「行こう、茉蕗(まろん)」 龍輝くんが私の手をやさしく握る。 「そういえば 神賀はバイクで来たんだろ」 「あぁ」 「それなら、ちょうどいいな。 茉蕗ちゃんを乗せてデートすればいいから」 えっ⁉ 「今日は茉蕗ちゃんの時間を台無しにしちゃったし。 ゴールデンウィークの初日、 二人で良い思い出作りというのもいいんじゃないか」 そうだった。 今日は。 楽しみにしていた小説を買って。 カフェで読む。 そう予定していた。