「思ったより早かったな、
俺たちの入れ替わり」
「そうだね」
本当だ。
早かったなぁ、二回目。
「お兄ちゃん、
ボール取って」
いつ元に戻るのだろう。
どうしよう、こんなことが頻繫に起こってしまったら。
そう考えると。
かなり参ってしまう、精神的に。
そんな気持ちになっているとき。
聞こえた、誰かの声が。
その声に反応するように見ると。
走ってくる、小学生低学年くらいの男の子が。
転がってくるボールを追いかけて。
「茉蕗、
あの子『ボール取って』って言ってる」
そうだった。
周りから見たら。
私が龍輝くん。
そのことに気付き。
拾う、転がってきたボールを。
大きさはドッチボールくらい。
ボールを受け取った男の子は。
「お兄ちゃん、ありがとう」
そう言って。
走って行った、友達のところに。