「神賀龍輝は知ってるみたいだね、
 茉蕗(まろん)ちゃんのこと」


 部屋を出て行った、龍輝くんと北邑(きたむら)さん。

 そのあと。
 海翔さんが口を開いた。


「茉蕗ちゃんは?
 知ってるの? 神賀龍輝のこと」


「……はい。
 知っています」


「言ってないんだね。
 神賀龍輝は茉蕗ちゃんに。
 自分の正体」


 そう。
 教えてもらっていない。
 龍輝くんから。


「……はい」


 なんだろう。
 複雑な気持ち。


「そうか。
 なんで茉蕗ちゃんに言わなかったんだろ」