「茉蕗ちゃんが『白龍』の総長と一緒に歩いていたところを」
えっ⁉
違うよっ、海翔さんっ。
私は『白龍』の総長さんと知り合いじゃないっ。
「俺たちのようなチームの間では
『白龍』の総長は女の子に関心がないことで有名なんだ」
早く訂正しないとっ。
だけど。
言う隙間がないっ。
「とはいっても、
男子に興味があるとか、
そういう意味ではないんだけど」
私っ。
話の間に入り込むことが下手っ。
「だから、
そんな『白龍』の総長の隣にいた茉蕗ちゃんは特別な存在、
つまり彼女なのではと思ったということなんだ」
だからっ。
人違いですっ。
「だけど彼女じゃないんだもんね」
そうっ。
その通りですっ、海翔さんっ。
「それに、
そもそも知らないんだよね、茉蕗ちゃんは
『白龍』の総長のこと」
はい。
全く知らない人です。
「ということは、
茉蕗ちゃんだと思っていた人は別人だったということになるね」
正解だと思う、海翔さん。