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『あの…?ランディ様。』

『なあに。ソフィー。』

ランディ様の声がとっても甘いです。

『どうしてまた、この体制なのでしょうか?』

『ソフィーが足りなくなったからかな。』

『…また、ですか?』

『うん。そう。まただね。』

荷造りが終わった後も、今後について不安が拭いきれない使用人たちの相談を受け、

(いきなり働いていた家がどうなるかわからない状況になったから無理もありません。)

処分が決まるまで、なんとも言えませんので、ランディ様が、処分が決まるまでの給金の補償と、もし家の取り潰しが決まった場合の再就職の相談に乗ることを約束して下さり、なんとか収まりました。

そのような状態でしたので、予定していたより時間がかかりましたが、纏めた荷物を馬車に乗せ、スペンサー家に帰る馬車の中です。

昨日、同様、馬車に乗り込みましたら、サッと、座席に座るランディ様の足の上に、ちょこんと乗せられ、後ろから抱きしめられてしまいました。

撫で撫でスリスリタイムに突入しています。

慣れようと決心したばかりですが、凄く恥ずかしくってどうやら無理そうです。

毎回、こうでは、ドキドキし過ぎて心臓が持つか心配になってきました。

これからどうしましょう…?

『ソフィーの匂い落ち着くね。』

ランディ様は上機嫌な様子です。こういう時のランディ様は、とっても可愛らしいので、恥ずかしいですが…、嫌とは言えません。

『どんな匂いがするのですか?』

『甘くてとってもいい匂いだよ。』

『そうなんですか?』

思わず、腕や手の匂いを嗅いでしまいました。

『自分ではよくわかりません。ランディ様の方が良い匂いがします。』

『僕の匂いわかるんだ。』

『凄く良い匂いがしますもの。わかりますよ。』

ランディ様の手が頬やら耳やら髪を撫でてきて、
『そうなんだ。嬉しいな。』
甘い声が耳に響きます。

撫で撫での攻撃力が上がってしまいました。

『ソフィーが真っ赤だ。美味しそう。』

『私は美味しくはないと思います。』

『はぅッ』

耳たぶをカプッと食べられてしましました。

…なぜ⁈

体がビクッとして変な声が出てしまいました。

『…今、耳、耳を、』

『うん。食べてみたよ。美味しくないって言うから、確かめてみないとね。』

(どうやら私のせいだった様です…。)

『やっぱり美味しいよ。』

(…どうしましょう…?ランディ様の味覚がよくわかりません…。)

『あの…どうして耳なのですか?』

『ん?一番、近くにあったからだよ。』

(…⁈ランディ様のおっしゃることがよくわかりません⁇)

ただランディ様の膝の上は、刺激が強くて、大変危険なことだけはわかりました。
これからは、不用意なことを言わないように気をつけようと思います。