「ごめんね、
うちの総長こんな感じだけど
優しいところもあるから」
和らげよう、恐怖心を。
そうしてくれようとしているのだろうか。
最初に話しかけてきた男子。
彼が少しだけ笑顔になってそう言った。
「総長の名前は北邑篤生。
俺は『あっくん』って呼んでる。
なぁ、あっくん」
「…………」
「ちなみに俺は相美海翔。
『海翔』でいいよ。
一応、副総長」
最初に話しかけてきた男子。
彼の名前は相美海翔さん。
「君の名前は?」
「……向陽茉蕗です」
「茉蕗ちゃんっていうんだ、
よろしくね」
海翔さんの陽気な雰囲気。
そのおかげだろうか。
落ち着いてきた、少しだけ。
「海翔、
ヘラヘラしてんじゃねぇ」
北邑さんは。
怖い、相変わらず。
「いいじゃん、あっくん、
そんなにもピリピリしなくても。
本当は茉蕗ちゃんには全く関係ないことなんだから。
たまたま茉蕗ちゃんが『白龍』の総長の彼女で
『白龍』の総長のことを呼び出すために必要だから
茉蕗ちゃんのことを巻き込んだんでしょ」
「海翔、
喋り過ぎだ」