「昨日、
 俺と、向陽茉蕗(あんた)は入れ替わっていた」


 え?


「……どうした?
 大丈夫か?」


 神賀くん。
 混乱しているよ、単刀直入に言われても。


「……それは……
 確かなことなの……?」


 精一杯、そう言うことが。


「あぁ、確かなことだ。
 昨日、俺は向陽茉蕗(あんた)の姿で過ごしていた。
 向陽茉蕗(あんた)が通っている学校にも行った」


 神賀くんが言っていること。
 それが本当だとすれば。

 昨日、先生や生徒たちが見ていたのは。
 心が神賀くんだった私、ということになる。


「どんな感じだ?
 少しは思い出せそうか?」


「……う~ん、
 言われてみれば、
 昨日、誰かになって過ごしていたような……」


「それは、
 少し思い出したということか?」


「というより、
 夢だと思っていたから……」


 湧かない、まだ実感が。


「はっきり思い出せないのは仕方がない。
 それより、今から打ち合わせをしたいと思う」


「打ち合わせ?」