「あのさ、茉蕗(まろん)
 入れ替わりのこと、聖夜たちに話そうと思う」


 龍輝くんの言葉。
 驚いた、ものすごく。


聖夜(あいつ)らは
 すげぇ信頼できる」


 それでも。
 伝わってくる、ものすごく。
 龍輝くんの思いが。


「だから、
 聖夜(あいつ)らに助けてもらおう。
 俺と茉蕗だけで抱えるのは限界があると思う」


 確かに。
 龍輝くんの言う通り。


「信頼できる他人(ひと)たちに
 俺と茉蕗のことを知ってもらっている。
 それだけで心強いと思う」


 精神的に強そうな龍輝くん。


 そんな龍輝くんも。
 平気なわけではない。

 抱えている、本当は。
 心配や不安を。


「俺にとって信頼できる他人(ひと)たちは、
 聖夜と來空(らいあ)梨央(りおん)だ」


 信頼できる他人(ひと)がいる。

 それは素敵なことだと思う。


「家族のことも、もちろん信頼している。
 だけど家族には逆に話しづらい。
 心配させたくないという気持ちもあるしな」


 確かに。


「一方的に話を進めてしまったけど、
 俺としては、そうしたいと思った」


「いいと思う」