龍輝くんの言葉を聞いて思う。
龍輝くんは本当に強い人だと。
私と龍輝くんがそれぞれの学校にいるときに入れ替わってしまう。
そのとき龍輝くんの姿になった私には桐生くんや諏藤くんや平岡くんがいる。
だけど私の姿になったときの龍輝くんには。
私にとっての桐生くんや諏藤くんや平岡くんのような存在の人たちが一人もいない。
私が打ち明けることができないから、誰にも。
龍輝くんが桐生くんや諏藤くんや平岡くんに打ち明けたように。
今、私と仲良くしてくれている人たちはいる。
帆夏ちゃんと南穂ちゃん。
だけど帆夏ちゃんや南穂ちゃんに話をすることはできない。
私と龍輝くんが入れ替わってしまうことがあるという。
帆夏ちゃんと南穂ちゃんのことを信頼していないとかそういうことではない。
ただ、それを話すには……まだ付き合いが浅い。
こんなにも重い話を帆夏ちゃんと南穂ちゃんに聞いてもらい、それを背負わせたくない。
だけど私が帆夏ちゃんや南穂ちゃんに話をすることができない。
そのために龍輝くんには大きな負担をかけさせてしまうことになるかもしれない。
学校にいる。
そのときに龍輝くんが私と入れ替わって私の姿になってしまう。
それでも、私の姿の龍輝くんは私が通っている学校の誰にも頼ることはできない。
龍輝くんにそんな大きな負担をかけさせてしまうかもしれない。
そう思うと、ものすごく申し訳ない気持ちでいっぱいになる。