「……あっ……あの……」
恐怖で震えそうになり出すことが難しくなっている声を必死に絞り出すように。
「『白龍』の総長というのが何かはわかりませんけど、
私はその方の彼女ではありません」
できた、なんとか伝えることが。
「えっ、
茉蕗ちゃん『白龍』の総長の彼女じゃないのっ⁉」
海翔さんはかなり驚いている。
「どうするの、あっくん、
茉蕗ちゃん、『白龍』の総長の彼女じゃないんだってさ。
だとすると無理じゃない?
『白龍』の総長のことを呼び出すことは」
それにしても。
どうして思ったのだろう、海翔さんや北邑さんは。
私が『白龍』の総長の彼女だと。
『白龍』の総長。
その人は全く知らない人。
ということは。
当然、会ったこともない。
『白龍』の総長という人と。
だから。
ない、絶対に。
私と『白龍』の総長が一緒に行動している。
ということは。
それなのに思っている、海翔さんや北邑さんは。
私のことを『白龍』の総長の彼女だと。
これは確実に人違いではないだろうか。
私と『白龍』の総長の彼女が似ているとか?
それに。
わからない、今だに。
『白龍』の総長の正体。
なんだか、わからないことだらけで。
深まるは謎ばかり。