「君の名前は?」


 海翔さんや北邑(きたむら)さんたちは、どういう集まりなのか。
 それを考えていると。
 海翔さんが私の名前を訊いた。


「……向陽(ひなた)茉蕗(まろん)です」


 海翔さんの陽気な雰囲気で少しだけ落ち着いてきたのか。
 小さい声しか出すことができなかったけれど、なんとか声を出すことができた。


「茉蕗ちゃんっていうんだ、
 よろしくね」


 そう言ってニッと笑顔になっている海翔さん。


「海翔、
 ヘラヘラしてんじゃねぇ」


 海翔さんの和む雰囲気でほんの少しだけ場が和み始めたとき。
 北邑さんの一言で再び凍りつく場に引き戻された。


「いいじゃん、あっくん、
 そんなにもピリピリしなくても。
 本当は茉蕗ちゃんには全く関係ないことなんだから。
 たまたま茉蕗ちゃんが『白龍』の総長の彼女で
『白龍』の総長のことを呼び出すために必要だから
 茉蕗ちゃんのことを巻き込んだんでしょ」

「海翔、
 ベラベラ喋り過ぎだ」


 そうだった。
 伝えなくては。

『白龍』の総長。
 それが何なのかは全くわからない。
 だけど、どちらにしても私に彼氏はいない。
 だから『白龍』の総長の彼女ということは事実ではない。