「それにしても向陽(ひなた)さん、
《ピンク・ラビット》のことを知らないなんて珍しいね。
 彼女たちは皆に恐れられていて、
 何か問題を起こしても
 誰も何も言うことができないくらいなのに」

「そうそう。
 先生たちでさえ何も言うことができないもんね」


「知らないわけではないよ、
《ピンク・ラビット》のこと」


 そう。
 知らないわけではない。
《ピンク・ラビット》のことを。





 だけど。
 信じられない……信じたくない。

 その気持ちがとても大きく勝っているから。



 私が《ピンク・ラビット》に立ち向かい。
 勝った? 彼女たちに。


 そのことが事実だとすれば。
 とんでもなく恐怖なこと。







 黙っているだろうか、このまま。
 私に負けた(?)《ピンク・ラビット》は。



 いや。
 ない、決して。
 そんなことは。

 来るだろう、おそらく。
 私に仕返しをしに。


 そんなことになってしまったら。
 一体どうすればいいのか。





 私は常に安心・安全・安定を求め願っている。


 それなのに。
 そんな物騒なことになってしまったら―――。