「いや、そんなはずはない。
海翔が報告しに来ただろ、俺に。
恭雅と聖也から連絡があった。
恭雅と聖也が『白龍』の総長を連れてここに向かっていると」
「言ったよ、確かに」
「それに恭雅と聖也は見せているんだろ、『白龍』の総長に。
向陽茉蕗(口を塞ぎ手足を縛り眠っている状態)画像を。
それを見てここに向かっているということは
『白龍』の総長は肯定していることになる。
向陽茉蕗と付き合っているということを」
『白龍』の総長さん。
なぜ否定しないの?
私と付き合っているという誤った情報を。
「まぁ、確かに恭雅と聖也が俺に連絡してきたとき言ってたよ。
茉蕗ちゃん(口を塞ぎ手足を縛り眠っている状態)の画像を
『白龍』の総長に見せたとき、
言ったらしい、『白龍』の総長は。
『絶対に手を出すなよ』と。
そのときの『白龍』の総長の表情、
この世のものではないくらいの殺気に満ちていたらしい。
それを聞いた限り、茉蕗ちゃんは
『白龍』の総長にとって特別な存在ということになるとは思うけど」
『白龍』の総長さんだって知らない、私のことを。
だから意味がない、私の画像を『白龍』の総長さんに見せても。
そのはずなのに。
『白龍』の総長さんは私の画像を見て、ここに来てくれようとしているみたいで。
どうしてだろう。
「やっぱりあれかもよ。
茉蕗ちゃんが『白龍』の総長の彼女じゃないとしても、
ああいう画像を見て放っておける薄情な奴じゃないんじゃない?」
海翔さんの言う通り。
放っておける人ではないのだと思う、『白龍』の総長さんは。
全く知らない人でも連れ去られたということを知って。
わからない、全く。
会ったことがない『白龍』の総長さんの性格は。
だけど、そんな気がする、なんとなく。
だから『白龍』の総長さんは救いに来てくれるのだろう。
全く知らない私のためでも。
そんな『白龍』の総長さん。
どんな人なのだろう。