「ちょっと待ってくれ、ワイバーンはお前が作ったって、どういうことだ」
「そのままの意味だ。ワイバーンは、俺が奴のコアに書き込んだプログラムによって動かされている。つまりは奴のコアを書き換えれば、ワイバーンは消滅するだろう」
「ワイバーンはカルバートが作り出したってのか」
「そうだ、ワイバーンは俺が作り上げたゲームだ」
「ゲームのはずがないだろ、あんなものどうやって作るんだよ」
「作ったさ、実際に。そして俺は奴のコアを書き換える事ができる」
「まさか、コアを書き換えるって」
「そうだ、奴のコアを初期化して書き直す。そしてワイバーンを消去する」
「そんなことできるわけないだろ」
「できる、俺ならな」
「そもそも、なんでワイバーンを作れたんだよ」
「簡単だ、奴のコアをハッキングして、プログラミングを書き変えてやっただけだよ」
「ワイバーンはカルバートが生み出したものだったのか」
カルバートの語り口に、嘘はない。彼は真実を述べているのは明白だった。しかしアルバートには受け入れられなかった。
彼の人生の大半はコンピュータとともにある。その技術の源泉にこんなものがあったとは、到底信じられない。彼はカルバートの言葉を頭から信じ込むことはできなかった。
一方、カルバートの語るワイバーン誕生の秘密は事実に基づいているようでもあった。彼はワイバーンが作り出されていたと明言している。アルバートが知らないだけで、他の人間に聞けば、誰にだって分かる事かもしれない。そう考えるのは自然の流れだ。しかしワイバーンを作ったのはカルバートなのだという現実は、彼の中で、どうしても受け入れることができなかった。彼はワイバーンは作られた存在だと思い込もうとした。そしてワイバーンを作り出した男への恐怖も増した。
カルバートの言葉を鵜呑みにしてよいのかどうか、彼には分からなくなっていた。ただ、ワイバーンが作り物だということを否定すれば、今までの出来事が意味不明のものになってしまう気がした。
そして、彼はワイバーンに勝てるのかと考えた カルバートは奴は倒せたと言っていた。ならば自分が負ける可能性は少ないだろう。だが万が一がある、奴の攻撃パターンも分からないのに無策で飛び込んで行っていいものなのだろうか? しかし、ワイバーンを消滅させることができれば、少なくともカルバートが世界征服を目論む危険はなくなる。そうなれば、奴の計画は潰える事になるのだ。アルバートはカルバートを信じたかった。
一方でワイバーンはカルバートの生み出したものだと認める事もできなかった。彼がカルバートの妄想の産物でないことは、この数ヶ月で理解していたし、何よりワイバーンの存在が証拠としてあった どちらにせよ、アルバートは、これから起こることに対処しなければならなかった
「わかったよ、とにかくワイバーンがどんな奴か確かめるしかないだろ」
バーグマンはワイバーンの話題が出ると急に沈んだ。どうやらあまり触れたくなさそうだ
「ワイバーンを消すことができれば、この世界の危機を救うこともできるんだろう」
カルバートは自信満々に言った「消せるよ。俺が消し去る」
彼はアルバートに向かって右手を差し出した「ワイバーンを渡せ、俺の手でワイバーンを殺すんだ!」
カルバートが手を出す、アルバートは迷っていた。ここでカルバートの申し出を受けるのが正しい選択なのか、判断しかねる。
彼はワイバーンを倒しに来たはずだった。カルバートの言うとおり、奴を消滅させるべきなのか、それともこのまま逃げるべきなのか? いや、今は考えてる暇はなかった。決断を誤ることはできない、彼は差し出された右手を無視してカルバートに向き直った。
その時だった、背後で声がした「アルバート、ワイバーンから離れて、ワイバーンが動き出すわ!」
振り向くと巨大な竜が空中に姿を現していた。それは翼長3メートル以上あり、蛇のように長い身体に鰐の如き顎を持った異形の化け物である
「ワイバーン・ホライズンズ! お前を待っていた!」
「どうしてカルバートはワイバーンを呼び出したりできるんだ」
アルバートが疑問をぶつけた「ワイバーンはカルバートが作り出しプログラムで動かしていると言った」ワイバーンは巨躯にもかかわらず音もなく滑空した バーグマンは後じさって「こいつは奴のコアが制御できていないんだ、ワイバーン・ホライズンズを暴走させている」と言った アルバートの脳裏に最悪のシナリオが浮かんだ カルバートがワイバーンを生み出した、その目的はわからないが、ワイバーンはカルバートにとって危険な存在であるに違いない そして、ワイバーンを消去しようとしているカルバートもワイバーンにとっては邪魔者になる。だからカルバートは抹殺しようとした。それが正しいのだとすると
「そのままの意味だ。ワイバーンは、俺が奴のコアに書き込んだプログラムによって動かされている。つまりは奴のコアを書き換えれば、ワイバーンは消滅するだろう」
「ワイバーンはカルバートが作り出したってのか」
「そうだ、ワイバーンは俺が作り上げたゲームだ」
「ゲームのはずがないだろ、あんなものどうやって作るんだよ」
「作ったさ、実際に。そして俺は奴のコアを書き換える事ができる」
「まさか、コアを書き換えるって」
「そうだ、奴のコアを初期化して書き直す。そしてワイバーンを消去する」
「そんなことできるわけないだろ」
「できる、俺ならな」
「そもそも、なんでワイバーンを作れたんだよ」
「簡単だ、奴のコアをハッキングして、プログラミングを書き変えてやっただけだよ」
「ワイバーンはカルバートが生み出したものだったのか」
カルバートの語り口に、嘘はない。彼は真実を述べているのは明白だった。しかしアルバートには受け入れられなかった。
彼の人生の大半はコンピュータとともにある。その技術の源泉にこんなものがあったとは、到底信じられない。彼はカルバートの言葉を頭から信じ込むことはできなかった。
一方、カルバートの語るワイバーン誕生の秘密は事実に基づいているようでもあった。彼はワイバーンが作り出されていたと明言している。アルバートが知らないだけで、他の人間に聞けば、誰にだって分かる事かもしれない。そう考えるのは自然の流れだ。しかしワイバーンを作ったのはカルバートなのだという現実は、彼の中で、どうしても受け入れることができなかった。彼はワイバーンは作られた存在だと思い込もうとした。そしてワイバーンを作り出した男への恐怖も増した。
カルバートの言葉を鵜呑みにしてよいのかどうか、彼には分からなくなっていた。ただ、ワイバーンが作り物だということを否定すれば、今までの出来事が意味不明のものになってしまう気がした。
そして、彼はワイバーンに勝てるのかと考えた カルバートは奴は倒せたと言っていた。ならば自分が負ける可能性は少ないだろう。だが万が一がある、奴の攻撃パターンも分からないのに無策で飛び込んで行っていいものなのだろうか? しかし、ワイバーンを消滅させることができれば、少なくともカルバートが世界征服を目論む危険はなくなる。そうなれば、奴の計画は潰える事になるのだ。アルバートはカルバートを信じたかった。
一方でワイバーンはカルバートの生み出したものだと認める事もできなかった。彼がカルバートの妄想の産物でないことは、この数ヶ月で理解していたし、何よりワイバーンの存在が証拠としてあった どちらにせよ、アルバートは、これから起こることに対処しなければならなかった
「わかったよ、とにかくワイバーンがどんな奴か確かめるしかないだろ」
バーグマンはワイバーンの話題が出ると急に沈んだ。どうやらあまり触れたくなさそうだ
「ワイバーンを消すことができれば、この世界の危機を救うこともできるんだろう」
カルバートは自信満々に言った「消せるよ。俺が消し去る」
彼はアルバートに向かって右手を差し出した「ワイバーンを渡せ、俺の手でワイバーンを殺すんだ!」
カルバートが手を出す、アルバートは迷っていた。ここでカルバートの申し出を受けるのが正しい選択なのか、判断しかねる。
彼はワイバーンを倒しに来たはずだった。カルバートの言うとおり、奴を消滅させるべきなのか、それともこのまま逃げるべきなのか? いや、今は考えてる暇はなかった。決断を誤ることはできない、彼は差し出された右手を無視してカルバートに向き直った。
その時だった、背後で声がした「アルバート、ワイバーンから離れて、ワイバーンが動き出すわ!」
振り向くと巨大な竜が空中に姿を現していた。それは翼長3メートル以上あり、蛇のように長い身体に鰐の如き顎を持った異形の化け物である
「ワイバーン・ホライズンズ! お前を待っていた!」
「どうしてカルバートはワイバーンを呼び出したりできるんだ」
アルバートが疑問をぶつけた「ワイバーンはカルバートが作り出しプログラムで動かしていると言った」ワイバーンは巨躯にもかかわらず音もなく滑空した バーグマンは後じさって「こいつは奴のコアが制御できていないんだ、ワイバーン・ホライズンズを暴走させている」と言った アルバートの脳裏に最悪のシナリオが浮かんだ カルバートがワイバーンを生み出した、その目的はわからないが、ワイバーンはカルバートにとって危険な存在であるに違いない そして、ワイバーンを消去しようとしているカルバートもワイバーンにとっては邪魔者になる。だからカルバートは抹殺しようとした。それが正しいのだとすると



