「昨日の茉蕗(まろん)の活躍、
 ものすごくカッコイイ、って言ってる人たちが大勢いてさ、
 ほら、あそこ」


 帆夏(ほのか)ちゃんが後ろを示した。


 私も。
 向ける、視線を。



 私たちから少し離れた廊下の曲がり角。

 その場所から。
 見ている、三人の女子が。
 私たちのことを。


「あの子たち、茉蕗のファンだよ」


「えっ⁉」


 なぜ私にファンが⁉


「昨日の茉蕗の活躍で
 一気に茉蕗の人気が急上昇。
 それで茉蕗のファンクラブを発足」


 すご過ぎるっ、展開がっ。


「ファンクラブの名前が
『茉蕗様を心から愛する会』だったかな」


 昨日の私は別人。

 そんな私のファンになってくれた人たち。


 なんだか。
 申し訳ない、です。


「すごい人気だよ、茉蕗は。
 学校内のアイドルって感じ」


 変化している。
 ものすごいスピードで。
 私の中の世界が。


 この状況に驚き過ぎて。
 わからない、どうしたらいいのか。