イケメン総長とキケンな関係 ~出会いは突然の入れ替わり⁉ 愛はそこから始まった~




「今夜は特に空がきれいに見える」


 今は。
 見ている、龍輝くんと一緒に。
 窓から夜空を。


茉蕗(まろん)と一緒に見てるからだろうな」


 龍輝くん。
 その言葉、ものすごく嬉しい。


 それに。
 思っていた、私も龍輝くんと同じことを。

 龍輝くんと一緒に見る夜空は。
 ものすごく美しい。


「茉蕗と一緒にいると、
 食べ物も、より美味く、
 見るものも、より美しく、
 楽しいことも、より楽しく感じる」


 龍輝くん。
 全く同じ、私も。


「それから、
 辛いことや厳しいことも、
 茉蕗と一緒なら乗り越えることができる」


 私も。
 全く同じ、龍輝くんと。


 龍輝くんと一緒にいると。
 湧いてくる、エネルギーが。
 自分でも驚くくらいに。





茉蕗(まろん)とは付き合いは短いけど、
 深い繋がりを感じる」


 私も。
 龍輝くんと同じ。


「それに茉蕗のことは、
 もっともっと前から知っているような感覚もある」


 私も。
 同じような感じ、龍輝くんと。

 なんだか懐かしいような。
 そんな感覚がある。


「だけど、そういう感覚になるだけで、
 具体的には全くわからないし思い出せない」


 それも。
 同じ、龍輝くんと。


 龍輝くんのこと。
 感じる、懐かしいと。

 それなのに。
 全く思い出せない、龍輝くんとの思い出。


「どちらにしても、
 今は茉蕗と一緒にいるから
 幸せだけどな」


 龍輝くんっ。
 ものすごくストレートな言葉っ。


「って、
 こういう状況なのに
 そんなふうに思ってはいけないのかもしれないけどな」


 姿は私。

 それなのに。
 ドキッとした。
 龍輝くんのストレートな言葉を聞いて。


 あぁ。
 不思議、本当に。





 元に戻った、私と龍輝くんが。

 それは。
 翌日の昼過ぎ。



 ソファーに座っていたら。
 突然、私と龍輝くんが目を閉じぐったりとした。


 その約一分後。
 私と龍輝くんは目を開けた。

 そのときは。
 戻っていた、自分の姿に。





 目を閉じていた、私と龍輝くんが。

 その間のことは。
 聞いた、桐生くんから。


 ちなみに。
 桐生くんと平岡くんは。
 昼前に諏藤(すどう)くんの家に来ていた。



 桐生くんの話によると。


 閉じている、目を。
 私と龍輝くんが。

 その間。
 眠っている、普通に。
 そういう感じだったという。





 目が覚めたばかり。

 とりあえず。
 問題なし、体調は。


 龍輝くんも。
 大丈夫そう、体調。





 戻ることができた、なんとか。
 自分の姿に。

 そのことは。
 ほっとしている、とりあえず。


 だけど。
 わからない、またいつ起こるのか。

 そう思うと。
 心配、不安、落ち込み……。
 湧いてきてしまう、そんな負の感情たちが。





 そんな中でも。

 龍輝くん、桐生くん、諏藤(すどう)くん、平岡くん。
 彼らのおかげで。
 救われている、ものすごく。


 彼らがいるから。
 少しだけ前を向くことができている。



 そんな彼らに感謝の気持ちでいっぱい。





「おっ、
 目、覚めた?」


 ……誰?

 ここはどこ?



 目の前には男子が一人。

 少し離れたところにも男子たちが。


 全員、全く知らない。





 この部屋も。
 全く見覚えがない。

 どこかの廃墟だろうか。
 よくわからないけれど、そういう雰囲気がある。


 室内は薄暗く。
 明かりは小さい窓から差し込む光くらい。



 ところで。
 今、何時だろう。


 スマートフォン……あれ、どこ?

 持っていたバッグも見当たらない。





 って⁉


 なにこれ⁉

 私っ、縛られているっ⁉
 手足を紐のようなものでっ。