魔力だけだったんですね。私…アリシアに悪いことをしましたね。』

『ん?どういうこと?』

『ネックレス…取り返そうと思えばできたんです。私のその頃の能力では無理でも、ハルに願えば叶えてくれますから…。

自分の欲にハルの力を使うのは嫌だったし、
病気で瀕死の状態のアリシアを見たから、また、あんな状態になったらと思うと私、怖くて。
ネックレスを握って祈ったら、病気が治っていたから、アリシアがネックレスを身につけていれば、ひょっとしたら、病気や災難から守られるんじゃないかと思ってしまって…。

アリシアから、本気でネックレスを取り返す気になれなかった。
ネックレスに神気がたまってるなんて知らなかったから。』

『ソフィアが気に病むことじゃないよ。夜の間、ずっと看病してくれた姉の大事にしてるネックレスを取り上げる方がどうかしてる。アリシアの自業自得だよ。

アリシアの水の魔力の能力は、発現した頃から殆ど、変化が無かったそうだ。

魔力を使いこなすには、繰り返し使う訓練が必要だし、きちんと訓練をしていれば、発現した時と能力が、変わらないようなことは、あり得ない。

光の魔力があることにかまけて、訓練を怠っていた証拠だよ。』

『それなら尚のこと、私に責任があるわ。知らないとは言え、上手くいくように願ったことで、アリシアに光の魔力の能力を確信させてしまったんだから。』

『それは違うよ。アリシアは、自分の持つ魔力属性じゃないから、自分で能力を鍛えなくていい光の魔力と、自分の持つ魔力属性で、能力を自分で鍛えていくしかないもの両方を持っていたんだ。
その違いは、それを持っていたアリシア自身が一番わかっていたはずだ。

どの属性の魔力だって、使いこなし、能力を上げていくのは、かなりの努力がいることは魔力を持つ者は、誰だって知ってる。

容易く能力が使えたり、上がったりするなら、普通おかしいと気づく筈だ。

気づかなかったんじゃない。アリシアが選択して気づこうとしなかったんだよ。
容易い方に流れて、水の魔力の能力を鍛える努力を怠ったのもアリシアの選択だ。

同じ状況を持った時、全ての者がアリシアと同じ選択をするわけじゃないんだよ。
だから、アリシア自身の選択の責任だよ。』

ランディ様の言葉には説得力があって、その通りだと思った。

私は、なんでも自分が我慢したり、背負えば、上手くいくからいいと思ってた。

だけど、それは相手を甘やかして結果、相手のためにならないことだったって、気づいてしまった。それに…

『確かに、アリシアには責任があるわ。
だけど、私たちは子どもだった。
一番の責任は、正しく導かなかった両親にあるのね。私は、魔力なしの役立たずの自分が悪いと何もかも自分のせいにしてたから、気づかなかったわ。』

『それもソフィアの両親の接し方の問題が大きいよ。』

『そうね。そうだったんだわ。』

私には、どうすることもできなかった部分が大きい。だけど、これからはこのままでは、ダメだわ。

『ランディ様の言葉で、自分が我慢して、自分がなんでも背負って、自分ですればいいと思うのは、相手に対して、無責任なことだったのがわかったわ。

私、自分がこうしておけばよかったという、こんな思いをもうしたくないわ。

これからは、相手の責任まで背負うことはしないわ。それで、相手がどう判断するかは、相手側の責任。そう思って主張すべきことは主張するわ。』

『大事なことに気づいたね。ソフィアは偉いね。』

ランディ様が頭を撫でて下さいます。

私には、今まで、こうして導いたり、励まして支えてくれる大人が居なかったんだわ。
そう気づいて、なんだか泣きそうです…。