目が覚める。
また見た、あの夢を。
今日で三日目。
不思議な感じの夢。
夢というより。
誰かに話しかけられたような。
これは。
本当に夢なのだろうか。
「龍輝くん、
聞いてもらいたいことがあるの」
今日は土曜日。
今は午前中。
朝食を食べ終え。
龍輝くんと近所を散歩している。
「茉蕗、
お前もか」
え?
「俺もだから」
「俺も、って、
龍輝くん、もしかして」
「あぁ、
夢のことだろ?」
「うん、そう。
龍輝くんもなの?」
「あれは本当に夢なのか?」
「わからない。
だけど三日間も同じ夢を見るなんて」
「茉蕗もなのか?
俺も同じだ」
「えっ?
龍輝くんも?」
「これは、
偶然とは思えないな」
「そうだね」
「夢の内容、
俺も全く同じだ」
「ということは、
龍輝くんの言った通り、
偶然じゃないということ?」
夢の内容を伝え合った、龍輝くんと。
私と龍輝くん。
この三日間、同じ夢。
それは。
とても不思議なこと。
「茉蕗、
茉蕗がよかったら
今から行かないか、
夢に出てきた場所に」
私も。
思っていた、龍輝くんと同じことを。
「そうすれば
何かわかるかもしれない」
「そうだね。
行こう、その場所に」
「ここだよな、
夢の中に出てきた場所」
「うん、
ここだと思う」
電車に乗り。
着いたのは美しい海辺。
青く輝く水面。
そこに太陽の光が降り注ぎキラキラと輝いている。
「……何か起こると思うか……?」
「わからない。
だけど何か感じるような……」
「茉蕗もか。
俺も同じだ」
波が穏やかに揺らいでいる。
それが。
逆に不気味に感じる。
『ありがとう、来てくれて』
「龍輝くんっ、
声、聞こえなかった⁉」
「聞こえたっ」
「女の人の声だよねっ?
透き通った感じのっ」
「あぁっ。
だけど姿が見えねぇっ」
「うんっ、
どこにも見当たらないっ」
「というかさ、
声は聞こえたけど……」
「そうだね。
聞こえたというより、
入ってきたという感じだったよね……?」
「あぁ」
どういうことだろう。
とても不思議な感覚。
『ここは私たちにとって大切な場所だから』
『あぁ、そうだな。
僕と君の大切な場所』
なんとっ‼
「龍輝くんっ、
男の人の声もっ」
「そうだなっ、
だけど、やっぱり姿が……っ」
「うんっ、
見当たらないっ、どこにもっ」
一体どういうことっ⁉